京大国語2026 理系第1問 解説|恋愛論を言葉と表現の問題として読む|PMD

連載|京都大学入試問題 答案の分かれ目〜京大医学部合格に向けて

京大国語2026 理系第1問 解説|恋愛論を言葉と表現の問題として読む

対象:2026年度 京都大学 一般選抜(前期日程)国語(理系)第1問(40点)/分野:現代文・随筆/坂口安吾「恋愛論」(1947年)/説明記述4問
最終更新:2026年11月5日|執筆・編集:PMD医学部専門予備校 講師チーム|監修:岩崎 陽一(株式会社アクト 代表取締役)

本記事について

問題条件は、京都大学が公表している問題冊子と「解答又は解答例等及び出題意図」に基づく要約です。解答例・比較答案・解説・目標目安は本稿の独自作成で、比較答案は説明用の架空答案です。京都大学は採点基準や部分点の配分を公表していないため、本稿で示す点検項目は、公表された出題意図・配点・問題文の指示から整理したPMDの提案です。外部の分析・受験記は出典と立場を示して参照し、大学の公式評価とは区別しています。国語(理系)第1問は大学から出題意図のみが公表されているため、問一〜問四の解答例は本稿で作成したものです。本文は問題冊子に掲載された抜粋(一部省略)の範囲で扱っています。

恋愛についての文章を読むと、自分の経験や一般的な恋愛観を重ねたくなるかもしれません。2026年度京大理系国語第1問の坂口安吾「恋愛論」では、身近な題材を通して論じられる言語観と、考えたり小説を書いたりする意味を捉えることが大切です。

連載「答案の分かれ目」では、解説を読んで分かる段階から、自分で根拠のある答案を書ける段階へ進むために、同じ問題の二つの答案を比べます。京大医学科を目指す受験生に向け、京都大学が公表した出題意図から読み取れる評価の観点、本番での判断、次の演習で変えることまで整理します。

この記事でわかること
  • 解答の軸:問一は「愛」の訳語の苦労(不義の響きと「大切」という訳)、問二は言葉の使い分けに頼って物自体を見なくなる不安、問三は「あたりまえすぎる」真実をなぞる表現への嫌悪、問四は恋愛を本能から文化の問題へ引き出し、各自が自分の解答を探る営み。
  • 京大が見ている観点:出題意図は、問一を「第一段落を手がかりに要約」、問三を「類似した表現の繰り返しを手がかりに」、問四を「考えること」と「小説に書くことの意味」の二要素を本文全体に即して書く問題と説明している。
  • 答案の分かれ目:恋愛そのものへの賛否と、恋愛を考えたり小説に書いたりする意味を区別する。
  • 医学科での重み:第1問は国語(理系)100点満点中40点。医学科は国語を150点で評価する。
  • 目標目安と次の一手:25〜30分を出発点に、各設問に「問われたこと・根拠・結論」を一組ずつ対応づける。

時間・到達目標はPMDの編集上の提案であり、受験者の平均時間や合格に必要な科目別得点を示すものではありません。

1.問題の設定と、本番での位置づけ

結論:問一・問二の説明を固め、問三の理由と問四の「考えること・小説に書くこと」の意味を、本文の根拠に沿ってまとめる。

国語(理系)は全3題・100点満点で、第1問は40点です。本文は坂口安吾「恋愛論」(1947年)の抜粋で、設問はすべて「説明せよ」という記述問題です。問一〜問三は傍線部の説明・理由、問四は本文全体を踏まえた説明で、局所的な要約から本文全体の主張へと視野を広げます。

本文の流れ(本稿による要約) 設問
キリシタンが神の愛を説く際、日本では色恋が不義とされ「愛」に清純な意味がなかったため訳語に苦しみ、「大切」と訳した 問一(傍線部(1))
明治以来、外来文化に合わせて間に合わせた言葉が多く、同義語が多様で境界があいまい。「言葉の国」と言えるのか疑っている 背景
「惚れた」「愛した」と一語で使い分けられて便利そうだが、逆に物自体の機微を見逃し、万事を雰囲気ですませてしまう 問二(傍線部(2))
恋は一時の幻で必ずさめる。だが、死ねば白骨になるといった「あたりまえすぎる」真実は無意味だ 問三(傍線部(3))
恋愛は失敗するとわかっていても「するな」とは言えない。万葉集などの素朴な恋歌や、恋をすれば眠れないといった「きまりきったこと」は特に言う必要がない 問三の手がかり
恋愛を考え小説を書く意味は不変な心情をつきとめることではない。生活は各自が建設するもので、恋愛も本能から文化の世界へ引き出すところに問題がある。筆者自身も自分だけの解答を探し続けている 問四(傍線部(4))

題材が恋愛だからといって、「純粋な恋こそ価値がある」という道徳的な主張にまとめないようにします。筆者は、恋をすれば誰でも眠れなくなるのは「純情でもなんでもない」と述べ、純情という言葉で感情を美化する態度にも距離を置いています。

PMDが提案する目標目安

本問の演習時間:25〜30分

到達点:問一・問二の説明を固め、問三の理由と問四の「考えること・小説に書くこと」の意味を、本文の根拠に沿ってまとめる。

初回は所要時間を記録し、ほかの大問・科目との配分と、本人の答案を見て調整します。

教育機関の分析・受験者や解答者の見方から補う

教育機関の担当者による分析:Z会の大学受験担当者は第1問を[標準]とし、言いたいことを直接述べず読者の理解に委ねる表現が目立つ随筆だと分析しています。問二は「すなわち」以下が手がかりで「あべこべ」のニュアンスを生かすこと、問三は類似表現から「ほんとうすぎる」の意味をつかむこと、問四は解答要素の選定が特に難しく、傍線部までに筆者が否定・主張してきたことも考慮して絞り込むことを挙げています。[Z会京大受験対策サイト]

受験者本人の体験記(総合人間学部理系・自己申告):総合人間学部理系の受験記では、筆者が事前に作品を読んでおり、出題を喜んだと述べています。これは既読経験をもつ一人の手応えです。[キェルロイト]

国語指導者による独自の解答分析:国語指導者の解答分析では、終盤の問いについて、恋愛・言葉・考える営みの要素を解答欄へまとめる負担が指摘されています。参照記事には文系の設問番号も含まれます。[「天晴」塾・Backbeat]

PMDとしての学習へのつなぎ方:本文に親しみがあることと、設問に必要な要素を選べることは別です。初見でも既読でも、答案では本文の言語観と表現論へ戻ります。本稿は理系の問一〜問四に合わせており、文系の番号や独自の配点は流用しません。

2.比較の準備|どこまで進めた答案か

結論:比較するのは本文全体を踏まえる問四です。恋愛には普遍的な側面がある、という理解までは共通しています。そこから、考え表現する行為を無意味とするのか、生活と文化を作る営みへ結びつけるのかに注目します。

3.答案A|成立している部分と、足りない説明

結論:普遍的な感情への指摘を、考えたり書いたりする価値の否定へ広げると、本文の結論から離れます。

答案A|改善前・問四(説明用の架空答案)

恋愛は誰にでも起こる当たり前の感情なので、あれこれ考えたり、小説に書いたりしても意味はないということ。

恋愛の普遍的な側面は押さえています。しかし筆者は、そこから先に、人間が自分の生活を建設し、文化を育てていく問題を見ています。傍線部(4)が否定しているのは「不変な心情のあたりまえの姿をつきとめる」ことであって、考えることや書くことそのものではありません。

4.答案B|根拠を補って、結論までつなぐ

結論:恋愛という素材と、それを考え表現して自分の生活を築く営みを区別してまとめます。

答案B|改善後・問四の独自解答例(説明用の架空答案)

恋愛を考え小説に書く意味は、誰もが経験する本能的で不変な恋の心情を確かめることにはない。人間の生活は各自が建設すべきもので、その努力の足跡が文化を育ててきたように、恋愛も本能の世界から文化の世界へ引き出し、倦怠や心変わりにどう向き合うかを各自が自分だけの解答として探り続け、その模索を表すことにあると考えている。

答案Bは、本稿が作成した一例です。「考えること」と「小説に書くこと」の両方に触れ、本文の文化という論点へ接続しています。人生に必ず正解がある、筆者がその正解を知っている、といった結論は加えていません。筆者自身が「私自身だけの解答を探しつづけている」と述べている点に合わせています。

観点 答案A 答案B
比較の出発点 恋愛には誰にも共通する普遍的な側面があると読んでいる。 同じ。
不足・修正点 傍線部が否定している対象を取り違え、考え書く価値そのものを否定している。 否定される内容(不変な心情の確認)と、意味のある営み(生活と文化の建設)を区別している。
復習での確認 どの判断を省いたかを特定する。 その判断を自分で再現して書く。

5.設問別の解答・解説

結論:局所的な説明から全体の統合へ、設問ごとに根拠の範囲を変えます。以下の解答例はすべて本稿の独自作成で、実際の解答欄の大きさに合わせて長さを調整してください。

本文の筋道と設問の対応(本稿による整理)言葉の使い方への疑い(問一・問二)問一 「愛」の訳語の苦労西洋:人にも物にも使う「好む」と同じ語日本:色恋は不義、「愛」に清純な意味がない→ 苦心の末「大切」と訳す問二 「あべこべの不安」一語の使い分けで、便利に区別できそうに見える→ 区別したつもりで物自体の機微を見逃す→ 万事を雰囲気ですませる言葉で表現する意味(問三・問四)問三 退けるものあたりまえすぎる真実をなぞる表現・恋は一時の幻影で、必ずさめる・死ねば白骨になる・恋をすればねむれなくなる(きまりきった)・真情の素朴な吐露を高度の文学とみる見方問四 考え、書く意味生活はめいめいが建設すべきもの努力の歴史的な足跡が文化を育てる恋愛を本能の世界から文化の世界へ倦怠や心変わりにどう向き合うか→ 自分だけの解答を探し続ける問四の答案は、左を「否定される内容」、右を「考え・書く意味」として、一つの筋道にまとめる。
図1 本文の筋道と設問の対応(本稿による整理)。問一・問二は言葉の使い方、問三・問四は言葉で表現することの意味を扱う。問三で退けられる内容を、問四では否定部分に置く。

問一|「愛という語で非常に苦労した」とはどういうことか

第一段落の対比を使います。西洋では「愛す」は人にも物にも使う「好む」と同じ平凡な語でした。ところが当時の日本では、武士道のもとで不義は御法度で、色恋といえばすぐ不義と結びつき、恋愛はよこしまなものとされていたため、「愛」の字には清純な意味が含まれていませんでした。キリシタンは神の愛を説こうとしてこの訳語に困惑し、苦心の末に「大切」という言葉を用いて「余は汝を大切に思う」と訳した、という流れです。

問一・独自解答例

キリシタンがキリスト教の愛を説こうとした際、西洋では人にも物にも使う平凡な語であるのに、当時の日本では色恋は不義とされ、「愛」の字には清純な意味がなく不義につらなる響きが強かったため、適切な訳語が見つからず、苦心の末に「大切」という語を用いて「余は汝を大切に思う」と訳したということ。

何に苦労したのかを明確にすることが要点です。単に「適切な単語がなかった」と抽象化しすぎると、何が困難だったのかが伝わりません。筆者が「愛」という言葉を嫌っていたという心理だけへまとめないようにします。

問二|「不安」とはどういうものか

傍線部の直前で、日本語は「惚れた」「愛した」と一字の動詞で簡単に区別がつき「便利のようだが」と述べ、それに対して「あべこべの不安」を感じるとしています。直後の「すなわち」以下が中身です。一語の使い分けで区別をつけてすませてしまうため、物自体の深い機微や個性的な諸表象を見のがす。言葉にたよりすぎ、言葉は物自体を知るための道具だという観察の態度をおろそかにし、万事を雰囲気ですませる。その背景に、明治以来、外来文化に合わせて間に合わせた言葉が多く、同義語の境界があいまいだという指摘があります。

問二・独自解答例

明治以来、外来文化に合わせて急ごしらえで増えた日本語は同義語が多く境界もあいまいなため、一見便利に見える一語の使い分けで区別がついたつもりになり、かえって物自体の深い機微や個々の特徴を見逃して、言葉を物自体を知る道具として正確な表現を考える態度がおろそかになり、万事を雰囲気ですませてしまうのではないかという不安。

不安の対象を「言葉が多いこと」だけにしないようにします。言葉の多様さがどのような使い方を生み、それが何を損なうのかという関係が必要です。「便利に見えるのとは逆に」という「あべこべ」の向きも答案に残します。外来語が多いから日本文化は劣る、という価値判断を足す必要はありません。

問三|「ほんとうのことというものは、ほんとうすぎるから、私はきらいだ」と言うのはなぜか

出題意図が示すとおり、類似した表現の繰り返しが手がかりです。本文には「死ねば白骨になる」「死んでしまえばそれまで」は「あたりまえすぎる」から無意味だ、恋愛の相は万代不易の真実だが「真実すぎるから特にいうべき必要はない」、恋をすれば眠れなくなるのは「きまりきったこと」だ、という表現が重なります。万葉集・古今集の恋歌を、真情が素朴に吐露されているから高度の文学だとする考え方も、動物の本能の叫びと同じだとして退けています。

本文の言い回し 指している内容(要旨) 筆者の扱い
ほんとうすぎる/あたりまえすぎる 死ねば白骨になる、死んでしまえばそれまでだ 無意味である
必ず亡び、さめる 恋愛は常に一時の幻影である 知っていても、それをするなとは言えない
真情が素朴純粋に吐露されている 万葉集・古今集の恋歌を高度の文学とみる見方 動物の本能の叫びと同じだとして退ける
真実すぎる 恋をするとねむれなくなる、別れの苦しみなど、万代不易の恋愛の相 特にいうべき必要はない
きまりきった 恋をすれば誰でも、ねむれなくなったり手紙を書かずにいられなくなったりすること 勝手にそうするがいいだけの話で、純情でもなんでもない
問三の手がかり:類似した表現の繰り返し(本文の語句は青空文庫版で照合。要旨と扱いは本稿による整理)
問三・独自解答例

恋が一時の幻で必ずさめることや、人は死ねば白骨になることのような、万人に共通する真実はあたりまえすぎて、言葉にしても無意味だと考えるから。筆者は、言葉による表現の価値を、そうした自明の事実や素朴な真情をなぞることではなく、それを知ったうえで各自がどう生きるかを問うところに見ているのである。

筆者は、恋愛感情の存在や、恋が幻であるという事実そのものを否定しているのではありません。また、表現には常に珍しい事件が必要だ、と言っているのでもありません。一か所だけで解答を作らず、「ほんとうすぎる」「あたりまえすぎる」「真実すぎる」「きまりきった」という言い回しを並べ、筆者の表現観として一つにまとめます。

問四|恋愛について考えたり小説を書いたりする意味

傍線部(4)は、その意味は「原始的な(不変な)心情のあたりまえの姿をつきとめようなどということではない」と述べます。続けて、人間の生活はめいめいが建設すべきもので、その努力の歴史的な足跡が文化を育ててきたこと、恋愛も本能の世界から文化の世界へ引き出し、めいめいの手で作ろうとするところから問題が始まることが示されます。

その後のA君とB子の例は、本文中で筆者が仮に置いた二人です。恋の最中の眠れなさや別れの苦しみは親も先祖も子孫も変わりがないから「文句はいらぬ」一方、二人はやがて例外なく倦怠し、別の面影を胸に宿したりもする。そうなったときにどうするかを考えるところに問題があり、筆者は「その解答を私にだせといっても、無理だ」「私自身だけの解答を探しつづけている」と結びます。本文(抜粋)は「考えたり小説を書いたりする」を一まとまりで論じているので、小説に書くことの意味は、生活を建設する努力の足跡が文化を育てるという記述と結びつけて説明します。

答案Bはこの二つの要素を一つにまとめた例です。問三で退けた「あたりまえの真実の確認」を問四の否定部分に置くと、全体の筋道がそろいます。

6.京大の採点で見られること|出題意図からわかる範囲

結論:採点基準は非公表ですが、国語の出題意図は設問ごとに「何を手がかりに、何を書くか」をかなり具体的に示しています。答案の自己点検にそのまま使えます。

京都大学は、答案の採点基準や部分点の配分を公表していません。公表されているのは、各科目の出題意図、問題冊子に記載された満点・配点、学部ごとの配点(募集要項・選抜要項)です。また「解答又は解答例等及び出題意図」では、解答例等を示した場合でも1つの解答例であり、これに限らないこと、質問や問い合わせには対応しないことが明記されています。そこで本節では、公表資料に書かれている観点を本問に当てはめ、答案で何を示せばよいかを整理します。部分点の点数は推定しません。

公表資料 書かれていること(要旨) 本問の答案で示すこと
出題意図(第1問全体) 恋愛という身近なテーマをめぐり、恋愛を表す言葉やその歴史、恋愛を描くことの意味を通して筆者の言語観と表現論が展開される。論理の流れに沿って主張を正確に読み取る力と、それを簡潔かつ明確に表現する力を問う。 恋愛論としてではなく、言葉と表現の問題として各設問を答える。
出題意図(問一) 「愛という語で非常に苦労した」と筆者がまとめる内容を、第一段落を手がかりに適切に要約する。 西洋と日本の語感の違い、不義の響き、「大切」という訳を入れる。
出題意図(問二) 外来文化の流入に合わせて増えた言葉と、それに伴う言語使用の実態について、筆者がどこに「不安」を感じているかを明確に記述する。 使い分けで区別したつもりになる→物自体を見逃す→雰囲気ですませる、の関係。
出題意図(問三) 類似した表現が数箇所で繰り返されることを手がかりに、筆者が言葉を用いて表現することをどのように捉えているかを読み取る。 「あたりまえすぎる」「真実すぎる」「きまりきった」をまとめ、表現観として書く。
出題意図(問四) 本文全体の主張を的確に理解しているかを問う。「恋愛について」考えることと、それを小説に書くことの意味という二つの要素を、本文全体の記述に即して明確に書く。 否定される内容と意味のある営みを区別し、考えること・書くことの両方に触れる。
問題冊子の注意事項 解答は解答冊子の指定された箇所に記入する。解答に関係のないことを書いた答案は無効にすることがある。 問いに答える文だけを、指定の欄に書く。
配点 国語(理系)は全3題・100点満点で、第1問は40点。医学科は国語を150点で評価。 現代文1題の重みは大きい。

どの要素に何点が配分されているかは公表されていないため、本稿では推定しません。ただし出題意図が「簡潔かつ明確に表現する力」を明記している以上、本文の語を多く並べるより、問いと根拠の関係を一つの筋道で示すことが基本です。なおZ会の分析によれば、京大理系国語の解答欄は1行14cmで、1問あたり2〜5行程度の設問が並ぶ形式です。

京大医学科の配点の中での位置

区分 内容(令和8年度入学者選抜要項より要約) 配点
大学入学共通テスト 6教科8科目。第1段階選抜は、共通テストの合計(英語はリーディング150点・リスニング50点に換算)が1000点満点中700点以上の者から、募集人員の約3倍まで 275点
個別学力検査 国語150点・数学250点・理科(2科目)300点・外国語300点 1000点
面接 医師・医学研究者としての適性や人間性などを評価。配点は数値で示されておらず、学科試験の成績にかかわらず不合格となることがあると明記 —
本問の位置 国語(理系)は全3題・100点満点で、第1問は40点。医学科では国語を150点で評価する (参考)40/100
2026年度の医学科(前期日程)は募集人員103人・志願者264人(志願倍率2.6倍)、合格者105人(京都大学「一般選抜出願状況と選考結果」)。

7.本番の時間配分と、途中答案の残し方

結論:最初の読解で、愛の訳語、言葉への不安、あたりまえすぎる真実、文化として考え表現する営みという流れを短く押さえます。問四に時間を使い切らず、問一〜問三も問いへの答えが明確かを確認してから推敲します。

決まった字数を埋めることより、設問の要求に必要な関係をそろえることが優先です。解答欄の行数を任意の字数制限へ置き換えて自己採点せず、実際の大きさの欄に書き切れるかを演習で確かめます。

8.京大医学科を目指すなら、どこまで完成させたいか

結論:問一・問二の説明を固め、問三の理由と問四の「考えること・小説に書くこと」の意味を、本文の根拠に沿ってまとめる。

対象 復習で到達したい状態
問一 第一段落の対比(西洋の平凡な語/日本の不義の響き)と「大切」という訳を説明する。
問二 言葉の多様性と、物自体を見逃す使用態度を区別し、「あべこべ」の向きを残す。
問三 繰り返される類似表現をまとめ、あたりまえすぎる真実をなぞる表現への批判を捉える。
問四 考えること・小説を書くことを、生活の建設と文化の育成に結びつける。

国語以外の科目を含む2026年度京大医学部の分析は、京都大学医学部 科目別の入試傾向と対策にまとめています。

9.個別指導では、誤答から何を確認するか

結論:正答・誤答だけで終えず、知識、条件整理、読解、表現のどこを直すかを本人の答案から決めます。

マンツーマンでは、「本文にそう書いてある」だけで終えず、その根拠が問いにどう答えるのかを本人に説明してもらいます。問四が逆向きになる場合は、普遍的な感情についての記述と、人間の生活・文化についての記述を分けて整理します。

復習では、まず答案に入れる要素を短い箇条書きにし、その後に一文か二文へまとめます。実際の解答欄に収まる分量へ調整し、長く書けたかより、問いと根拠の対応を確かめます。

10.次の答案で変えること

結論:各設問に「問われたこと・根拠・結論」を一組ずつ対応づける。

  • 問二の不安を「言葉が多いから」だけで終わらせない。
  • 問三では、同じ趣旨の言い回しを本文から三つ以上拾ってから書く。
  • 問三と問四の結論が矛盾しないよう、あたりまえの真実と、生活を建設する営みを分ける。
  • 問四で「考える」と「小説を書く」の両方に答える。

説明答案を点検する三つの観点

  • 問いの中心語に答えているか。問一なら「どういうことか」、問二なら「不安」、問三なら「なぜ」、問四なら考えたり書いたりする「意味」を明確にする。
  • 本文にない価値判断を加えていないか。恋愛の善悪や日本語の優劣へ飛躍しない。
  • 抽象語を並べるだけになっていないか。何を、どのように捉えるという関係を書く。

本文の語を多く使っても、その関係が逆転すれば説明にはなりません。各文の主語と結論を確かめ、問いに対して一つの筋道が通っているかを読み返します。

11.よくある質問

結論:本問を解き直す前に、次の疑問を確認してください。

Q.自分の恋愛観を使って説明してよいですか?

A.解答の根拠は本文です。経験は理解の助けになりますが、恋愛の善悪や理想を加えず、筆者が言葉と表現をどう捉えているかを説明します。

Q.問三で「ほんとうのこと」を嫌うと言い、問四で恋愛を考える意味を認めるのは矛盾しませんか?

A.矛盾しません。筆者が無意味とするのは、恋は幻でいずれさめるといった、誰にでも当てはまる「あたりまえすぎる」真実をなぞることです。一方、問四で意味があるとされるのは、その先で各自が自分の生活をどう建設するかを探ることです。この区別を答案に残すと、全体の筋道を示せます。

Q.京大は国語の採点基準や部分点を公表していますか?

A.公表していません。国語(理系)第1問について公表されているのは出題意図で、解答例は示されていません。ただし出題意図には、問一は第一段落を手がかりに要約すること、問三は類似した表現の繰り返しを手がかりにすること、問四は「考えること」と「小説に書くことの意味」の二つの要素を書くことなど、答案に入れるべき観点が具体的に書かれています。

Q.文系の解説も参考になりますか?

A.本文の理解には役立ちますが、設問番号がずれます。文系の第1問は5問で、「言葉の国」「御利益」を説明する設問が加わり、理系の問二〜問四は、出題意図の上では文系の問三〜問五に当たります。番号と問いの対応を原本で確認し、文系の解答や独自の配点をそのまま理系へ移さないようにします。

答案のどこで止まったかから、次の学習を決める。

PMDの京都大学医学部コースでは、講師と生徒の1対1で、現在の答案と学習状況を確認し、演習・添削・復習の進め方を一人ひとりに合わせて組み立てます。国語(理系)の答案を1枚お持ちいただければ、どこを直すべきかから一緒に確認します。

科目を絞った受講や、学校・他の学習環境との併用もご相談いただけます。オンラインでの受講にも対応しています。

参考資料・情報源の位置づけ

大学公表資料(問題・出題意図・配点)
教育機関の分析・解答者や受験者の振り返り

大学公表の出題意図と、本稿の独自解答・説明を区別しています。体験記の経歴・受験状況は投稿者の自己申告によります。個人の手応えを受験者全体の傾向や医学科合格者の基準へ一般化せず、解答者の感想は大学の公式評価と分けて紹介しています。

執筆・監修

執筆・編集:PMD医学部専門予備校 講師チーム

監修:岩崎 陽一(株式会社アクト 代表取締役)。医学部受験指導に30年以上携わり、PMD医学部専門予備校をはじめ医療系各予備校の運営と学習設計を統括。

最終更新:2026年11月5日/企画:PMD医学部専門予備校(運営:株式会社アクト)