医学部編入の試験当日はどう過ごす?大分大学医学部に合格した社会人受験生の前日〜面接までの記録
東京大学文学部を卒業後、出版社で営業職として働いていたKさん。「子どものためになる仕事がしたい」という思いを原点に、文系・社会人という立場から医学部編入試験に挑み、大分大学医学部への合格を勝ち取りました。
本シリーズでは、Kさんの医学部編入合格までの道のりを全5回にわたってお届けします。
情報が限られる医学部編入という選択肢について、志望理由から受験対策、試験本番の実感、そして合格後の振り返りまで――一人の受験生のリアルな経験を、これから編入を考える方の参考にしていただければ幸いです。
こんにちは。
大分大学医学部2年のKです。
皆さんはGWをいかがお過ごしでしたか?
私は編入生4名と一般生3名の食事会に参加しました。
普段授業を受けるだけではなかなかお互いを知ることができていませんでしたが、はじめてじっくり話をすることができ、とても楽しかったです。
一般生の方々も年の差を気にせずフレンドリーに接してくれ、仲間として受け入れてくれていることを実感しました。
今後も同じ道を志し5年間を共にする仲間として仲を深めていけるといいなと思っています。
さて、前回まで、医学部学士編入試験の対策についてご紹介してきました。
今回は、編入試験前日から当日にかけての行動と心の動きについて、お話していきます。
前回までにお話ししたように、受験までに様々な試行錯誤を繰り返し、果てしなく続くように思える受験勉強も、過ぎてみればあっという間で、いよいよ受験当日がやってきます。
試験会場には、今日ともに闘うほかの受験生たちも徐々に集まってきています。
ざっと見渡すと、年齢層は非常に幅広く、大学ごとに受験生の雰囲気にも違いがあるように感じました。
たとえば、東京科学大学では比較的若い受験生や女性が多い一方で、大分大学では、40代くらいの方まで幅広く、男女比も半々に近く見え、全体としてバランスの取れた印象でした。
また、理系科目のみを課す大学では男性が多いようにも感じました。
いずれの場合も、みんな非常に優秀そうに見えます。
大手予備校のテキストを開いている人、びっしりと書き込まれたノートを見返している人、見たことのない専門書を持ち歩いている人など、その姿を見れば見るほど緊張感は高まっていきました。
そこで私は、あえて周囲を見すぎないようにし、自分の世界に意識を集中させることを心がけました。
周りの受験生がどんなに優秀そうに見えても、受験当日に重要なことは、平常心を保つことです。
そのためには、当日および前日のルーティンを作っておくのが良いでしょう。
参考までに、大分大学の筆記試験前日および当日の過ごし方について記します。
私は、前日の昼過ぎに大分駅に到着し、ホテルに荷物を置いた後、駅周辺のコワーキングスペースで自習を行いました。
大分大学の生命科学試験は、一問一答形式と記述問題で基礎知識を問う傾向があるため、直前期には難解な論述問題や複雑な計算問題に取り組むのではなく、基礎知識の確認を重視しました。
あらかじめ頻出分野と自分の苦手分野を整理したオリジナルノートを作成していたため、それを時間をかけて見直しました。
英語試験については、医療・医学をテーマとした比較的平易な長文読解が中心であるため、「読む感覚」を維持することを意識し、これまでに対策で使用した長文問題を解き直しました。
当日は余裕をもって起床し、NHKのラジオ体操を行った後、朝食をしっかりと取ります。
会場に到着後は、午前の生命科学試験に備えてオリジナルノートを再度確認しました。
昼休憩にはおにぎりを一つとチョコレートを少量摂り、その後は英語のポッドキャストを聞きながら会場周辺を歩いて過ごしました。
おにぎり一つと甘いものを摂取するのは、東京大学受験時代から変わらないルーティンです。
それぞれのルーティンの効果以上に、それを実行しているという行為そのものが、私に平常心と安心感を与えてくれます。
そのため、多少イレギュラーがあったとしても、ルーティンだけは崩さないようにしています。
試験が始まり、問題用紙を開く瞬間には一気に緊張感が高まります。
全体をざっと見渡したときに「見たことのない形式の問題がある」と気づくと、血の気が引くような感覚に襲われます。
実際に、一昨年の鹿児島大学の試験では、前年までと大きく出題傾向が変化しており、基礎知識を問う問題が減少し、実験や研究をベースとした応用的な問題が中心となっていました。
応用問題への対策が不十分だった私は対応することができず、ほとんど満足に解答できなかったことを覚えています。
受験校の選択にもよりますが、「どの大学でも」通用するレベルの学力をつけるためには、基礎の徹底に加え、実験や統計に関する素養も重要であると痛感しました。
大分大学の場合はどうだったかというと、全体としては、可もなく不可もなくという手応えでした。
昨年の生命科学試験は4つの大問で構成されており、大問1と大問3は一問一答中心で、標準的な出来だったと感じています。
大問2はやや特殊なテーマでしたが、自分が関心を持っていた分野だったこともあり、比較的自信を持って論述することができました。
一方で、大問4の計算問題は解法が分からず、途中で割り切って捨てる判断をしました。
あとから編入の同期に聞いてみると、皆大問2の記述問題と大問4の計算問題のどちらかができたらどちらかはできなかった、という感触だったようです。
英語試験については、比較的得意であったこともあり、落ち着いて取り組むことができました。
1時間で2つの長文を読み、主に英文和訳を行う形式でしたが、時間には余裕がありました。
そのため丁寧に見直しを行った結果、かえって「どれが正しいのか分からなくなる」という感覚に陥り、不安のためプルプル震える手で試験監督に解答を手渡したのを覚えています。
試験後の帰り道では、予備校に通っていると思われる受験生たちがグループで出来について話しており、ちょうど自分が解けなかった問題について議論しているのが聞こえてきました。
思わず足早にその場を離れ、「あとは結果を待つしかない」と気持ちを切り替え、次の試験に向けた準備に進むことにしました。
筆記試験の合格通知を受け取ったときは、心底ほっとしました。
はじめて生命科学を課される大学で筆記試験に合格し、とても嬉しかったです。
大分大学の最終試験は、グループディスカッションと個人面接です。
グループディスカッションでは、特定のテーマに沿って事前に待合室でまとめた意見を一人ずつ発表し、それをもとに議論が展開されました。
議論は非常に活発で、ある受験生の意見に対して別の受験生が即座に具体例や知識を挙げて補強する場面もあり、その応答の速さと精度に圧倒されました。
自分も発言の機会をうかがいながら議論に貢献しようと努めましたが、新たな視点を提示したり議論を大きく前進させたりするほどの発言ができたかと問われると自信はなく、他の受験生の優秀さばかりが強く印象に残りました。
その緊張を引きずったまま、今度は個人面接に進みます。
大分大学の個人面接は比較的穏やかな(いわゆる「ウェルカム」な)雰囲気で進み、志望動機の深掘りや、理転に伴う学習面の不安への対処、大分での地域医療への貢献意識などについて問われました。
また、実際の臨床現場を想定した質問も含まれていました。
質問内容自体は事前に準備していた範囲内であり、大きく崩れることなく対応できたと感じています。
ただし、一度「時間がないので簡潔にお願いします」と指示を受けた際には動揺してしまいました。
なんとか自分のペースを取り戻したものの、その後も合格発表までその指摘が頭から離れませんでした。
大分大学の場合はなんとかなったものの、私には、想定外の質問に完全にペースを崩してしまった経験もあります。
ある大学で、面接開始とともに、「5分間で自己アピールをしてください」と突然求められたのです。
細かい想定問答を繰り返し練習していた私は、想定外の形式に文字通り頭が真っ白になってしまいました。
結果としてしどろもどろになりながら3分程度で話し終えてしまい、その後の質疑応答でも立て直すことができず、不合格を確信する出来となりました。
また、どの大学でも文学部での研究内容を説明することには苦労しました。
面接官が理解に苦しむ様子を見せたり、「文学は全くわからないのですが」と前置きされたりするだけでも動揺し、自分の説明の軸がぶれてしまうことがありました。
こうした経験から、専門外の相手にも伝わる言葉で説明する訓練を重ねると同時に、予想外の質問や状況にも動じないための面接練習を、「さまざまな人と」「繰り返し」行うことの重要性を強く実感しました。
本番の試験では、学力だけでなく、環境の変化への適応力や精神的な安定、そして想定外への対応力が強く問われます。
筆記試験、面接、そしてその間のすべての時間が「試験の一部」であるという感覚を持って臨むことが重要であると感じました。
次回は最終回です。
合格発表を受けて私が感じたことと、受験生活全体を振り返って今思うことをお話しできればと思います。
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