第2回医学部編入合格記|文系・社会人が直面した3つの壁〜情報不足・教材迷子・見えない評価基準〜
東京大学文学部を卒業後、出版社で営業職として働いていたKさん。「子どものためになる仕事がしたい」という思いを原点に、文系・社会人という立場から医学部編入試験に挑み、大分大学医学部への合格を勝ち取りました。
本シリーズでは、Kさんの医学部編入合格までの道のりを全5回にわたってお届けします。
情報が限られる医学部編入という選択肢について、志望理由から受験対策、試験本番の実感、そして合格後の振り返りまで――一人の受験生のリアルな経験を、これから編入を考える方の参考にしていただければ幸いです。
はじめまして。このたび、大分大学医学部医学科2年生に学士編入にて進学しました、Kと申します。
私は、医学部編入のための本格的に準備を開始してから約2年半の学習期間を経て、本学に合格しました。PMDではそのうち約1年半お世話になり、科目の勉強に限らず、この先の進路を考えるうえで多くの示唆をいただきました。この場を借りて、心から感謝申し上げます。
今回から5週にわたって、私の医学部編入試験の体験談をお話ししていきます。これから編入を目指す方にとって、少しでも現実的なイメージと判断材料になれば幸いです。
こんにちは。
大分大学医学部2年生のKです。
先週末、無事に入学式を終えました。
今週からは早速基礎医学の講義や実習が始まり、医学の入口に立ったことを実感しながら、毎日とても楽しく過ごしています。
(学生以来の早寝早起きには苦戦していますが…!)
さて、今週は、医学部への編入を決意した私が受験対策を始めて直面したいくつもの壁について、お話しします。
医学部編入の勉強を始めた当初、私は何をすればいいのかを全く知りませんでした。
手始めに大学ごとのHPをいくつか見てみますが、受験の際の必要科目は一応提示されているものの、その実態はほとんど見えてきません。
そもそも文系学部出身の私にとって、「理系の大学一年生が習得するレベルの生命科学領域」などと言われても、何のことだかさっぱりわかりませんでした。
そこで私は、「とりあえず予備校に行けば何とかなるだろう」と考え、大手予備校医学部編入コースの説明会に参加しました。(※PMDではありません)
実際、説明会では各大学の試験科目や授業スケジュールについて一通り案内があり、その場では「ひとまず大丈夫そうだ」と感じたのを覚えています。
しかし、後から振り返ると、この時点での理解はかなり表面的なものでした。
医学部編入試験は、単に科目を学べばよいというものではなく、何をどの程度理解すべきかが非常に見えにくい試験だったのです。
説明会に参加した流れで、私はそのまま予備校に入塾し、映像授業を中心に学習を進めることにしました。
当初は、仕事をしながら少しずつ授業を受けていけばよいと考えていましたが、現実は甘くありませんでした。
想像以上に学習内容の量が多く、授業の配信頻度に追いつけなくなり、次第に「理解すること」よりも「とにかく消化すること」が目的になっていったのです。
本来であれば、疑問点を整理しながら一つひとつ理解を深めていくべきでしたが、授業に追いつくことばかりを優先し、内容を十分に咀嚼しないまま先へ進む状態が続いていました。
オンライン受講の学生に対しても郵送による質問制度は用意されていましたが、仕事との両立の中でそこまで手が回らず、結果的に「受けっぱなし」の学習になってしまっていました。
今振り返ると、このような状態に陥った最大の原因は、私自身の生命科学への理解があまりにも浅かったことにあります。
当時の私は、「今、何について学んでいるのか」「この内容がどこにつながるのか」といった全体像をほとんど把握できていませんでした。
そのため、一つひとつの知識が孤立したまま積み重なり、暗闇の中で断片的に情報を受け取っているような感覚でした。
本来であれば、最初に全体像をざっと把握した上で個別の内容に入るべきだったのだと思います。
様々な大学の理系学部のシラバスなどを見てみてもよかったかもしれません。
この点は、編入試験や予備校の問題というよりも、私自身の明確な戦略ミスでした。
Kさんより:とはいえ、多くの編入受験生(特に文系出身者や多忙な社会人受験生)が陥りやすい問題でもあると感じています。その意味で、この経験はあえて記録しておきたいと思います。
予備校の授業を受けながら次に直面したのは、そもそも「学習の土台となる教材が圧倒的に少ない…ように見えて、実は多すぎる」という問題でした。
一般的な大学受験であれば、各科目に対して全国共通の教科書があり、さらに定評のある参考書や問題集も存在しているため、「まずはこれをやればよい」という一定の指針があります。
しかし医学部編入試験においては、そのような「標準的な教材」がほとんど存在しません。
予備校から配布される教材はありましたが、文字中心の辞書的な内容で、初学者にとっては決して読みやすいものとは言えず、理解を深めるための補助としては不十分に感じる場面も多くありました。
当時は「たったこれだけの教材でどうやって理解を深めればいいのだろう」と困惑していましたが、医学部に入学して講義を受けている今になって振り返ると、教材は「少なすぎた」というよりも、むしろ「多すぎた」のだと感じています。
大学の生命科学の講義では、教員が膨大な文献や専門書の中から要点を抽出して解説することが多く、そもそも「標準的な教科書」や「読みやすく整理されたテキスト」を前提に考えること自体が、的外れだったのかもしれません。
また、問題集については、解答や解説が十分に整備されていないものが多く、「なぜその答えになるのか」を自力で補完しなければならない状況が続きました。
そのため、自分の理解が正しいのかどうか確信が持てないまま学習を進める場面も少なくありませんでした。
こうした環境の中で強く感じたのは、「何をどこまでやればよいのか」という基準の不在です。
授業内容、配布教材、断片的に得られる情報…、それぞれをどの程度信頼し、どのように組み合わせていくべきかの判断が難しく、常に手探りの状態が続いていました。
Kさんより:振り返ってみると、この”教材の不確かさ”は単なる不便さではなく、学習の方向性そのものを揺るがす大きな要因だったと感じています。そして、「正しい努力をしているのかどうかがわからない」という感覚は、想像以上に大きな不安となっていきました。
もう一つ大きな壁として感じたのは、試験に関する情報の圧倒的な少なさと、それに伴う不確実性でした。
医学部編入試験は、一般入試と比べて情報公開が非常に限定的です。
先述の通り、各大学の募集要項には試験科目こそ記載されているものの、実際にどのような内容が問われるのか、どの程度の理解が求められるのかといった具体像はほとんど見えてきません。
過去問すら公開されていない(もしくは事実上入手できない)大学も存在します。
さらに、評価基準についても不透明な部分が多く、筆記試験の配点や面接の重み、合否にどの要素がどれほど影響しているのかを正確に把握することは困難でした。
そうした中で、受験生の間ではさまざまな「噂」や「経験談」が飛び交っています。
「〇〇大学は30代以上は不利」「△△大学は何年も文系出身を合格させていない」等…。
しかし、それらの多くは出典が不明確で、客観的な根拠があるとは言い難いものばかりでした。
それでも、情報が少ない環境では、そうした不確かな情報であっても無視することができず、進路選択や受験戦略に少なからず影響を与えてしまいます。
私自身、実際に参考にできたのは、個人がブログやnoteなどに掲載している体験談が中心でした。
それらは貴重な情報源である一方で、あくまで個人の経験に基づくものである以上、どこまで一般化できるのかという不安も常につきまとっていました。
Kさんより:身近に「編入の先輩」がいる方は心強いかもしれません。いない方も、予備校や個人が提供しているサービスを利用して、なんでも相談できる存在を見つけられることをおすすめします。
このように、医学部編入試験においては、「何が正解なのかがわからないまま進み続けなければならない」という状況が続きます。
そしてこの不確実性こそが、学習内容以上に大きな精神的ストレスとなっていきました。
次回は、英語・生命科学・面接といった具体的な対策について、どのように取り組み、どのように軌道修正していったのかをお話しできればと思います。
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