<日本心理学会>認定心理士、新田猪三彦先生が教える「予備校の模試を受けるモチベーションの上げ方」

予備校の模試を受ける際のモチベーションの上げ方を、認定心理の新田先生が分かりやすく教えます。

気分がのらない

明日の予備校の模試を受けたくない

試験が近づくと生徒から、「明日の予備校の模試は勉強してないから無理だ!」、「スマホ見てたから、予備校の模試の成績は良くないな。」、「単語を暗記してないから、英語は無理だな。」という言葉を耳にすることがあります。

 

中には、「どうせダメだから」、「医学部には関係ないから」と言って、模試を受けない生徒もいます。

 

まだ模試を受けていない段階で、問題の内容も難易度も分からないのに、どうしてこのような発言がでてくるのでしょうか??

 

 

予備校の模試と自己評価の関係性

「どうせダメだから」、「自分には無理だから」という発言がでてくるのは、自己評価を下げたくないという思いがあるからだと言われています。

 

自己評価を下げたくないので、事前に言い訳を作っているのです。

 

このような現象を、アメリカの心理学者であるエドワード・E・ジョーンズがセルフ・ハンディキャッピングという概念で説明しています。

エドワード・E・ジョーンズの紹介
※コトバンクのHPへ

 

セルフ・ハンディキャッピングとは、失敗の原因を自分以外の外的な要因に求め、一方で、成功の原因を自分の内的な要因に求める行動を表す概念です。

 

このセルフ・ハンディキャッピングには、

 

・獲得的セルフ・ハンディキャッピング

・主観的セルフ・ハンディキャッピング

 

の2種類があります。

 

○獲得的セルフ・ハンディキャッピング

  • 模試の前に、ついついスマホを見てた・・・。
  • 机の整理をしてて、気づいたら寝る時間になっていた・・・。
  • 予備校で自習するつもりだったが、友達と話をしてたら、家に帰る時間になった・・・。

 

このような行動は、自らハンディキャップを獲得している状態です。

成績が悪くても、「○○だったから仕方がない」と言い訳をつくり、自己評価が下がらないように防衛しているのです。

また、成績が良かった場合に、「○○があって大変だったけど、できた」というように自己評価を上げることもできます。

そのため、無意識に、ハンディキャップを作ってしまうことがあります。

○主張的セルフ・ハンディキャッピング

  • 模試の勉強を全くしてない・・・
  • ここ数日、体調が悪い・・・
  • 英語は苦手なんだよな~・・・

 

このように失敗した時に理由を事前に友人や周りの人に話をする行動は、主張的セルフ・ハンディキャッピングと呼ばれています。

 

成績が悪かった時に、周りからの自己評価が下がることを防止したい気持ちや、成績が良かった時に、周りからの自己評価が上がることを期待し、ほとんどの人が、無意識に行っている行動です。

 

 

○セルフ・ハンディキャッピングのメリットとは・・・

どうして、私たちは、自分にハンディを作るのでしょうか。

その理由は、「失敗した時に傷つきたくない」、「自尊心を守りたい」という気持ちが働くからです。

予備校生の中には、不得意科目の試験はあまり受けたくないと思っている人もいるでしょう。うまくいかず、点数があまり取れなかった時、悪い結果は誰しも見たくないし、悪い点数を見て傷つきたくないものです。

特に、医学部を受験する生徒さんは、問題も難しく、点数に結びつくのに時間がかかるため、結果を見たくないという人もいるかもしれません。

そのため、自分自身に、失敗しても傷つかないように、ハンディキャップを作るのです。

 

ついついスマホを見てて、勉強できなかったから、点数が悪かった。

 

という言葉の裏側には、「本当は実力があるんだけど、スマホを見て時間がなくなったというハンディがあったので、点数が悪くても仕方がない。」という意味が隠れているのです。

このように、セルフ・ハンディキャッピングには、「自分を守る」という大きなメリットがあるのです。

 

 

 

○セルフ・ハンディキャッピングのデメリットとは・・・

セルフ・ハンディキャッピングには、「自分を守る」という大きな役割を担っているのですが、これを続けていると、挑戦する意欲や、自分自身が本来もっている能力を十分に発揮できなくなってしまいます。

また、苦手な科目に対して、セルフ・ハンディキャッピングを得ること(例えば、スマホを見る、ゲームをすること)により、他の科目の勉強をする時間などが減り、全体の学力が低下してくる可能性があります。

そうなると、ますます勉強の意欲がなくなり、勉強しなくなるという悪循環になることがあるのです。

 

 

 

 

予備校の模試を受けるモチベーションアップの『3つのステップ』

3ステップセルフ・ハンディキャッピングを克服するには、どんな方法があるのでしょうか??

セルフ・ハンディキャッピングを克服するためには、3つのステップが重要です。

 

 

 

ステップ1  信頼できる人(先生・友人など)を見つける!

ステップ2に「自己宣言」というものがあるのですが、そのために、まずは、信頼できる人間をつくることが大切です。「自己宣言」については、次のステップで詳細は説明しますが、簡単に言うと、「自分はできる」と宣言することです。

しかし、この言葉を友人に言える人はどのくらいいるでしょうか。まして、自分の苦手科目に対して、失敗する可能性がある科目に対して・・・

そこで、もし失敗しても、これまでの努力を認めてくれる人を見つけ、この先生、この友達だったら、自分のことを認めてくれるから大丈夫という人に対して、「自己宣言」をすることが大切になってきます。

そのため、最初のステップとしては、「信頼できる人を見つける」ということが大切になってきます。

 ステップ2  「自分はできる」と宣言する!

社会心理学の考え方のひとつに、「予言の自己成就」というものがあります。これは、予言されたり、予言することで、予言した行動を実際にしてしまう可能性が高くなることです。

例えば、占い師に、「あなたの占いの結果を見ると、怪我をする可能性がある!」と言われたとします。すると、「怪我をしないように、怪我をしないように」と意識することで、頭の中で、「怪我」のことをイメージし、実際に怪我をする場合があります。

 

また、教育の現場では、あるクラスに「あなたたちの成績は、どんどん上がっている」と言い続けていたら、実際にクラスの成績が上がったという例もあります。

このように、他者から言われたり、自分で何か言うことで、そこに意識が向き、自然と言葉通りの行動を取ることがあります。つまり、「自分は駄目だ」と言い続けると、そこに意識が向いて、簡単にできていたことも、できなくなってしまうことがあるのです。

そのため、「自分はできる」と「自己宣言」することが大切です。ここで、もうひとつ大切なことが、ステップ1でも書いたように、信頼できる人に対して行うということです。宣言しても、応援してくれる人でなければ、効果が発揮されません。

 ステップ3  未来をイメージする!

「自分はできる」という宣言をしても、本当に大丈夫かな・・・

それだけで、良いのかな・・・と不安になってしまう生徒さんもいると思います。予備校でも、受験生の中には、すぐには行動できないという生徒もいます。

 

そこで、目の前の試験や勉強だけでなく、合格した後をイメージすることも大切になってきます。未来をイメージし、今の出来事はあくまでも通過点と思うことで、狭くなっていた視野が広がっていきます。

例えば、医学部を受験するのであれば、自分はどんな医者になりたいのか。大学では、どんなことを勉強したいのか。

今、目の前のことだけに意識を向けるのではなく、考える幅を広げることで、自分の心の幅も広がっていきます。

 

 

まとめ

予備校の試験が近づき・・・「スマホ見てたし、勉強してなかったから、予備校の模試の成績は良くないな。」という言葉がでてきたら要注意!!!

セルフ・ハンディキャッピングの可能性を考え、それを克服するために、3つのステップを行う。

  • <ステップ1>信頼できる人(先生・友人など)を見つける!
  • <ステップ2>「自分はできる」と宣言する!
  • <ステップ3>未来をイメージする!

 

記事を書いた方
新田先生プロフィール日本心理学会・認定心理士)新田猪三彦(にったいさひこ)

<略歴>
キャリア教育研究所コアペリ代表 / インプロクリエイションズ主宰 / 福岡コミュニケーションカレッジ講師 / 医歯薬専門予備校心理カウンセラー / 日本心理学会認定心理士 / 日本メンタルヘルス協会認定基礎心理カウンセラー / 米国NLP(神経言語プログラミング)協会認定マスタープラクティショナー / ICA(国際コーチ協会)認定コーチ / カナダSuccess Strategies・Shelle Rose Charvet認定LABプロファイリング・プラクティショナー

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