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慶應義塾大学医学部受験対策

【2025年入試対応】
〜難関突破のカギは“典型+判断力”!戦略的対策を解説〜

慶応義塾大学医学部の科目別対策

数学対策

慶應義塾大学医学部は、学力・人気ともに国内トップクラス。その入試数学も、単なる難問ではなく、「短時間で判断し、確実に得点する力」が求められる、極めて実戦的な試験です。今回は、慶應医学部数学の出題傾向を分析し、合格者が実践している“差がつく”戦略的学習法を紹介します。

慶應医学部 数学の基本情報

試験時間

100分

大問数

4題(空所補充、記述式)

出題範囲

数学ⅠA・ⅡB・Ⅲ
(全範囲からバランスよく出題)

特徴

小問数が多く、難易度は非常に高い
(完答難・差がつく)

大問3題のうち、「1完2半」または「2完1撃沈」など、部分的得点の積み上げが合否を分ける試験構成です。

出題傾向(近年5年)まとめ

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年度 主な分野 傾向・難度の特徴
2021年 データの分析、式と曲線、微積分 論証・構造の把握力が問われた。素早い計算で差がつく問題セットであった。
2022年 確率、極限、2次曲線、微積分 標準的な設定に見えて、何重にも差がつくポイントあり。後半が特に難。
2023年 数列、微積分、2次曲線 発想力と式処理を両立させることが求められた構成
2024年 確率漸化式、微積分、空間図形 素早い正確な計算が合否を分けた試験となった。
2025年 微積分、漸化式、空間図形 問題数が多く難化した。前半部分での得点を稼ぎたい。

頻出テーマと特徴

  • 微積分・漸化式・整数・空間図形は常連
  • 計算量が非常に多いため、素早く方針を立てて計算を行う力が問われる
  • 問題数、計算量で時間が圧迫され見た目以上に難易度が高い

慶應医学部数学で差をつける5つの戦略

1問題の”格”を瞬時に見抜く訓練を

慶應の問題は計算量が見かけによらず多いことがしばしばあり、「見た目は簡単、実は難解」というパターンが多いです。時間内でどこまで解けそうか/どこで撤退すべきかの判断が重要です。

本番同様の100分で過去問を解き、「得点できる設問の見極め力」を訓練しましょう。

2誘導なしでも解法を構築できる力を

慶應も空所補充は誘導が少なく、素早く方針を立ててから計算に移らないといけない問題も多いです。そのため、問題の流れを把握して素早く方針を立てる力が非常に大切です。

過去問演習で誘導を素早く汲み取り、迷わずに計算を行う習慣をつけましょう。

3記述は「要点主義」で明快に

試験時間が問題数に対して少ないため、記述解答のものは「論理的かつ簡潔」であることが重要です。長く記述を書く時間はないので簡潔に書く練習を行いましょう。

日頃から「1行でこの結論の理由を説明する」訓練を行い、論理の骨組みだけ書くことを意識しましょう。

4典型問題を”深掘り”する

慶應の問題は、典型問題の構造をかなり複雑にして出題することが多いです。『入試の軌跡 最難関大医学部編』『上級問題精講』などを使い、類題ごとの解法原理を復習しましょう。

5計算ミスを絶対にしない

慶応の数学はほとんど途中過程の記述がありません。国立大学と異なり計算ミスがそのまま不合格に直結しうる試験です。

そのため、本番のプレッシャーの中でも正確に計算できるように普段から複雑な計算を行えるように力をつけておきましょう。

おすすめ教材と演習法

基礎力強化

典型問題演習

過去問対策

まとめ:計算力で勝ち抜く数学

慶應医学部の数学は、計算量が多い試験です。完答できなくても、いかに正確に素早く計算できるかが、結果を左右します。限られた時間の中で、いかに自分の計算力を効率よく発揮できるか。判断力と計算の技術を磨くことこそが、慶應突破の王道です。

物理対策

思考力 × 記述力 × 計算スピード+“慶應らしさ”を捉える力で差をつける総合戦略

 

試験概要と形式

試験時間

理科2科目で120分、物理にかけられるのは単純計算では約60分

出題構成

大問3題・すべて記述式。

年度によっては細かい変更があるものの、第1問は小問集合(主に原子や定義・知識問題)、第2・第3問は力学・電磁気が中心。

第一問から小問集合ではなく大問であることが多い。

難易度と配点

60分で全問正答は困難。典型問題を”速く正確に”、応用問題で”思考力と記述力”を問う構成であるため、典型問題で失点すると致命的。

特長

「問題数が爆発的に多い」「記号・単位ミスが命取り」「記述論述問題が多い」「医療・科学的テーマが背景になっている事が多い」

直近5年の出題傾向と講評

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年度 構成 講評
2021年 大問3(力学・電磁気・波動など) 小問集合から重く、時間配分が合否を左右するセット
2022年 大問3:力学・電磁気・熱 難易度は高い問題は存在するものの、得点を稼ぎたい問題セットとなった。知識問題対策も重要。
2023年 大問3:波動、電磁気、小問集合 慶應らしく、近似式の取り扱いが鍵となる問題。電磁気学も後半部分で設定が煩雑になる。
2024年 大問3:力学、電磁気が主 小問集合は典型~易化傾向も、難易度は大差なし。ニュートンビーズをテーマにした問題が出題された。
2025年 大問3:電磁気・熱力学、小問集合 出題量・記述量ともに多く、60分完答は難。問題の切り捨てを適切に行わないと時間が圧迫される問題セットとなった。

差がつく対策5項目(慶應医学部物理)

1典型問題は”速く・正確に”処理する力

戦略
慶應医学部の物理では第1問に配置されることが多い小問集合が合否を左右する第一の鍵となります。ここでの取りこぼしは後の応用問題にも響き、特に時間配分面での圧迫につながるため、素早く・正確に解答を進めることが不可欠です。

実践法
毎回の演習で「簡単な小問は1分以内」の制限時間を設けて、処理速度と正答率のバランスを図る練習を行いましょう。また、知識問題での取りこぼしも慶應医学部の場合は痛手となる可能性大であるため、知識問題の対策も必要。

2部分点狙いの段階答案フォーマット

戦略
後半の大問では、設定が複雑で完答が難しい問題も多く出題されます。そこで鍵となるのが、完答を目指すだけでなく、「立式」「計算」「結論」といった段階的アプローチで部分点を積み重ねる技術です。正解に至らずとも、解法の途中過程が論理的であれば部分点の獲得は可能です。

実践法
各大問に対して、「どこで得点できるか」を見極めながら、まずは設問となっている現象のモデル化・立式に注力。その後に数値処理とコメント(関係式や変数の意味、現象との整合性など)を添えて、最終的な答えを導く、というテンプレート型の記述スタイルを確立しましょう。何度も繰り返すことで、採点者に伝わる答案の型が自然と身につきます。

3抽象的な問題への対応力

戦略
慶應では、抽象的な物理現象を題材にした「モデル化された物理問題」が出題される傾向にあります。特に物理量の関係を言語化・記述する問題では、要旨を読み取る力と、そこから本質を抜き出して説明する言語能力の両方が問われます

実践法
過去問の中からモデル化問題をピックアップし演習を行い、なぜそうなるのか/どう変化するのかを、自分の言葉で表現する訓練を積みましょう。あいまいな言い回しを避け、物理的な用語を使いながら論理的に説明する力を養成します。

4時間配分と解く順番の戦略化

戦略
全体で60分という制限時間内で、大問3題すべてを丁寧に解くのは非常に難しい構成です。そのため、解答順の工夫や、問題ごとの優先順位づけが合否に直結します。時間をかけるべき設問/捨てる判断を素早く行うことが求められます。

実践法
過去問を使って演習する際は、「先に解く問題/後回しにする問題/捨て問の判断」を紙に記録し、自分なりの解答パターンを構築していきましょう。また、1問に固執して時間を浪費しないよう、演習ではタイマーを活用し、時間切れの感覚を実際に体験しておくことも重要です。

5記述チェックルーチン(符号・単位・論理)

戦略
慶應の記述式試験では、符号や単位のミスによって大きな減点が生じます。このような“もったいない失点”を防ぐには、最後の見直しプロセスをルーチン化することが大切です。

実践法
答案作成の際に気をつけるチェックリストを普段の問題演習の際の間違え方に基づいて設け、毎回の過去問演習でそれを確認するクセをつけましょう。また、答が物理的に意味を持つか(例:負の質量、整合性のない答えなど)を常に意識して、物理的整合性をチェックする視点も持つことが重要です。

教材とプラン

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領域 教材 活用法
典型問題処理 名問の森』『良問の風 毎週2題以上、時間制限を設けて高速演習+採点
部分点答案 東大、京大など他大学も含めた過去問 模範解答と照らし合わせて段階的記述演習を繰り返す
モデル化問題 「難問題の系統とその解き方」シリーズ 名問の森よりも更に抽象的な問題が多い
時間配分訓練 模試形式演習+記録ノート 問題別所要時間・正答率を毎回記録し分析
記述チェック 自作チェックリスト ミスの傾向を把握し、確認項目を固定化して実践

まとめ

慶應医学部の物理は、「速さ」「思考」「表現」の3要素が融合された、高密度かつ採点者目線を意識した答案作成能力が求められる試験です。以下の3つの原則を徹底すれば、合格答案に一歩近づきます。

  1. 典型問題は落とさず、高速かつ正確に処理する
  2. 応用・思考問題では段階的に記述し、部分点を確保する
  3. 符号・単位・論理構成を意識し、”読みやすい”答案を作成する

物理の得点は”内容+伝え方”のセットで成り立っています。本番で点を積み上げるための準備は、日々の答案作成の中で着実に磨かれます。戦略的・論理的なアプローチで、他受験生と差をつけましょう。

化学対策

記述力・思考力・処理スピードで勝ち取る「実戦対応力」養成講座

慶應義塾大学医学部の化学は、理科2科目120分のうち化学は実質60分・100点満点、大問3〜4題すべて記述式という構成です。計算過程・理由説明・化学的根拠の記述が必須で、単なる答えだけでなく”なぜ”も書ける力が求められます。処理スピードも重要で、60分で3〜4題を確実に処理する必要があります。

慶應医学部 化学の基本情報

試験時間

実質60分(理科2科目で120分)

配点

100点満点

大問数

3〜4題(すべて記述式)

特徴

計算過程・理由説明・化学的根拠の記述が必須

出題傾向と講評(2021〜2025年度)

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年度 出題構成 特徴・講評
2021年 大問4題 大問1が正誤問題形式に変更。全問記述で標準レベル。制限時間内にどれだけ正確に標準問題を処理するが勝負の鍵。
2022年 大問4題 論述問題が増え、速度と精密な記述力が要求される構成。特に大問4の実験過程が増加している。
2023年 大問3題 大問が3つに減少。その代わり残りの記述式2問の分量がかなり増加し、理論化学の難化が顕著。有機で生化学的テーマ・反応融合型が登場。
2024年 大問3題 大問1の小問集合が消去。記述式大問が3つに戻ったことで各大問の難易度が平年並みに戻ったため、高得点勝負に戻ったと推測される。
2025年 大問3題 問題量が多く、60分の完答は難化。最後の大問の設定がやや複雑。

差がつく対策ポイント5つ

1簡潔な記述を目指す

慶應の化学は「解の導出過程」および「その化学的根拠」を問う問題が多数あるが、問題数が多いためすべてを書こうとしても時間が足りなくなってしまいます。そのため、他大学よりも簡潔に要旨のみ書く記述を心がけましょう。

実践策:過去問や演習では、「根拠→計算→解答」で構成し、なるべく記述を削ぎ落とし簡潔な解答を作成できるようにする。

2有機化学:構造推定+反応経路の論理を押さえる

有機は構造決定だけでなく、その構造がどのような反応経路を経て生成されるかの記述も出題されます。特に生化学的融合問題や構造異性体、光学異性体の候補を記述させる問題は頻出であり、構造と機能の両立理解が求められます。

実践策:反応機構と官能基変化を丁寧に言語化する演習で、「なぜその反応が進むか」の説明力を鍛える。また、問題演習の際には特に構造異性体の辞書式の数え方を行い、立体異性体のカウントミスを起こさないようにすることがもれなく数える鍵となる。

3理論・無機:知識を”記述”に変換する力

イオン化、錯体、結晶構造などの無機・理論は、暗記ではなく”言葉にできるか”が差を生む領域です。特に慶應医学部の理論化学は記述問題が多く出題される傾向があるため、教科書知識も記述式で正確に表現できる力が必要です。無機化学は教科書レベルのイオン動態(沈殿、錯イオン、分離方法)は確実に得点できる必要があります。

実践策:重要項目をまとめ、自分の言葉で記述できるようにしておく。過去問演習などが効果大。また、暗記事項は試験直前に見直せるようにまとめを作成する。

4計算の正確性、速度の向上

60分で複数の設問を処理するには、短時間で正確な計算を行うことが不可欠です。特に慶應の化学は時間に対してトップクラスに計算量が多いため、十分に計算の演習を積むことが大切です。

実践策:市販問題集を時間を計測して解く練習を。慶應や国立大学等の過去問も問題演習として有効となる。

5応用設問対応:時事・実用テーマへのアンテナ

高分子や生化学、材料化学などでは、医療・環境とのつながりを意識した設問が出題される傾向にあります。問題の設定を知っているだけでも誘導に乗りやすくなるため、余裕があるようであれば普段の演習に加えて大学の生化学や医療の歴史を学習するなどをしても効果的な対策となります。

実践策:Newtonや化学ニュースを読み、大学以降の化学の範囲や時事問題、化学の歴史を知識として学んでおく。

使用教材・対策法まとめ

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領域 教材 対策法
記述力 慶應や他大学の過去問 実際に初見の設定にあたった際にも誘導に乗り回答することになれておく。
有機構造
・反応
過去問、有機化学演習、化学の新演習 初見の設定の有機化学に親しむ、難易度としても適切
理論・
無機
重要問題集、他大学の過去問 厳し目の時間制限でも解答を作成できるように簡潔な記述とすることを意識する
計算×
スピード
過去問+タイマー 計算スピードを向上させるように、時間設定を設けて演習を行うようにする
背景知識 Newton・医学関連記事 大学範囲の化学についても書籍などを通じて背景知識を学んでおくと、初見設定でも誘導に乗りやすく時間短縮につながりうる。

まとめ:慶應の化学は”正確、迅速な計算”と”簡潔な記述”の勝負

慶應医学部の化学は、計算スピード+思考プロセスの簡潔な記述が求められる試験です。
また、化学史的視点や医療応用を背景に持っておくとそれに関連したトピックが出題された際に他の受験生にかなり有利を取れます。迅速な計算、簡潔な記述、化学の背景知識増強を日々の演習を通じてで鍛え、本番では的確に問題を処理して他の受験生からリードしましょう。

生物対策
【慶應医学部生物2025年入試対応】

“超高精度記述型”入試を突破する差がつく戦略とは?

慶應義塾大学医学部の生物は、全国最難関の一角として知られ、「医学に直結する知識」と「論理的な記述力」「データ処理力」が高度に融合した問題が出題されます。設問のほとんどが論述形式であり、「深い理解」「複雑な図表の解釈」「筋道立てた説明」が得点の鍵を握ります。

本記事では、2021年〜2025年の過去問分析をもとに、2026年入試以降に向けた”本質を突く戦略的な対策法”について記述します。

試験概要と形式

試験時間

理科2科目で120分、1科目あたり60分となる。

出題構成

大問3題・すべて記述式。誘導文や実験説明が多く、時間がどうしてもかかる問題構成となる。

難易度と配点

60分で全問正答は困難。典型問題を”速く正確に”処理することが肝要。

慶應医学部の生物は、単純な知識確認ではなく「生物現象の背景原理を言語化する力」を重視しています。実験や図表をもとにした「多段階の記述解答」が多く、背景には医学と直結するテーマが多いのも特徴です。文章量・記述精度ともに他大学とは一線を画します。

◆ 近年5年分の出題傾向を総点検

▼ 年度別分析(2021〜2025年)

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年度 主な出題テーマ 特徴的な傾向
2021年 生理学、微生物学 問題に誘導にいかに乗り切れるかが鍵。時間的制約が厳しい中でどれほど誘導理解できるかが合否を分けた。
2022年 細胞生物学、微生物学 グラフ問題や実際の実験考察問題が中心。記述量も多い。
2023年 微生物学、生理学、進化 大問1が見慣れないテーマとなっており、かなりの負担となる。時間配分が合否を分けたと考えられる。
2024年 生化学、細胞生物学、環境 実験考察問題が多く、解答に時間がかかる問題構成となっている。
2025年 植物、細胞生物学 大学の生理学を背景とした問題が出題されている。

◆ “差がつく”慶應医学部生物対策5選

1医学系テーマを扱った実験考察問題への慣れ

慶應の生物は医学部で学習するよう微生物学や細胞生物学、生理学を背景とした出題が多いです。。高校範囲の知識だけでなく、大学レベルの生物の知識を知っておくと背景の理解に役立ちます。

対策:
時間に余裕があれば大学生物の入門書にも触れてみましょう。特に医学部で扱うような生物に触れておくと効果的です。

2多段階記述問題への”構成力”を鍛える

「理由を説明せよ」「その結果どうなるか」「生理学的背景を述べよ」など、1問に複数要素を含んだ設問が多く出題されます。答える順番・粒度・言い換え技術など、模範記述を分析して”答案構成の筋道”を身につけましょう。

対策:
全問詳細に記述すると時間が足りないため、問われている要素に簡潔に回答するように記述の練習を行いましょう。

3一語一句まで詰める”言語表現精度”の訓練

慶應生物の解答は記述式であり、採点も細かいことが予想されます。そのため、「浸透圧が上がる」ではなく「細胞外液の浸透圧が上昇し、ADH分泌が促進される」のように、主語、述語を明確に記述し、因果関係をハッキリする記述を心がけましょう。

対策:
難易度の高い問題集や東大、京大などの難関大学の過去問を用いて記述練習を行いましょう。

4実験考察問題で”ミスしない型”を持つ

「変化の予測」や「考察の妥当性評価」など、仮説検証型の実験問題では、解答に”型”が有効です。「実験目的→操作→観察点→予測→結果→考察」のような一連の思考パターンを意識して問題に臨むことで、取りこぼしを防ぐことができます。

対策:
実験問題に多く取り組み、実験考察型の問題になれるようにしましょう。特に慶應医学部の生物は実験も難解なものになっています。

5採点基準を意識した自己添削、時間配分

慶應の生物では、「採点者の読みやすさ」も重要です。制限時間内で解答した後に自記述答案を確認し、わかりにくい部分・主語述語の対応ミス・因果の曖昧さをチェックする習慣をつけてください。採点基準を意識して「採点者に届く記述」を目指す視点が差をつけます。

対策:
時間制限内になるべく多くの問題に手を付け、記述を簡潔に書く訓練を行うことで時間内に点数を最大化する練習を行いましょう。

◆ 慶應医学部生物 対策別 推奨教材と活用法(1項目ずつ)

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対応する対策項目 教材 活用法
① 医学系テーマへの慣れ 医学部生物(特に基礎医学)の入門書『はじめての〇〇』シリーズなど 医学的背景を補完。1日1〜2節ずつ読解し、高校知識との関連をノートに整理する。
② 多段階記述構成の訓練 思考力問題精講 生物』、『生物 新・考える問題100選』(駿台文庫) 設問ごとに構成メモ(要因→過程→結果)を作成し、論点を外さない記述を練習。
③ 言語表現の精度向上 東大、京大の過去問など 模範解答と照らし、主語・述語・因果の明確さをチェックする。
④ 実験考察問題への対応力 生物重要問題集(数研出版) 実験問題を「目的→操作→予測→結果→考察」の型で整理し、答案構成を訓練する。
⑤ 採点基準を意識した自己添削と時間配分 慶應医学部 過去問、各実戦模試など 実際の試験時間に相当する制限時間で演習後自己採点を行い、採点者視点で減点要因を分析、改善する。

◆ まとめ:慶應医学部生物は”論理の正確さ×表現の精度”

慶應医学部生物は、単なる「知識の羅列」では評価されません。複雑な実験設定やデータを咀嚼し、自分の言葉で筋道を立てて説明する力が求められます。内容の正しさと、記述の構造・精度、そのどちらもが合格の鍵です。

まずは過去問を解き、自分の表現と模範解答との差分を見つけ、構文・用語・表現力を磨いてください。実験論述に強くなること、実験内容や背景を迅速に理解することが慶應合格への最大の近道です。

小論文・面接対策

1. 慶應医学部入試における位置づけ

慶應義塾大学医学部の入試は、日本で最も高難度である医学部入試の一つです。一次試験の学科(英語・数学・理科2科目)で高得点を取ることは必須ですが、二次試験の小論文と面接も手を抜けない重要な要素となります。

慶應医学部は「独立自尊の気風を養い、豊かな人間性と高い倫理観を持ち、患者中心の医療を実践し、世界の医学を先導する人材」を育てることを教育理念に掲げており、単に知識量や試験成績だけではなく、将来医師として社会をリードできる資質を持つかどうかが問われます。小論文や面接を通じて、医師志望者としての価値観や倫理観、そして社会課題を多面的に捉える姿勢が求められます。

2. 試験概要と配点

小論文

2021年度から60分となった。1題のみの出題で600〜800字程度の記述が求められる。

面接

個人面接形式、5〜10分程度の面接が2回ある。事前記入の面接シートに基づいて面接が行われる形式。

配点は公開されていないため、点差をつけるものというよりも小論文・面接試験で医学部に不適格な受験生を落とすのに使用されていると推測されます。

つまり、最終合格を勝ち取るには、一次試験で学力を証明したうえで、二次試験で「医師としての人物像」を示すことが不可欠です。どれほど一次試験での得点が高くても、二次試験の受け答え次第では不合格となってしまう可能性も十分にあります。

3. 小論文の出題傾向と対策

出題傾向

慶應医学部の小論文は、医学・生命倫理・社会問題に関するテーマが中心です。近年の出題は、医療や社会問題に関する課題文を提示し、それについて自身の意見を論じる形式が多いです。そのため、慶應医学部の小論文は医学的知識・背景だけでなく社会全体の視点を踏まえた論述が求められます。

対策ポイント

1小論文の記述の型を学ぶ

小論文には自分の意見を論述するタイプ、論理的に賛成、反対の立場を取り記述するタイプの2つが存在します。それぞれにおいて記述パターンが異なってくるため、設問の聞かれ方でどちらの記述タイプにすべきかをすぐに判断できるようにしましょう。

2論理的構成力

小論文はあくまでも受験者の論理的思考力を問うている問題となります。「小論文」だからといって自身の意見を根拠なく書き連ねても得点には繋がりません。小論文の試験では自身の意見を論理的根拠を以て展開し、医学志望者らしい論理展開を心がけましょう。

3医学的知識のストック

生命倫理(臓器移植、安楽死、出生前診断)、医療と技術(AI、遠隔診療)、公衆衛生(パンデミック対策、ワクチン政策)といったテーマについては、自分の意見を常に持てるよう整理しておくと安心です。市販の小論文テーマ集などを用いて近年ホットトピックとなっているテーマについては自分の意見を論理的に持てるようにしておきましょう。

4多面的視点の意識

患者と家族、医師と社会、個人の自由と公共の利益など、複数の立場から問題を捉える練習をしておくと、答案に厚みが出ます。特に小論文中にこれらの視点を交え、その反駁を行うことによって自身の答案がより根拠を持ったものとなるため、文字数が許せば積極的に取り入れるようにしましょう。

5字数調整と時間配分

小論文試験では制限字数を守りつつ、序論・本論・結論のバランスを取る力も重要です。60分という試験時間では、読解、構成に10分、執筆に40分、見直しに10分を目安にすると安定します。

4. 面接の形式と評価

面接形式

慶應医学部の面接は個人面接(受験生1人に対し複数の面接官)で行われ、5〜10分程度の面接が2回行われるのが一般的です。雰囲気は全体的に穏やかですが、志望理由や倫理観に関しては鋭く突っ込まれることもあります。また、再面接制度もありますが再面接=不合格では決してないので焦らず質疑応答を行いましょう。質問例としては一般的な医学部面接で聞かれる物がほとんどです。また、評価点も他の医学部同様に人間性、倫理性、社会性が評価基準になっていると考えられます。

面接対策のステップ

1志望動機の深化

慶應医学部の特徴(私学の伝統・研究志向・国際性・リーダー育成など)を、自分の将来像と関連づけて説明できるようにしましょう。特に志望動機はすべての医学部で共通して聞かれるので「なぜ慶應医学部なのか」「慶應医学部で自分がなにを行いたいか」を明確にして志望動機を練りましょう。

2最新医療ニュースの把握

パンデミック後の医療体制、AI医療の進展、医療費制度改革などをテーマに、自分の考えを持っておきましょう。こちらも小論文同様に市販の面接テーマ集等を用いると効果的に対策可能です。

3想定問答の準備

「志望動機・自己分析・医療倫理・社会問題」を中心に20問程度、想定問答を作成しましょう。こちらは慶應医学部面接に限らず、すべての医学部面接対策に役立ちます。

4模擬面接での実践

家族や先生などに協力してもらい、実際の場面を想定して面接練習をしましょう。声のトーンや姿勢、話し言葉での論理性や適切な敬語表現を身につけましょう。

5. 学習・準備スケジュール

9月〜1月

共通テストや他大学の対策を優先しつつ、医療・倫理系の時事テーマを収集しましょう。新聞記事や医療系ニュースを要約し、論理的根拠を以て自身の意見を持つ習慣をつけておくと自然と小論文、面接対策となります。

1月後半〜2月

小論文、面接対策の振り返りを行いましょう。各医学部入試があるため、小論文、面接対策はこの時期までに固め、自分なりの総復習セットを作成しておくと便利です。また、各医学部の2次試験受験前に面接想定問答を改めて確認しましょう。最新の医療ニュースも概略を確認し、自分の立場を即答できるように準備しておくと本番でもうろたえずに面接試験なので対応できます。

6. まとめ

慶應義塾大学医学部の入試は、学力だけでなく人物面の評価が非常に大きな意味を持ちます。二次試験では医師としての適性が測られるため、小論文と面接対策も手を抜くことはできません。小論文では「医学と社会の接点にある課題を、論理的かつ多面的に論じる力」、面接では「誠実さ・論理性・倫理性・使命感・リーダーシップ」をアピールできるようにあらかじめ準備しましょう。日頃から医学や社会に対する関心を持ち、自分の意見を言語化する習慣をつけることが最大の対策となります。

理三卒現役医師
東大医学部(通称:理三)卒現役医師
現在:
  • PMD医学部専門予備校講師
  • CES医師国家試験予備校講師