志望理由書・テーマ論文の書き方講座+添削サンプル
―― 合格者が実践する「構成力」「説得力」「再現性」
大学編入試験において、筆記試験と並ぶ最重要要素が志望理由書とテーマ論文(小論文)です。これらは単なる作文ではなく、受験生が「どのように学問的思考を持ち、なぜその大学を志望しているか」を明確に示す、いわば学問的プレゼンテーション文書です。多くの受験生がこの段階でつまずくのは、「何を書けば良いかがわからない」という構成上の問題と、「伝わる文章になっていない」という表現上の問題の両方を抱えているためです。本稿では、志望理由書とテーマ論文の書き方を体系的に整理し、さらに実際の添削例をもとに改善のプロセスを詳細に解説します。
大学編入試験において、筆記試験と並ぶ最重要要素が志望理由書とテーマ論文(小論文)です。これらは単なる作文ではなく、受験生が「どのように学問的思考を持ち、なぜその大学を志望しているか」を明確に示す、いわば学問的プレゼンテーション文書です。多くの受験生がこの段階でつまずくのは、「何を書けば良いかがわからない」という構成上の問題と、「伝わる文章になっていない」という表現上の問題の両方を抱えているためです。本稿では、志望理由書とテーマ論文の書き方を体系的に整理し、さらに実際の添削例をもとに改善のプロセスを詳細に解説します。
第1章 志望理由書とは何か ― 「熱意」よりも「学問的必然性」を伝える文章
志望理由書は、単なる「入りたい気持ち」を表現する文章ではありません。大学側が評価しているのは、受験生が「自分の関心をどのように学問的に整理し、なぜその大学で学ぶ必要があるのか」を明確に説明できているかどうかです。つまり、志望理由書とは“学問的自己紹介”です。
よくある失敗例
- 「昔から〇〇に興味があり」「人の役に立ちたい」という抽象的な表現で終わる。
- 大学の特徴を「施設が充実している」「雰囲気が良い」といった表面的な理由しか挙げていない。
- 将来の目標が「社会貢献したい」など曖昧なまま終わっている。
このような文章では、大学側は「なぜ本学なのか」「何をどのように学びたいのか」を読み取ることができません。
志望理由書の4段階構成(論理の流れ)
| 段落 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 第1段落 | 関心のきっかけ(問題意識) | 学問的動機の原点を明示する |
| 第2段落 | 学問的課題(学びたいテーマ) | 自分が解明したい課題や興味の対象を明確にする |
| 第3段落 | 志望大学との適合性 | 大学の教育内容・教授・研究分野との接点を論理的に示す |
| 第4段落 | 将来の展望 | 学んだ知識をどのように社会や進路に活かすかを説明する |
第2章 テーマ論文(小論文)の基本 ― 「問い・論証・結論」の三部構成
テーマ論文は、大学が受験生の「思考力・構成力・表現力」を測るために課す試験です。与えられたテーマについて、自分なりの立場を明確にし、論理的に説明できるかが評価の中心になります。
論文を書く上での原則
- 問題提起が明確であること(何を問いたいのか)
- 根拠と事例が具体的であること(なぜそう言えるのか)
- 結論が論理的に導かれていること(どういう結論に至るのか)
| 構成要素 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 序論 | テーマに対する立場を提示し、問題意識を明確にする | 出題文の要約だけで終わらせない |
| 本論 | 主張を支える根拠・データ・事例を展開する | 一文一主張を意識し、段落ごとに整理する |
| 結論 | 主張を再確認し、今後の課題や展望を提示する | 繰り返しではなく「視点のまとめ」として書く |
第3章 書く前に行う準備 ― 情報調査と構想メモ
- 志望大学のカリキュラム、ゼミ、教授の研究分野を詳細に調べる。
- 自分の関心を「問い」の形に変換する。
- 先行研究・統計・社会問題をリスト化する。
- 「自分の経験」「社会的背景」「大学の研究資源」の三要素を結びつける構想図を作る。
この段階を丁寧に行うことで、文章が論理的になり、表面的な志望動機から脱却できます。
第4章 推敲と添削 ― 文章を「読む人の視点」で磨く
- 「どこがわかりにくいか」を具体的に指摘してもらう
- 指摘の意図を理解し、再構成する
- 声に出して読んで流れを確認する
最終段階では「一文一主張」「一段落一内容」を守ることで、読みやすく整った印象になります。
第5章 まとめ ― 論理と熱意の両立が合格への鍵
- 志望理由書では「なぜこの大学なのか」を明確にする
- テーマ論文では「主張・根拠・結論」を明確にする
- 推敲・添削を重ねて第三者が理解できる文章に仕上げる
文章は書くたびに洗練されます。初稿で完璧を求めず、書き、直し、読み直すことが上達の最短経路です。
終章 次のステップへ ― 「書ける人」になるための学び方
最後に強調したいのは、志望理由書もテーマ論文も「一度書いて終わりではない」ということです。構成を変え、言葉を磨き、内容を更新するたびに、あなたの思考そのものが深まっていきます。
文章力は、知識・分析力・語彙力・思考力の総合力です。日々のニュース・読書・講義で得た情報を、自分の言葉で要約・批評してみる習慣をつけると、自然に論理的な文章が書けるようになります。
志望理由書とテーマ論文は、あなたの「学問的成長の証」です。焦らず、着実に、何度も書き直しながら、自分の言葉で考えを表現できるようになってください。


