海外医学部進学を考える方へ|中国医学部と日本の医師国家試験受験資格の関係

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中国医学部を卒業すると日本の医師国家試験は受けられるのか|制度の経緯と現在の注意点

以前は日本人向けに、中国医学部を東欧医学部と並ぶ海外進学先として紹介し、「日本の医師国家試験受験資格につながる」と受け取られやすい案内がみられた時期がありました。
しかし現在は、卒業しただけで自動的に日本の医師国家試験を受けられるわけではなく、課程の内容や卒後資格の種類によって扱いが大きく異なります。

最初に結論
  • 日本では、外国の医学部を卒業した人に対して国別に一律の受験資格を与えているわけではなく、厚生労働省による個別の受験資格認定制度が採られています。
  • 中国医学部についても「以前は全面的に可、今は全面的に不可」という単純な話ではありません。
  • ただし、厚労省資料では、予備試験認定を受けた者の卒業学校は「ほぼ中国に所在している」とされており、中国医学部ルートは少なくとも制度運用上、予備試験ルート中心だったことが読み取れます。
  • さらに2024年には、厚労省が中国の中医学専攻等を卒業して中医師資格を取得した者は、日本の医師国家試験受験資格に該当しないことを明確化しました。
  • そのため、現在中国医学部を検討する場合は、「中国の医学部かどうか」ではなく、「どの課程を修了し、どの資格を取得するのか」を細かく確認する必要があります。

以前はなぜ中国医学部が日本人向けに注目されたのか

以前、中国医学部は一部の日本人向け留学仲介や事務局によって、東欧医学部と同じように「海外医学部から日本の医師免許取得を目指せる可能性がある進学先」として案内されることがありました。
実際、厚生労働省は現在も、外国の医学校について「卒業後に日本の医師国家試験の受験資格が得られる旨の認可を厚生労働省から受けている」などとして入学勧誘を行う団体が見受けられると注意喚起しています。

ここが重要です

厚労省は、特定の外国医学部卒業者に対して日本の医師国家試験受験資格を一律に認定しているわけではありません。
したがって、過去にそのような宣伝があったとしても、それは「中国医学部を卒業すれば自動的に日本の医師国家試験を受けられる」という意味ではありませんでした。

日本の医師国家試験受験資格はどう決まるのか

日本の医師免許を得るには、医師国家試験に合格する必要があります。
外国の医学部卒業者については、厚労省資料では大きく次の二つのルートがあります。

1.予備試験ルート
外国の医学校を卒業し、または外国で医師免許を得た者で、厚生労働大臣が適当と認定した者が、医師国家試験予備試験に合格し、1年以上の実地修練を経た上で医師国家試験を受験するルートです。

2.本試験認定ルート
外国の医学校を卒業し、または外国で医師免許を得た者で、日本の医学部卒業者と同等以上の学力・技能を有すると厚生労働大臣が認定した場合に、日本の医師国家試験を直接受験するルートです。

つまり、外国医学部卒業者に対しては最初から個別審査が前提です。
ここが、一般の受験生が国内医学部を卒業してそのまま国家試験を受ける流れとの大きな違いです。

中国医学部ルートは、なぜ予備試験と結びついて語られてきたのか

厚労省の2019年資料では、海外医学部卒業生の予備試験認定者数について、「予備試験の認定を受けた者の卒業学校はほぼ中国に所在している」と示されています。
また、同時期の資料でも、中国所在校出身者が予備試験関連で大きな割合を占めていました。
そのため、中国医学部は実務上「日本に戻る場合は予備試験ルートが中心になりやすい海外進学先」として理解されてきた側面があります。

付言しておきたい点

「現在、中国医学部を卒業しても必ず全員が予備試験から」とまで一律断定するのは、公開資料だけではやや強すぎます。
ただし、厚労省の制度運用を見る限り、中国医学部卒業者が日本で医師を目指す場合、少なくとも現実的には予備試験ルートを前提に考えるべきだといえます。

中国の「5年+1年」の制度は影響しているのか

ここも重要な論点です。
中国の法令では、高等学校医学専門本科以上の学歴を有し、医師の指導下で医療・予防・保健機関において1年間の試用期間を満了した者は、執業医師資格試験を受験できるとされています。
そのため、「中国では5年で卒業し、1年間の実習・試用期間を経て中国の医師資格試験に進む」という理解には制度的な根拠があります。

そして、この制度構造は日本側の認定に影響している可能性が高いと考えられます。
日本の認定基準では、本試験認定の目安として医学校の教育年限6年以上、予備試験認定でも5年以上の教育年限などが重視されます。
さらに教育時間数や教育環境も審査対象になります。
そのため、中国で「5年本科+卒後1年」で医師資格取得に進める制度であっても、その1年間が日本のいう医学教育の一部としてどう評価されるのか、一貫した専門教育としてどう見られるのかが問題になりやすいと考えられます。

PMDとしての整理

中国側で医師資格取得に進める制度があることと、日本で医師国家試験受験資格が認められることは同じではありません。
海外医学部を選ぶ際は、その国での資格取得ルートだけではなく、日本に戻る場合の制度との接続まで確認する必要があります。

2024年に厚労省が明確化したこと

2024年4月、厚労省の医道審議会では、中国の中医学専攻等を修了して中医師資格を取得した者など、伝統医学を扱う者は、医師法第11条・第12条にいう
「外国の医学校を卒業し、又は外国で医師免許を得た者」に該当しないことを、受験資格認定基準上明確化する整理が了承されました。

これは非常に大きな意味を持ちます。
以前は「中国医学部」という大きなくくりで語られがちでしたが、現在は少なくとも
「中医学系の課程・中医師資格は日本の医師国家試験受験資格にはつながらない」
という点がはっきり示されたからです。

注意

したがって、現在中国医学部を検討する場合は、「中国の医学部だから可能性がある」と大まかに考えるのではなく、
その課程が臨床医学系なのか、中医学系なのか、卒業後に取得できる資格は何かを必ず個別に確認しなければなりません。

PMD海外医学部コースとして伝えたいこと

海外医学部進学で本当に大切なのは、「入学しやすいか」ではなく、「卒業後にどの国で、どの資格を目指せるか」です。
中国医学部は、かつて一部で日本人向けに魅力的な進学先として紹介された歴史があります。
しかし現在は、制度の理解なしに進学先を決めるのは危険です。

とくに日本帰国ルートを考える場合は、次の点を確認する必要があります。

  • その大学の課程は臨床医学系か、中医学系か
  • 卒業後に取得できる資格は何か
  • 日本で本試験認定が見込めるのか、それとも予備試験ルートが現実的なのか
  • 教育年限や授業時間、臨床実習の内容が日本の認定基準とどう関係するか
  • 最終的に日本で医師を目指すのか、現地や第三国でのキャリアも視野に入れるのか

まとめ

中国医学部と日本の医師国家試験受験資格の関係は、単純に「以前はよかったが今はだめ」と整理できるものではありません。

日本はもともと個別認定制度を採っており、中国医学部卒業者もその中で審査されてきました。
ただし、厚労省資料を見る限り、中国医学部ルートは実務上、予備試験認定と強く結びついてきた歴史があります。

また、中国には「5年本科+1年の試用期間を経て医師資格試験に進む」制度があり、この制度構造も日本の認定との間にずれを生みやすかった可能性があります。

さらに現在は、中医学専攻や中医師資格が日本の医師国家試験受験資格に該当しないことが明確化されています。
中国医学部を検討する場合は、大学名だけではなく、課程の種類・卒後資格・日本で想定されるルートまで確認したうえで判断することが不可欠です。

引用・参考資料

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