クリニカルクラークシップ(放射線科)

 

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クリニカルクラークシップの三か月目は放射線科を回りました。

放射線科というとレントゲンを撮ってくれる技師さんを連想するかもしれませんが、そうではありません。彼らは放射線技師で、レントゲンの他にCTやMRIなどの機器の操作を担当する技術者です。放射線科医の仕事は、撮影された画像データを読影して、どこにどのような病変があるのかを見つけることです。

多くの場合、内科や外科などの医師が検査をオーダーし、撮影された画像に放射線科医が読影結果を添付して返す、という流れになっています。大学のような専門的な医療機関では、それぞれの放射線科医は頭部、胸部、腹部など専門をもって仕事をしていますが、市中病院では放射線科医の人数が少ないことが多いため、全身の読影を行っています。全身の読影をするためには、幅広い疾患の知識を持っている必要があります。様々な病気を対象とすることができるのは、放射線科の面白いところのひとつだと思います。

読影とならんで放射線科医の重要な仕事は、放射線治療を施すことです。検査のために放射線を使うのではなく、放射線を当てることでガン細胞を死滅させガンを治療するのです。放射線は正常細胞も殺してしまうので、なるべくガン細胞だけに当たるように照射位置や角度を計算して治療機械に入力します。コンピューターを使って治療計画を立てている様子は、CGのデザインをする技術者のようでした。

意外だったのが、カテーテルを用いた治療を放射線科医が行うことです。肝臓ガンを治療するために、血管からカテーテルを肝臓までもっていき薬剤を注入する治療があるのですが、この時にレントゲンのような機械で透視しながら作業をします。この治療は内科医が行うものだと思っていたので、意外でした。もちろん内科医が行う場合もあり、必ずしも放射線科医しかしないわけではありません。

放射線科は想像していたよりもずっと幅広い業務を行っている科でした。実習してみるまでは、なかなかこのことに気付かないので、部屋にこもってパソコンに向かって読影しているだけ、と思っている学生もいます。しかし実際には、放射線治療のための外来業務もあるし入院患者も抱えています。カテーテル治療のような手技もおこなっており、さまざまな技術を身に着けることができる魅力的な科だと感じました。

 

【最後に】
4年生の頃に始めた連載も今回が最終回です。記事を読んでくださった皆様が、医学部ではどのような勉強を行っているのか、学生はどんなことを考えているのか、といったことに少しでもイメージを持っていただたのであれば幸いです。