薬のネット販売解禁

 

記事のつながりの関係で先週は触れませんでしたが、6月12日の改正薬事法の施行によって、市販薬のインターネット販売が一部を除き解禁されました。

抗生物質の様な、使い方を誤ると他人に迷惑をかけるようなお薬は当然解禁されていませんが(そもそも市販されていませんが…)、所定の手続きを踏めば、ステロイドですら店頭に行かずに買える時代になりました。

 

しかし、NSAIDと呼ばれる鎮痛剤やステロイドなどの一般の人々に馴染みが深いお薬でも、使い方を誤ると、害のほうが大きくなる可能性さえあります。

安倍首相と楽天の三木谷社長が主導して行われた規制緩和ですが、利便性、簡易性以外に何か国民にメリットはあるのでしょうか?

 

そもそもですが、ネット、店頭に限らず、市販薬を買うことは大損です。一般の大人でも処方薬は三割負担で買える(→市販薬は処方薬の三倍以上の値段)ため、市販薬を買うということはペットボトル飲料を500円で勝っているようなものです。

それに加えて、市販薬を買う瞬間を思い出してもらえばわかると思いますが、市販薬は「医者に行くほどではない、もしくは医者に行く時間がないけど、症状が辛い」時に買うことが多いと思います。そのような時にインターネットで調べて、届くまで一日から二日かかるネット販売を利用するかというとそんなはずはありません。

 

従って、このネット販売解禁は、連用による副作用のリスクや不適切な薬剤使用の危険性を上げるだけの国民にとってデメリットの方が多い政策だと私は思っています。今はただ、一人でも多くの人が副作用などに苦しむことにならないように願うばかりです。

 

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