九州大学医学部受験対策

偏差値・入試傾向から科目別対策まで徹底解説

大学基本情報

偏差値情報

医学部医学科:67.5~70

共通テスト得点率:87~91%

※河合塾・駿台調べ

学費情報(医学部)

入学料:282,000円

年間授業料:535,800円

6年間総額:約350万円

※国立大学標準額

合格状況

募集人員:約105名

志願者数:約270名

合格倍率:約2.5倍

※前期日程

九州大学医学部の特徴

九州大学医学部は、西日本を代表する旧帝国大学の医学部として、長い歴史と伝統を誇ります。中四国・九州地方で唯一の旧帝大医学部として、最先端の医学研究と臨床教育を提供しています。「医のプロフェッショナリズム」を重視し、高度な専門知識と技術、そして豊かな人間性を兼ね備えた医師・医学研究者の育成を目指しています。

アクセス

病院キャンパス:

福岡市地下鉄箱崎線「馬出九大病院前駅」から徒歩約3分

JR「吉塚駅」から徒歩約10分

入試日程

入試区分 出願期間 試験日 合格発表 募集人数
前期日程 1月下旬~2月上旬 2月下旬 3月上旬 約105名
帰国生徒選抜 若干名
私費外国人留学生 若干名
注意:九州大学医学部医学科は前期日程のみの募集です。推薦入試等は実施されていません。詳細な日程は必ず九州大学公式サイトで最新情報をご確認ください。

入試科目と配点

合格のための3つの柱

1. 共通テストで安定した得点

87%以上の得点率を目指し、全科目でバランスよく得点することが重要です。

2. 二次試験の高い実力

配点が高い二次試験で、標準問題を確実に解き、80%程度の得点を確保することが合格の鍵です。

3. 理科での高得点確保

理科の配点が高いため、物理・化学で確実に高得点を取ることが重要です。

保護者の皆様へ

お子様の九州大学医学部受験への挑戦を全力で支援してください。旧帝国大学の医学部は、日本最高峰の医学教育と研究環境を提供します。九州大学は九州・西日本地域の医療の中核を担う人材を育成しており、卒業後の進路も充実しています。

受験は長期戦です。お子様の健康管理とメンタルサポートを含め、家族一丸となって取り組むことが大切です。

前期日程(二次試験)

科目 出題範囲 試験時間 配点
数学 数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・C 150分 250点
理科 物理・化学(必須) 150分 250点
英語 コミュニケーション英語・論理表現 120分 200点
面接 個人面接

共通テスト

科目 配点
国語 100点
数学(数ⅠA + 数ⅡBC) 100点
理科(物理・化学) 100点
外国語(英語) 100点
地歴公民(1科目) 50点
情報 25点
ポイント:九州大学医学部は共通テスト475点、二次試験700点の合計1175点満点で合否が決まります。二次試験の配点が高く、特に理科が物理・化学必須となっているのが特徴です。旧帝大医学部の中では標準的な問題が多いため、80%程度の高得点が求められます。

入試の特徴と対策ポイント

数学対策(150分・250点)

出題傾向

制限時間は150分で、大問5題構成。大問1題あたり30分の計算で、時間的にゆとりがあるため、正確な答案作成が重要です。各大問は2~3問程度の小問に分かれています。

 

解答形式の特徴
全問記述式で、答えだけでなく解法や計算過程も丁寧に示す必要があります。制限時間に比較的ゆとりがあるため、論理の不備で減点されることのない、正確な答案作成力が得点を左右します。ミスを防ぐという観点でも、普段から解き方や計算過程を丁寧に書く学習ができているかが問われます。

 

出題分野
出題分野の偏りが小さいのが特徴です。微分・積分の出題がやや多めですが、数学全体から幅広い分野の問題が出される傾向があります:

  • 2024年:空間ベクトル(大問1)、複素数平面(大問2)、整数問題(大問3)、場合の数(大問4)、積分(大問5)
  • 2025年:空間ベクトル、積分、整数問題、三角比、確率
  • 空間ベクトル、積分、整数問題は連続して出題
  • 文理共通の問題が2題含まれ、数学II・Bまでの基礎力が問われる

 

難易度
大問ごと、年度ごとにかなり大きなばらつきがあるのが特徴です。2024年は各大問が概ね標準的な難易度でしたが、2025年は全体的に非常に易しい出題となりました(制限時間に余裕ができ、完答者が増えたと予想)。医学部受験生は、九州大学の理系数学が易化した年には、8割以上などの高得点を確保することが必要です。

 

証明問題
証明問題や、やや複雑な計算が必要な問題が出ることがあります。証明問題については、他の問題よりもさらに丁寧に論理を示すことが必要です。

 

具体的な対策方法

各分野の典型題は解き方も含めて完璧に学習しておくことが大切:

  • 解法や計算過程も記述する出題形式なので、論理の不十分さで減点されるリスクをなくしておきましょう。
  • 問題演習で対策をする中で、正解した問題についても解答解説を丁寧に読み、自分の答案と違うところがあれば、論理に不十分さがないか確認する習慣をつけてください。
  • 答案作成力に自信がなかったり、どこまで丁寧に書けばよいか迷ったりする場合や、高校の先生や医学部専門予備校のスタッフなどに相談して、答案を添削してもらうと効果的です。
  • なかなか添削の機会に恵まれない場合は、記述模試を受験して部分点がどのようにもらえるのかを確認したり、採点基準を読み込んだりすることが、九州大学数学の対策になります。

 

数学Ⅱ・Bまでの演習を欠かさず行う:

  • 文系との共通問題が出やすい傾向があり、数学Ⅲや数学Cの学習に集中しすぎると、あまり見慣れない大問の割合が増えてしまいます。
  • 九州大学理系数学の過去問対策において、確率や場合の数、三角比や整数問題などで見慣れない形式や、懐かしさを感じる形式の問題が出てきたら、その分野の問題演習量を増やして対策を強化すべきです。

 

難易度のばらつきが大きく、2025年のように多くの問題が標準レベルかそれよりも易しい内容になっていることがある:

  • どのレベルの問題が出ても、医学部合格にふさわしい得点を取れるようにする対策が必要です。
  • まずは、基礎~標準レベルの問題について、問題を見たらすぐに解き方が浮かび、論理面でも、計算などの作業面でもミスなく正確な答案を作成する力を養いましょう。
  • 九州大学理系数学の過去問の中から難しめの問題を選んで取り組んだり、場合によっては他大学の過去問で難易度が高めの問題に挑戦したりすることで、難問への対応力を高めてください。

 

過去問対策では、答案用紙の使い方を練習しておく:

  • 具体的には、答案用紙の真ん中に縦の線を入れて左右2面に区切るか、そのまま使うかの判断ができると効果的です。
  • 数学の答案は縦長に書くことが望ましいという意見があり、記述模試などでも左右2面に区切って解き方を示している受験生もいるでしょう。
  • この方法は、式を見やすくし、ミスを減らす対策として効果的です。
  • ただし、式が長い場合については、縦長の答案にしようとすると複数行にまたがり、かえって、見づらくなってしまいます。
  • 大問ごとに、解答用紙を縦に区切るか、区切らないでそのまま使うかを区別できると、より良い答案づくりが可能です。

 

まとめ

  • 九州大学医学部の数学は全問記述式
  • 制限時間にはややゆとりがある
  • 年度によって難易度のばらつきが大きい
英語対策(120分・200点)

出題傾向

制限時間は120分、大問は全5題構成です。九州大学の英語は全学部共通問題として出題され、文章記述型の設問が非常に多いことが特徴です。小問の数自体は少なめですが、字数や語数の多い記述問題が中心であるため、大問1題につき24分という時間配分はやや厳しい設定となっています。特に、日頃から解答時間が不足しがちな受験生は注意が必要です。

 

解答形式の特徴
大問別の出題構成は以下の通りです:

  • 大問1~3:長文読解問題
  • 大問4・5:自由英作文問題
  • 配点比率はリーディング130点、ライティング70点(2024年~)

 

出題分野
長文読解問題の特徴:

  • 行数の多い内容説明問題が中心
  • 2024年は10問、2025年は8問が日本語での文章記述形式
  • 2025年は英語で解答をまとめる問題も出題
  • 3~4行程度のまとまった分量の日本語記述が必要

自由英作文の特徴:

  • 大問2題分が出題される(配点割合が高い)
  • 語数は80~100語程度で、適切なつなぎ語や論理構成が評価のポイントになる
  • 2024年のテーマ:「日本における人口減少のプラスの影響」「大卒後の就職先を(与えられた選択肢から)選んで理由も述べる」
  • 2025年のテーマ:「旅行のルートを(与えられた選択肢から)選んで理由も述べる」「日本における商店街の衰退による影響」

 

難易度
全体としては標準的な難易度ですが、設問の多くがまとまった分量の記述を求める形式であるため、時間的な余裕はあまりありません。1問ごとの難易度は特別に高いわけではないものの、基礎力と表現力を含めた総合的な英語力が求められます。特に、高得点での勝負が求められる医学部受験生にとっては、英語が苦手な場合に大きなハンデとなりやすい点に注意が必要です。

 

具体的な対策方法

自由英作文の学習に力を入れる:

  • 通常の英作文と異なり、自由英作文では与えられたテーマをもとに、書く内容を自分なりに考える必要があります。
  • 英文で表現しやすい内容をスムーズに思いつく対策も欠かさず行ってください。
  • 九州大学英語の過去問対策をするだけでなく、英検などの自由英作文問題も解くことで、演習量を確保しやすくなります。
  • 自由英作文は解答が1つに決まりませんので、解答例を見て使えそうな表現をマスターしたり、添削指導を受けてより分かりやすい英文に直してもらったりする対策も効果的です。

 

長文読解問題では日本語での内容説明問題の練習を重ねる:

  • 単語や文法の知識が十分にあり、英文の内容を正しく理解することももちろん大切です。
  • 九州大学の英語では、3~4行程度といったまとまった分量の日本語で内容を説明する問題が多く出題されます。
  • 英文を正しく日本語に直せる力だけでなく、現代文などで求められるような、わかりやすい日本語で要点を記述する力も得点を大きく左右します。
  • 医学部受験生の中には、現代文の対策にあまり時間を割いていない人や、日本語でまとまった文章を書く機会が少ない人もいるはずです。
  • 九州大学の過去問対策をする前に、一般的な記述模試や、他大学の過去問などで、もう少し字数・行数が少なめの内容説明問題を数多く解き、まとめ方に慣れておく対策も役立ちます。

 

記述式問題が多く英語力が不十分だと得点が難しい:

  • 制限時間も厳しく、解答に手間取っていると解き残しが出るリスクも大きいです。
  • そのため、英語が苦手な医学部受験生は、英語の学習時間を増やして苦手意識をなくしておきましょう。
  • 少なくとも、長文読解で頻出の内容説明問題か、大問4・5で出題される自由英作文問題のいずれかについては、短時間で高めの得点が得られる答案を作成できるレベルを目指すべきです。

 

過去問対策では時間配分の練習が最も重要:

  • 長文読解と自由英作文のどちらを先に解くかを決めておきましょう。
  • 最初に自由英作文に取りかかり、ある程度英文をまとめた段階で長文読解に進むのも1つの方法です。
  • 自由英作文は書きやすいアイデアが出るかどうかも得点を左右しますので、長文読解を解き終えてから再び自由英作文の問題に目を通すことで、新たなアイデアが浮かぶこともあり得ます。
  • 自分に合った時間配分を見つけて、本番でも冷静に解き進められるようにしてください。

 

まとめ

  • 九州大学医学部の英語は記述量が多い
  • 長文3題+自由英作文2題が出る
  • 英語の得意・不得意で大きな差がつきやすい
物理対策(75分程度・125点)

入試傾向

九州大学医学部入試の物理は、理系学部の共通問題となっています。理科2科目を150分で解答する形式で、物理の制限時間は75分が目安です。

 

九州大学物理の大問数は3題と少なめですが、小問数が多めになっています。また、複雑な文字式の処理を含んだ計算が多くみられ、制限時間が厳しいと感じる受験生も多いでしょう。形式面では、文字式を答える問題が大半を占めています。論述問題は出る年と出ない年があり、2024年は1問の論述問題が出ました。一方、2025年は論述問題の出題がありませんでした。論述問題の割合が低いので、正確かつ素早い式処理ができるかが、得点を大きく左右する傾向です。計算問題の多くは文字式や数値を解答する形式で、導出過程を書かせる問題は限られています。解法や途中式を書かせる問題は、2024年に1問あり、2025年はありませんでした。

 

出題分野

出題分野の傾向は、力学と電磁気が頻出となっています。2024年、2025年ともに、大問1で力学、大問2で電磁気が出題されました。これらの分野について出題頻度が高いのが、熱力学や波動です。2024年の大問3が波動、2025年の大問3が熱力学に関する出題でした。九州大学の物理は、出題されやすい分野がかなりはっきりしている傾向があります。その分、頻出分野の対策を徹底できているかどうかが受験生間で差を生むことになりそうです。

 

また、問題文が長く、条件設定を丁寧に読み取りながら解き進める力が求められる傾向があります。条件を読み違えると作業がうまく進まなかったり、場合によってはミスが連鎖したりして大きな失点につながる可能性も否定できません。物理そのものについて十分な知識・理解があることを大前提としつつ、九州大学の物理では作業力や読解力など、受験生としての総合力が問われる傾向があります。

 

難易度

難易度としては、標準レベルの問題が中心となっています。各大問内でまとまりごとに小問を段階的に解き進めていく形式が多いことから、まとまりの前半は比較的易しめになっています。難問が出題されることは少なく、特殊な設定の問題が解けるかどうかより、標準レベルの問題への対応力の高低が差を生む入試です。

 

入試対策

九州大学物理の入試対策では、頻出分野である力学、電磁気の対策を重点的に行いましょう。厳しめの制限時間内に複雑な文字式を多く処理する必要があり、解法を学ぶだけでなく、実際に手を動かして作業する問題演習を繰り返し行ってください。九州大学物理の過去問で解答にかなり時間がかかったり、わからない問題が多く出てくると感じたりする場合は、一般的な実戦問題の演習など、1~2段階易しい問題を反復し、解答スピードと精度を高める対策が効果的です。

 

形式別の演習でも、計算量や作業量が多い問題に数多く取り組みましょう。正しい解法を学ぶだけでなく、途中式をどの程度書けば、スピードと正確さのバランスがとれるのかを考えることが大切です。その問題を解けるようにすることだけでなく、作業ミスを減らすにはどのような作業手順にすればよいかなど、入試本番での得点率を高める意識を持った対策が欠かせません。

 

また、分野別の問題演習では、大問3で出題されやすい熱力学や波動分野の対策も行いましょう。九州大学の物理は概ね標準的な難易度であり、医学部合格には高得点が求められます。出題分野がほぼ決まっている大問1・大問2の正解率を高めるだけでなく、年によって出題分野が異なる大問3についても、しっかり得点する準備が大切です。加えて、頻出分野以外についても標準レベルまでの典型題は確実に解けるようにしておき、九州大学の入試本番で、頻出分野以外からの出題があっても大量失点にならないようにしてください。

 

九州大学の医学部受験生は、物理の過去問演習で時間配分と作業の正確さに注意すべきです。時間配分については、制限時間の目安が75分、大問が3題なので大問1題あたり25分程度で解く必要があります。入試本番であわてることがないよう、過去問対策の段階ではあえて制限時間を少し短めに設定して演習を行うと効果的です。例えば、1大問当たりの制限時間を20~22分程度に設定しておくと、入試本番で時間に余裕を感じやすくなります。ただし、解答時間を短縮するために作業を焦るのは禁物です。前半の小問におけるミスが後半の小問に響くこともあり得ますので、大量失点につながるリスクは抑えましょう。

 

正確さを維持しつつ解答スピードを上げる対策として、典型題の反復演習のほか、式変形の手順が最良化を細かく確認する方法があります。正解した問題についても解説を読んだり、学校や医学部専門予備校の講師などに自分の計算過程を見せてアドバイスを受けたりしてください。より少ない手順で正解にたどり着ける方法を知る対策で、九州大学物理の得点力を高めましょう。

まとめ

  • 九州大学の物理では力学、電磁気が頻出
  • 熱力学、波動の出題も多い傾向あり
  • 素早く、正確な計算処理力をつけよう
化学対策(75分程度・125点)

入試傾向

九州大学の医学部入試では、理科2科目を150分で解答します。物理、化学、生物のそれぞれで極端に分量や難易度の差は見られないため、化学の解答時間は75分を目安と考えておきましょう。

 

九州大学の化学は、基本的に大問が5題となっています。ただし、大問ごとに小問の分量に若干の差があります。また、2025年から大問ごとの配点にもやや傾斜がつけられているため、すべての大問にかける時間を均等にする必要はありません。とはいえ、小問数が必ずしも解答にかかる時間とは比例しないので、1大問あたり15分が制限時間の目安です。計算問題の割合や小問数、配点などに応じて、10~20分以内で1大問を解き終えることが求められます。

 

出題分野

出題分野については、理論化学に関する出題が多い傾向があります。他大学では有機化学の出題比率が高いところが多いのに対して、九州大学の化学では理論化学が多く出題される点に注意してください。大問5題のうち、2題程度が理論化学、1題が無機化学、2題が有機化学などとなっています。また、有機化学の大問のうち、高分子化合物に関する大問が1題含まれることが多いです。

 

出題形式

出題形式としては、論述問題が出ることは少なく、記号選択や数値・用語を答える問題が中心です。高校化学についての知識・理解が十分であればテキパキ解答を進められる形式となっています。化学に関する知識量や、計算問題の理解度・演習量などがそのまま得点に反映されやすい点も、九州大学化学の傾向と言えるでしょう。計算問題では、文字式の処理などでやや煩雑な作業が求められる問題も見られます。制限時間にそれほどゆとりがあるわけではないので、普段からスピードと正確さを両立することを意識した問題演習をしているかどうかが得点を左右する内容です。

 

難易度

難易度としては、教科書レベルの基礎知識から、標準レベルの典型題が中心です。苦手分野をなくし、化学の基礎~標準レベルの理解ができていれば、安定した得点を確保しやすい出題となっています。難問が少ないことから、医学部受験生は九州大学化学で少なくとも8割以上、できれば9割程度の高得点を目指したいところです。知識問題をほぼ全問正解できるレベルに達しているか、計算問題でミスをせず、短時間で作業を進める力がついているかが、高得点が取れるかどうかのカギになります。

 

入試対策

九州大学の医学部受験生は、化学の入試対策として理論化学の計算問題の演習を重ねておきましょう。特に、電気化学や化学平衡などに関する計算問題については、解法に習熟するだけでなく、素早く、正確な作業ができるように十分な対策が必要です。また、有機化学についても、一部の大学に見られるほど極端に多く出るわけではありませんが、大問2題程度の分量で出ることが多く、優先的に対策すべき分野と言えるでしょう。有機化学の中でも、高分子化合物の問題が頻出となっていることから、高分子については知識を丁寧に整理し、得点源にしたいところです。

 

九州大学の化学は標準レベルまでの出題が中心となっています。多くの受験生が高得点を狙える内容で、特に医学部入試では高得点勝負になりやすいです。そのため、過去問演習にこだわるのではなく、まずは教科書レベルの知識を確実に定着させることから始めましょう。その上で、実戦レベルの問題演習を繰り返すことで、標準レベルの問題までを素早く、正確に解けるようにする対策が有効です。共通テスト化学の問題なども活用しながら、あらゆる定番問題に触れるようにしてください。ただし、九州大学の出題形式や制限時間についてある程度イメージしておいた方がよいので、まずは一度だけ過去問を解いて、自分の学力と九州大学化学のレベルにどのくらい違いがあるのかを把握するのも1つの方法です。

 

過去問対策では、時間配分の練習を重視してください。難問が少ない関係上、時間配分に失敗して解き残しが出てしまうと、他の受験生に差をつけられてしまいます。そのため、どの大問から解くのか、計算問題などでつまずいた場合に、どのくらいの時間で飛ばすのかなどを決めておくと安心です。基本的な戦略としては、計算問題がないか、その割合が少ない大問から取り組むのがおすすめになります。九州大学化学の過去問対策を重ねる中で、自分に合った時間配分や解答順序を見つけるようにしてください。

 

化学が得意で、過去問対策でも高得点が取れている受験生は、他大学の過去問で、やや複雑な計算問題の演習量を増やす対策も有意義です。ただし、入試の合否は総合点で決まるので、他に苦手科目がある場合などはそちらの対策を優先すべきです。化学の得点率が8割程度なのであれば、9割以上を目指して対策を強化しても良いでしょう。

まとめ

  • 理論化学からの出題が多め
  • 有機化学では高分子化合物が頻出
  • 時間配分に慣れて高得点を目指そう
生物対策(75分程度・125点)

入試傾向

九州大学医学部の生物は理系学部の共通問題で、理科2科目を選択して解答します。2科目での制限時間は150分となっており、生物の制限時間は75分が目安です。大問数は基本的に5題となっています。論述問題が複数出る上、小問数が非常に多いことから、生物の制限時間はかなり厳しい点に注意してください。計算量の多い物理など、理科の他科目でも制限時間は厳しく、適切な時間配分を行えるかどうかも得点を左右しやすい傾向です。

 

出題分野

九州大学生物の出題分野については、遺伝についての出題がやや多い傾向があります。2024年、2025年ともに、大問4で遺伝子に関する出題が見られました。その他の分野については、生物・生物基礎の全範囲からバランスよく出題される傾向です。ただし、2025年は生物基礎からの出題がなかったように、1年だけで見ると、全分野が出るわけではありません。どの分野が出題されるかが明確に決まっていないことから、生物・生物基礎の全範囲についてきちんと学習できているかどうかが問われます。

 

出題形式

出題形式については、用語記述問題が多い傾向があります。教科書レベルの基礎知識をきちんと整理しておけば得点できる問題だけでなく、やや答えにくい用語も出題される点に注意が必要です。また、論述問題については、字数が多めの小問が複数出ます。2024年は11問、2025年は4問ありました。論述問題の出題数には年度によってかなりばらつきがあると考えておきましょう。ただし、論述問題が少ない年でも制限時間にそれほど余裕はありません。短時間で適切な解答をまとめられる力は重要です。

 

計算問題については、2024年は出題がありませんでしたが、2025年は複数出題されました。先述のように2025年に論述問題の数が少なくなった点と関係している可能性もあります。計算問題は出題数こそ少なめですが、典型題を中心に短時間で正確に解けると、他の受験生と差がつきやすいです。

 

難易度

九州大学生物の難易度としては、標準レベルまでの出題が多いです。知識問題でややハイレベルな用語が問われることはありますが、基礎~標準レベルの知識・理解があれば、安定した得点を狙うことができます。九州大学医学部の受験生が生物で高得点を取るためには、難易度が高めの用語問題に対応できるかどうかと、適切な時間配分を行って全問を解ききれるかどうかがカギとなるでしょう。

 

入試対策

九州大学医学部の受験生は、生物の入試対策として、知識問題の得点力を高める対策を大切にしてください。用語記述問題の割合が高い傾向がありますので、まずは教科書レベルの基礎知識を確実に定着させましょう。また、九州大学の生物では、教科書だけでは学びきれない知識が問われることがあります。問題集の図や解説、資料集などにも丁寧に目を通し、普段から用語の知識を増やしておくことが望ましいです。

 

また、論述問題については、短時間で要点をまとめる対策を繰り返してください。2024年のように論述問題が10問以上出ることがあるため、地道に得点を積み重ねたいところです。とはいえ、1問に時間をかけすぎると、用語問題を含めて小問数が非常に多い九州大学生物では、他の問題の解答時間が足りなくなってしまいます。100字程度までの論述問題について、過去問対策だけでなく、一般的な問題集などでも数多く取り組んでおきましょう。

 

分野別の対策では、頻出分野の遺伝の学習時間をやや多めに確保してください。他大学での頻出分野となっていることが多く、遺伝分野だけ他大学の過去問にも取り組むのも1つの方法です。その他の分野については、万遍なく出題される傾向であることから、苦手分野を作らないことが大切です。多くの分野を同時に学習すると知識が定着しにくいので、時期ごとに分野を絞って学習し、苦手分野の克服や、得意分野づくりを一歩ずつ進めてください。

 

九州大学生物の過去問対策では、まず一度過去問を解き、制限時間の目安である75分以内に解ききれるかどうかを試してみましょう。制限時間を超過したり、時間内に解ききれても慌ただしさを感じたりした受験生は、どの問題に時間がかかったのかを分析してください。用語問題は徹底的な反復学習をして反射的に解答できるようにすることが大切です。

 

計算問題や論述問題については、1問に時間をかけすぎないようにしましょう。小問数が多い分、1問当たりの配点は必然的に小さくなります。行き詰まったなと感じたらすぐにその問題を飛ばし、他の問題で確実に得点する意識も身につけてください。医学部受験生は生物でも高得点を取りたいと考えているはずですが、1問にこだわりすぎて大量失点をすることだけは絶対に避けるべきです。なかなか時間配分がうまくできない場合は、各大問の用語記述問題だけを先に解くなど、明確なルールを設定した上で入試本番に臨むと安心できます。

まとめ

  • 出題分野の偏りは小さい
  • 用語問題の割合が高い傾向
  • 分量が非常に多く、テキパキ解き進める対策を
面接対策

面接形式:

個人面接で、医師としての適性や志望動機を評価します。点数化はされませんが、重要な選考要素です。

  • 医学部志望動機を明確に説明
  • 九州大学を選んだ理由
  • 将来の医師像・研究への興味
  • 地域医療への貢献意識
  • 最近の医療ニュースについて
  • 高校時代の活動・経験

 

過去の合格実績と出題傾向分析

合格者の特徴

合格最低点目安

共通テスト:約83-87%

二次試験:約65-70%

総合:約70-73%

※年度により変動あり

出身高校

・九州地方の進学校が多数

・福岡県内の高校が最多

・全国の進学校からも合格

・公立・私立の超進学校が中心

現役・浪人比率

現役:約40%

1浪:約35%

2浪以上:約25%

※浪人生の比率が高め

合格者の特徴

・二次試験での高得点が必須

・理科(物理・化学)が得意

・標準問題を確実に解く力

・九州地方出身者が多い

最近5年間の出題傾向

科目 頻出分野 難易度 対策優先度
数学 微分・積分、確率、複素数平面 標準~やや難 最重要
物理 力学、電磁気、原子物理 標準~やや難 重要
化学 理論、無機、有機のバランス出題 標準~やや難 重要
英語 長文読解、英作文、要約 標準~やや難 重要

よくある質問(Q&A)

Q1. 九州大学医学部の難易度はどのくらいですか?
偏差値67.5~70で、旧帝国大学の医学部として全国トップクラスの難易度です。西日本では京都大学、大阪大学に次ぐレベルで、東北大学、名古屋大学と同等とされています。共通テストで87%以上、二次試験でも70%以上の得点が必要です。
Q2. 推薦入試はありますか?
九州大学医学部医学科には推薦入試やAO入試はありません。前期日程のみの募集となっており、一般選抜で105名を募集しています。帰国生徒選抜と私費外国人留学生入試で若干名の募集がありますが、一般的な受験生は前期日程での受験となります。
Q3. 九州以外の出身者は不利になりますか?
九州大学医学部は全国から優秀な学生を受け入れており、出身地による不利は一切ありません。実際に全国各地から合格者が出ています。ただし、合格者の多くは九州地方出身者が占めているのも事実ですが、これは地理的な要因によるものです。
Q4. どの科目を重点的に対策すべきですか?

理科(物理・化学)と数学の対策が最重要です:

  • 理科:250点配点で物理・化学必須
  • 数学:250点配点で計算量が多い
  • 英語:200点配点で長文読解が中心

特に理科は標準的な問題が多いため、確実に高得点を取ることが合格への近道です。

Q5. 面接ではどのような質問をされますか?

九州大学医学部では個人面接が実施されます。主な質問内容は:

  • 医学部志望理由・医師を目指す動機
  • 九州大学を選んだ理由
  • 将来のビジョン(臨床医か研究医か)
  • 地域医療への関心
  • 高校時代の活動や経験
  • 最近の医療ニュースについて

面接は点数化されませんが、医師としての適性を判断する重要な要素です。

Q6. 他大学との併願はどうすればいいですか?

九州大学医学部の受験戦略として:

  • 国公立:大阪大学、東北大学、名古屋大学、北海道大学など
  • 地方国公立:熊本大学、長崎大学、広島大学など
  • 私立:慶應義塾大学、産業医科大学、福岡大学など

共通テストの結果を踏まえて、最終的な出願校を決定しましょう。九州大学のレベルを考慮して、適切な併願校を選ぶことが重要です。

合格までのロードマップ

学年別対策スケジュール

高校1・2年生

  • 基礎学力の完全定着
  • 物理・化学の先取り学習
  • 英語の語彙力・読解力強化
  • 数学の計算力向上

高校3年生春~夏

  • 応用問題演習の開始
  • 理科の実戦演習強化
  • 記述力の徹底強化
  • 模試での実力確認

高校3年生秋~冬

  • 過去問演習の集中実施
  • 時間配分の最適化
  • 面接対策の本格化
  • 共通テスト対策の仕上げ

直前対策

  • 解答戦略の最終確認
  • メンタルコンディション調整
  • 体調管理の徹底
  • 福岡での宿泊手配

最後に – 受験生・保護者の皆様へ

九州大学医学部合格への道筋

九州大学医学部は、西日本を代表する旧帝国大学の医学部として、最先端の医学教育と研究環境を提供しています。九州・西日本地域の医療の中核を担う医師・医学研究者を育成し、グローバルに活躍できる人材を輩出しています。

高い学力と医師としての使命感、そして地域医療への貢献意識を持つ皆様の挑戦を心から応援しています。