【2026年度医学部小論文】対策:医系の小論文で出題されやすいトピック

医学部小論文は、単なる作文試験ではありません。それは、社会の複雑な課題に対して、医師を目指す者としてどう向き合うかという「論理的思考」と「人間性」を問う場です。

「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」という言葉通り、医学部特有の出題傾向や頻出テーマを把握することは、対策の第一歩に過ぎません。2026年度、医療現場が直面する新たな課題を深く理解し、それに対する自分なりの視点を持つこと。医学部合格を引き寄せるために、今知っておくべき最重要トピックを整理していきましょう。

 

医学部小論文:主要な3つの出題形式とその本質

医学部入試における小論文は、大きく分けて3つの形式に分類されます。これらは単独で課されるだけでなく、近年では複数の形式を組み合わせた複合型も増えています。それぞれの形式が「受験生のどのような能力を測ろうとしているのか」を理解し、戦略的に対策を立てましょう。

1. テーマ型:医師としての「価値観」と「論理の軸」を問う

提示された短いお題(例:「共感と受容」「AIと医療の倫理」など)に対し、自身の知識や経験を動員して論じる形式です。

  • 本質的な狙い: 自由度が高い分、受験生の「内面的な価値観」や「思考の深さ」がダイレクトに評価されます。

  • 攻略の視点: 独りよがりな意見に陥らず、医療者として求められる倫理観や社会的な視点を論理の柱に据える必要があります。抽象的なテーマをいかに具体化し、一貫した主張を展開できるかが合格への鍵となります。

2. 課題文型:対話を通じた「問題発見能力」を問う

長文の文章を読み、著者の主張を正確に把握した上で、自身の見解を述べる形式です。

  • 本質的な狙い: 医師には、膨大な医学論文や患者の言葉から「核心」を読み取る力が不可欠です。この形式では、読解力、批判的思考力、そしてそれらを再構成して発信するアウトプット力が試されます。

  • 攻略の視点: 筆者の主張に単に賛成・反対するのではなく、「なぜその問題が現代において重要なのか」という背景(問題点)を抽出することが重要です。読解、構成、執筆のプロセスを時間内に完結させる、高度なタイムマネジメント能力も要求されます。

3. 資料分析型:科学的根拠(エビデンス)に基づく「客観的思考」を問う

統計データ、グラフ、図表などを分析し、そこから読み取れる事実に基づいて論理を構築する形式です。

  • 本質的な狙い: 現代医療の基礎である「EBM(根拠に基づく医療)」への適性を測る試験です。主観や思い込みを排除し、提示された事実から何が言えるのかを冷静に導き出す能力が評価されます。

  • 攻略の視点: 数値の推移やデータの相関関係を正確に読み解く「定量的分析」が必須です。客観的な分析結果を土台にしつつ、そこから導き出される社会的な課題に対して、医師としての洞察を加えることで、評価の高い答案へと仕上がります。

 

受験生へのアドバイス

医学部入試において、形式のバリエーションは「多角的にあなたを見たい」という大学側からのメッセージです。どの形式であっても共通して求められるのは、「論理的な一貫性」「他者(社会・患者)への深い洞察」に他なりません。

 

 

医系小論文の頻出テーマ:求められるのは「多角的な視点」と「倫理的思考」

医学部小論文において、避けては通れないのが「医療」という巨大なテーマです。しかし、求められているのは単なる専門知識の披瀝ではありません。医師としての倫理観、社会情勢への洞察、そして何より「人間への深い理解」が問われています。

1. 医療の本質を問う:倫理とコミュニケーション

出題の核心にあるのは、常に「医師と患者のより良い関係性」です。特に、少子高齢化に伴う介護問題や終末期医療の議論では、マニュアル通りの回答ではなく、個々の人生の尊厳にどう寄り添うかという、受験生の「共感性」と「論理的帰結」が厳しく評価されます。

2. 医療制度の課題を問う:社会の中の医師

医師不足や地域偏在、過酷な労働環境といった構造的課題も頻出です。ここでは、一当事者としての意見に留まらず、社会基盤としての医療をどう維持・再生していくかという、マクロな視点を持った解決策の提示が求められます。

3. 先端技術と一般常識の融合

医療技術の進歩は、同時に新たな倫理的課題を生み出します。新聞や科学雑誌で報じられる最新技術について、単に「便利になる」という理解だけでなく、それが人間社会にどのような変化をもたらすのかを考察する習慣をつけておきましょう。

また、医療以外の社会問題や世界情勢が出題されることもあります。これらは知識の量を測るものではなく、未知の課題に対して自分の頭でどう論理を構築できるかという「対応力」を試す場です。日頃から幅広い事象に対して「なぜ?」と問い直す知的好奇心が、合格への土台となります。


2026年度入試:小論文で警戒すべき医療トピック5選

2026年度、医学部合格を目指す上で必ず自分の言葉で語れるようにしておくべき、最重要トピックを厳選しました。

① 「AIとの共生」における医師の真価

生成AIによる診断支援が普及する中で、「医師にしか果たせない役割は何か」が問われます。

  • 考察のポイント: データの統合やパターン認識はAIが得意とする分野です。対して、患者の「物語(人生)」に寄り添い、不確実な状況下で最終的な責任を負う判断は人間にしかできません。技術への理解と、対面コミュニケーションの価値の再定義が必要です。

② 2040年問題と「治す医療」から「支える医療」への転換

団塊の世代が85歳以上になる2040年を見据え、医療の目的が変化しています。

  • 考察のポイント: 完治を目指す(Cure)だけでなく、病を抱えながらもその人らしく生きることを支える(Care)視点です。地域包括ケアシステムの中で、医師が多職種とどう連携し、リーダーシップを発揮すべきかを論じましょう。

③ 医師の働き方改革と「チーム医療」の再構築

2024年からの法規制を受け、2026年度は現場での実効性がよりシビアに問われます。

  • 考察のポイント: 医師の健康を守ることは、患者に安全な医療を提供するための前提条件です。タスク・シフト(業務移管)を通じて、看護師や薬剤師などの専門性を尊重し、組織として最大出力を出すための「チームマネジメント」の重要性を考察します。

④ 健康格差と「社会的事実としての健康(SDH)」

経済的な困窮や孤立が、病気の発生や悪化に直結している現実への対策です。

  • 考察のポイント: 患者の疾患だけを見るのではなく、その背後にある「生活背景(貧困、教育、孤独など)」にまで想像力を働かせる資質が問われます。医療の枠を超えた社会的なセーフティネットの一部として、医師が果たすべき役割を論じます。

⑤ ゲノム編集・出生前診断と生命の尊厳

技術が「生命の選別」を可能にする時代において、医師が持つべきブレーキ(倫理)です。

  • 考察のポイント: 科学の進歩は福音であると同時に、優生思想への加担というリスクも孕んでいます。多様性を認める社会において、生命の価値を誰がどう守るのか。自身の倫理観の「核」が試されるテーマです。

 

志望校の「本質」を捉え、合格を確信に変える

「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」。孫子のこの教えにおいて真に重要なのは、勝利への執着ではなく、「対象を深く正しく理解すること」にあります。医学部入試において私たちが理解すべき対象とは、単なる過去問の形式ではありません。それは、その大学が掲げる教育理念や、未来の医療を託す受験生への期待が込められた「アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)」そのものです。

まずは、志望校の過去数年間の出題傾向を分析し、大学がどのような問いを投げかけているのかを把握しましょう。そのアプローチは、大学の個性を色濃く反映しています。

  • 多角的な洞察力を測る: 医療とは一見無関係な絵画や写真から、人間の心理や社会の機微を読み解かせる大学。

  • 論理的統合力を測る: 医学と自然科学を横断し、客観的エビデンスに基づいて社会課題を論じさせる大学。

これらの多様な出題形式は、すべて「我が校は、このような資質を持った未来の医師と共に歩みたい」という大学側からのメッセージです。

出題傾向を掴むことは、大学が求める理想の医師像を深く理解することと同義です。2026年度の合格を勝ち取るためには、そのメッセージを正しく受け取り、自分自身の志を大学の理念へと共鳴させていく準備が必要です。形式への習熟を超え、大学の期待に応えうる「己」を磨き上げること。それこそが、合格を確実なものにするための本質的な対策となるのです。

 

まとめ

出題形式のパターンを理解し、論理性と客観性を持って論じよう

医療分野の頻出テーマとされる分野についてしっかりと勉強し、世界情勢や時事問題もチェックしておこう

受験校の出題傾向を分析し、受験校に求められている答え方ができるように研究しておこう

 

 

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