大阪大学医学部受験対策

偏差値・入試日程から科目別対策まで徹底解説

目次

大学基本情報

偏差値情報

医学部医学科:70~72

共通テスト得点率:88~92%

※河合塾・駿台調べ

学費情報(医学部)

入学料:282,000円

年間授業料:535,800円

6年間総額:約350万円

※国立大学標準額

アクセス

吹田キャンパス:

阪急千里線「北千里駅」からバス約15分

大阪モノレール「阪大病院前駅」すぐ

JR「茨木駅」からバス約25分

合格状況(2024年度)

募集人員:100名

志願者数:約400名

合格倍率:約4倍

※前期日程

大阪大学医学部の特徴

大阪大学医学部は、旧帝国大学として歴史と伝統を誇る日本最高峰の医学部の一つです。附属病院は特定機能病院として高度な医療を提供し、最先端の医学研究と臨床実習環境を備えています。研究医育成にも力を入れており、将来の医学界を牽引する人材を輩出しています。

2025年度入試日程

入試区分 出願期間 試験日 合格発表 募集人数
前期日程 1月下旬~2月上旬 2月下旬 3月上旬 100名
学校推薦型 11月上旬 11月下旬 12月上旬 10名
総合型選抜 9月下旬 10月中旬 11月上旬 5名
注意:詳細な日程は必ず大学公式サイトで最新情報をご確認ください。出願締切日の消印有効など、重要な条件があります。

入試科目と配点

前期日程(二次試験)

科目 出題範囲 試験時間 配点
数学 数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・C 150分 250点
理科 物理・化学・生物から2科目選択 150分 250点
英語 コミュニケーション英語・論理表現 90分 250点
面接 個人面接 約15分 段階評価

共通テスト

科目 配点
国語 200点
数学(数ⅠA + 数ⅡBC) 200点
理科(2科目) 200点
外国語(英語) 200点
地歴公民(1科目) 100点
ポイント:大阪大学医学部は共通テスト900点、二次試験750点の合計1650点満点で合否が決まります。共通テストで高得点を確保することが重要ですが、二次試験の配点も高いため、記述力と思考力が合否を分けるポイントとなります。

入試の特徴と対策ポイント

数学対策(150分・250点)

出題傾向の特徴

制限時間は150分で、記述式問題がすべて。数学Ⅲの微分・積分が頻出分野となっています。大問5題のうち2~3問が微積分に関する出題になることが多く、微分・積分単独の問題として出題されることもありますが、空間図形など他分野との融合問題になっていることも多いです。

微分・積分以外の分野では、確率や数列が頻出です。また、数学Cのベクトルの出題も多く、平面ベクトルと空間ベクトルのいずれも出題されやすいです。全体として、微分・積分を筆頭に、確率、数列、ベクトルの出題が多くなっており、出題分野の偏りが大きいのが特徴です。

難易度については標準的なものが多いですが、やや難易度が高い問題が出題されることがあります。作業量が多い問題や、完答するのが難しい問題が出題されることがある一方で、定番の問題が含まれていることもあるため、時間配分を意識することが大切です。

具体的な対策方法

  • 頻出分野の微分・積分については、融合型の問題を含めて多数の問題演習を行いましょう。計算量が多くなりやすい分野のため、正確で素早い処理ができるように練習しておくことも大切です。
  • 微分・積分の処理能力を高めるには、反復学習をするだけでなく、どのような手順で計算すれば処理スピードや精度が高まるのかを意識することも役立ちます。
  • 記述式問題のため、計算過程を丁寧に示すことでミスを防ぎつつ、万一ミスをした場合でも部分点が得られるような記述をする練習を、過去問演習で徹底することも重要です。
  • 出題頻度の高い分野の問題演習を繰り返すだけでなく、分野横断型の融合問題の対策にも積極的に取り組みましょう。
  • 医学部合格するためには、80%以上の得点率を目指すようにしましょう。
  • 制限時間内に全問題に取り組む練習をするだけでなく、分野別の過去問演習を行うことも効果的です。
  • 頻出の証明問題については、筋道立てて採点者に証明の論理を伝えるトレーニングが欠かせません。

英語対策(90分・250点)

出題傾向の特徴

制限時間は90分で、4つの大問構成。多様な英語の能力が求められます。4つの大問のうち半分の2題がライティング形式となっており、リーディングとライティングのバランスが取れた出題です。

大問1:英文和訳(英文解釈)

文章全体は短めですが、その中で下線が引かれている和訳対象の部分が長い点に特徴があります。また、2つの文章が出題され、それぞれについて1つずつ和訳をする形式です。極端に難解な語彙や構文が出題されるわけではありませんが、長めの英文の構造を正しく把握し、適切な日本語で表現する力が問われます。

大問2:長文読解

本文中の語句の意味や英文のタイトルを選ぶ記号選択問題のほか、英文和訳や内容説明問題も出題されます。また、英語で解答する問題もあるため、英作文の力も試される総合的な問題です。英文の分量や難易度は標準的です。

大問3:自由英作文

語数は50語~100語程度とそれほど長くはありません。ただし、1文や2文で解答できる内容ではなく、まとまりのある英文を書く力が問われます。資料を読み取る必要がある場合もあり、グラフから読み取れる内容を記述した後、自らの考えを述べることが求められる場合があります。

大問4:英作文(和文英訳)

一定のまとまりのある日本語の一部を英訳する形式で、前後の文脈を把握して自然な英文を作成することが必要です。様々な書き方が考えられる高度な内容となっており、定番の例文や構文を丸暗記したり、英単語を多く知っていたりするだけでは高得点は望めません。

具体的な対策方法

  • まず、英単語や英文法に関する基礎知識は完全に定着している必要があります。英作文や英文解釈で多くの記述が求められるため、基礎知識が不十分だと減点対象になってしまいます。
  • 長文読解:多様な出題形式に対応する必要がある反面、大問全体に極端な個性は見られないため、通常の長文読解演習を繰り返すことで得点力を高められます。英文を素早く読み取って多様な形式の問題に対処することが大切です。
  • 英文解釈・英作文:自然な日本語や英語で表現する練習を重ねる必要があります。英文の構造を適切に把握しておくことが最も大切です。短めの英作文や英文和訳で、正確かつ自然な表現をする練習を重ねることが対策の第一歩と言えるでしょう。
  • 自由英作文:テーマに沿った英文を作成する練習をしておきましょう。論理的な英文を作る練習とあわせて、英語で表現しやすい意見をスムーズに考え出せるように意識しておくことも大切です。
  • 90分で大問4つに取り組む必要があり、各大問を20分程度で解答できる練習をしておきましょう。
  • 過去問演習の際には、答案を医学部専門予備校などで添削してもらうことが大切です。様々な別解が考えられる出題形式のため、自分がどの程度の得点が見込める答案を作成できているのかを客観的に把握しましょう。

物理対策(75分程度・150点)

出題傾向の特徴

大阪大学医学部の物理は、理科2科目で150分の試験時間。1科目あたり75分程度を目安に解答しますが、他科目の得意不得意に応じた時間配分が重要です。

大問1:力学
ほぼ毎年出題される頻出分野。2つの物体の運動に関する問題が多く、計算処理の正確さと速さが求められます。

大問2:電磁気
光電効果や電磁誘導などの定番テーマが中心。数値計算よりも文字式での解答が基本で、設問設定にやや工夫があることも特徴です。

大問3:熱・波動・原子
年度によって出題分野が変化しますが、異なる分野からの融合問題となるケースが多いため、幅広い知識と応用力が必要です。

全体として記号選択問題は少なく、小問数が多く、計算量も多い構成です。計算処理能力の高さと時間配分の工夫が得点に直結します。

具体的な対策方法

  • 力学・電磁気を中心に対策を進めましょう。どちらも出題頻度が高く、大問1・2で扱われることが多いため、早期からの重点対策が必要です。
  • 文字式の処理能力を徹底的に鍛えることが重要です。複雑な数式展開や変形を素早く正確にこなす練習を日頃から行いましょう。
  • 過去問演習では、理科全体の時間配分を意識しましょう。化学や生物を早く解ければ、物理に多くの時間を割くことも可能です。
  • 前半の小問は比較的平易な傾向にあり、確実に得点することが求められます。その後の小問に前半の結果が影響することも多いため、丁寧な解答を意識しましょう。
  • 難しい小問を見抜いて飛ばす判断力も重要です。時間を浪費せず、得点源となる問題を優先して解きましょう。
  • 解答時間や計算過程を記録し、学校や予備校で添削・確認してもらうことが効果的です。

化学対策(75分程度・150点)

出題傾向の特徴

大阪大学医学部化学の入試形式は、理科2科目で150分のため、1科目あたり75分が目安です。
大問は4題で、記号選択、用語・数値の記述、文章記述、描図など多様な出題形式があります。

有機・無機・理論化学がバランスよく出題され、融合問題や全範囲の総合力を問う出題も多いのが特徴です。教科書レベルを超えた特殊な実験設定の問題も出題されるため、深い理解が求められます。

論述問題は年によって量に差があり、2025年は短文2問のみ、2024年は3問・70字程度まで出題されました。論述量や形式は年度ごとに変化します

また、計算処理が多く必要な問題が頻出で、計算過程を示す設問もあります。小問数も多いため、処理速度と正確さが得点に大きく影響します。

実験操作に関する出題もあり、「なぜその操作を行うのか」という理由まで理解することが重要です。

具体的な対策方法

  • 全分野をバランスよく学習し、苦手分野を残さないようにしましょう。基本知識と定番問題の確認を最初に行いましょう。
  • 論述問題:語句を盛り込みつつ明確な日本語で論理的に説明する練習を重ねましょう。素早く字数に合わせてまとめる力も必要です。
  • 計算問題:計算過程を書く設問に備えて、式の示し方を工夫しつつ、正確で迅速な処理力を養成してください。時間を測って練習し、スピードを意識することが重要です。
  • 時間が足りないと感じる場合は、基礎~標準レベルの問題で得点を確実に重ねる練習から始めましょう。見た瞬間に解法が浮かぶようになるまで繰り返し練習してください。
  • 実験問題:教科書実験の背景や操作の目的を明確にし、理解を深めましょう。医学部専門予備校の先生に質問して確認するのも効果的です。
  • 複数の知識を組み合わせる練習を。知らない実験が出たときでも、手持ちの知識を活かして論理的に解答を組み立てる練習を重ねましょう。

生物対策(75分未満・150点)

出題傾向の特徴

理科2科目で150分のうち、生物は75分未満を目安に解答。
大問は4~5題。論述問題の出題数が非常に多く、記述力が求められます。

2024年は論述10問、2025年は12問が出題され、そのうち半数程度は100字前後の長めの記述です。大阪大学生物は論述中心の構成となっており、記号選択や語句記述も出題されますが、割合は低めです。

記述形式は2024年が字数指定、2025年は行数指定で出題されました。行数指定は字数の調整がしやすくなる一方で、記述量自体は減っていないため、素早い要点整理が不可欠です。

用語記述問題も多く出題されており、得点源としやすい特徴があります。2024年は4題中3題、2025年は全大問に用語記述が含まれました。

分野では分子生物学が頻出で、2024年・2025年ともに遺伝子に関する大問が出題。神経分野も2025年の大問3で出題され、頻出テーマの一つです。

また、初見の実験設定に対する考察力が問われる問題も出題され、読解力と応用力の両方が求められます。現代文が苦手な受験生は、特に対策を強化しましょう。

具体的な対策方法

  • 論述問題対策が最重要。生物的な現象を「なぜそうなるか」を踏まえて日本語で説明する練習を日頃から積み重ねましょう。
  • 生物の制限時間は75分未満を想定し、短時間で論述をまとめる力を養いましょう。他の科目に時間を回す戦略も重要です。
  • 字数指定・行数指定の両形式に対応できるよう準備しておきましょう。過去問演習では時間配分や下書き方法も試行しておくと効果的です。
  • 頻出の分子生物学・神経分野の対策を優先。ただし、その他の分野もバランスよく、苦手を残さないようにしましょう。
  • 実験考察問題では、図や設定を正確に読み取り、必要な情報を素早く整理する力が必要です。過去問演習で形式に慣れておきましょう。
  • 教科書を超えた知識も求められるため、資料集の活用や最新の生物関連ニュースにも触れておきましょう。特に分子生物学分野では、幅広い知識が強みになります。

面接対策

面接形式:個人面接(約15分)で、医師としての適性や人間性を総合的に評価します。

  • 医学部志望動機を明確に述べられるよう準備
  • 大阪大学を選んだ理由の明確化
  • 医療に関する時事問題への関心を示す
  • 研究医への興味や将来の専門分野について考えをまとめる
  • 高校時代の活動や経験を医学との関連で説明できるよう準備

過去の合格実績と出題傾向分析

合格者の特徴

合格最低点目安

共通テスト:約88-92%

二次試験:約65-70%

総合:約75-80%

※年度により変動あり

出身高校

・全国の進学校から幅広く合格

・私立・公立を問わず多様

・関西圏出身者が約60%

・全国から優秀な学生が集結

現役・浪人比率

現役:約60%

1浪:約30%

2浪以上:約10%

※現役合格率が比較的高い

合格者の特徴

・共通テストで高得点確保

・数学・理科の記述力が高い

・研究への興味・関心が強い

・医師としての明確な志を持つ

最近5年間の出題傾向

科目 頻出分野 難易度 対策優先度
数学 微積分、確率、ベクトル 標準~やや難 最重要
物理 電磁気、力学、波動 標準 重要
化学 理論化学、有機化学 標準 重要
生物 動物生理、遺伝、代謝 標準 重要
英語 長文読解、英作文、和訳 標準~やや難 重要

よくある質問(Q&A)

Q1. 大阪大学医学部の難易度はどのくらいですか?
Q2. 学費はどのくらいかかりますか?
Q3. 現役合格は難しいですか?浪人は不利になりますか?
Q4. どの予備校がおすすめですか?
Q5. 面接ではどのような質問をされますか?
Q6. 他大学との併願はどうすればいいですか?

合格までのロードマップ

学年別対策スケジュール

高校1・2年生

  • 基礎学力の徹底的な定着
  • 英語・数学の先取り学習
  • 医療現場見学・ボランティア参加
  • 定期的な模試受験で実力把握

高校3年生春~夏

  • 入試問題演習の開始
  • 弱点分野の集中対策
  • 面接対策の準備
  • 志望校の絞り込み

高校3年生秋~冬

  • 過去問演習の徹底
  • 出願書類の準備
  • 最終的な受験校決定
  • 体調管理とメンタルケア

直前対策

  • 時間配分の最終確認
  • 面接練習の仕上げ
  • 体調管理の徹底
  • 交通手段・宿泊の確認

最後に – 受験生・保護者の皆様へ

大阪大学医学部合格への道筋

大阪大学医学部は確かに難関ですが、適切な対策と継続的な努力により合格は十分に可能です。国立大学として学費も抑えられ、世界最高水準の医学教育と研究環境で学ぶことができます。

合格のための3つの柱

1. 共通テストで高得点確保

88%以上の得点率を目指し、特に数学・理科・英語で確実に点数を取ることが重要です。

2. 二次試験の記述力向上

数学・理科・英語の記述問題で部分点を確実に取り、論理的な思考力を身につけることが合格の鍵です。

3. 研究への興味と志の明確化

面接では医師・研究者としての明確なビジョンを示し、大阪大学で学ぶ意義を説明できることが重要です。

保護者の皆様へ

お子様の大阪大学医学部受験への挑戦を温かく支えてください。国立大学医学部は学費負担が少なく、将来への投資として非常に価値の高い選択です。お子様の可能性を信じ、長期的な視点でサポートしていただければと思います。

受験は家族全体での取り組みです。お子様の体調管理やメンタルサポートなど、様々な面でのご協力をお願いいたします。