慶應義塾大学医学部の受験情報│入試問題の傾向と対策

慶應義塾大学医学部概略
慶應義塾大学医学部は、1917(大正6)年に世界的細菌学者である北里柴三郎を初代学部長に迎えて創設された、日本を代表する伝統と実績を誇るトップクラスの私立医科大学です。慶應義塾の創立者・福澤諭吉が唱えた「独立自尊」と「実学の精神」を根本とし、常に日本の医学界を牽引するグローバルな医療人・医学研究者を育成しています。
北里柴三郎が提唱した「基礎と臨床の一体化(どんぶりばちの精神)」という理念は現在も色濃く受け継がれており、基礎医学の研究者と臨床医が垣根を越えて協力し、最先端の医学研究と高度な医療の実践を両立させています。
東京都新宿区の信濃町キャンパスには、特定機能病院として国内最高峰の医療を提供する「慶應義塾大学病院」が併設されています。広範な疾患に対する高度先進医療の中核拠点であり、学生は最高水準の臨床現場で実践的な経験を積むことができます。
また、「三四会(さんしかい)」と呼ばれる同窓会の結束は非常に強く、卒業生は臨床の第一線のみならず、国内外の医学界や研究機関、行政、実業界など、あらゆる分野のリーダーとして世界中で活躍しています。
慶應義塾大学医学部の特徴
研究マインドを持った臨床医(フィジシャン・サイエンティスト)の育成に極めて強いこだわりを持っています。学生時代から研究室に所属して本格的な研究を行うプログラム(MD-PhDコースなど)が充実しており、世界的な医学的発見を成し遂げる人材を育てます。
信濃町キャンパスに併設された大学病院は、最先端の医療機器と優秀な医療スタッフを擁する日本の医療の中枢です。診療参加型臨床実習(クリニカル・クラークシップ)では、トップレベルの医療現場に直接入り込み、圧倒的な質と量の臨床経験を積むことができます。
学生を「半学半教」の精神で尊重し、自主性や独創性を重んじる自由闊達な風土があります。単なる知識の詰め込みではなく、自ら課題を発見し、解決に向けて論理的に思考し行動する力(実学の精神)を、充実したアクティブ・ラーニングを通じて徹底的に鍛えます。
国内外に広がる強力な関連病院ネットワークと同窓会「三四会」の絆は、キャリア形成において計り知れない強みとなります。また、海外のトップ大学への留学プログラムも充実しており、世界標準の医療と研究を学ぶためのパスウェイが完備されています。
教育理念と3つのポリシー
慶應義塾大学医学部では、福澤諭吉と北里柴三郎の理念を受け継ぎ、次世代の医学・医療を牽引するリーダーを育成するため、以下の3つのポリシーを定めています。
医学・医療の発展に生涯を捧げる強い意志と、極めて高い基礎学力・論理的思考力を持つ人物を求めています。また、「独立自尊」の精神に共感し、豊かな人間性と倫理観、他者に対する深い思いやりを持ち、将来グローバルな舞台でリーダーシップを発揮できるポテンシャルを重視します。
「基礎と臨床の一体化」を実現する一貫教育を編成しています。早期体験学習で医療人としての倫理観を養い、基礎医学研究に専念する期間を設けることでリサーチマインドを育成します。高学年では、大学病院や多彩な関連病院での長期間の診療参加型臨床実習を通じて、世界水準の臨床能力を養います。
医師として卓越した医学的知識・技能・態度を修得し、患者中心の全人的かつ安全な医療を提供できる能力を備えていることが求められます。高いプロフェッショナリズムを持ち、医学の未解決問題に科学的に挑む研究マインドと、世界を牽引し生涯にわたり自律的に学び続ける姿勢を身につけた者に学位を授与します。
慶應義塾大学ホームページ紹介
基本情報
| 住所 | 東京都新宿区信濃町35 |
|---|---|
| 初年度納入金額 | 3,943,350円 |
| 学納金6年間総額 | 22,659,600円 |
| 募集人数 | 一般:66名 帰国生:若干名 外国人留学生:若干名 |
| 偏差値 | 74.1 |
| 男女比 | 70:30 |
| 主な就職先 | 慶應義塾大学病院、北里研究所、東京大学医学部付属病院 |
入試情報
| 出願期間 | 2026/1/4(日)~1/19(月) |
|---|---|
| 1次試験日 | 2026/2/9(月) |
| 1次合格発表日 | 2026/2/19(木) |
| 2次試験日 | 2026/3/1(日) |
| 合格発表日 | 2026/3/5(木) |
| 1次試験会場 | 三田キャンパス |
| 2次試験会場 | 日吉キャンパス |
1次試験
| 教科 | 科目 | 選択 | 配点 | 時間 |
|---|---|---|---|---|
| 理科 | 『物理基礎・物理』『化学基礎・化学』『生物基礎・生物』 | 2科目選択 | 200点 | - |
| 数学 | 数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、数学A(図形の性質、場合の数と確率)・B(数列、統計的な推測)・C(ベクトル、平面上の曲線と複素数平面) | 必須 | 150点 | - |
| 外国語 | 英語コミュニケーションⅠ・Ⅱ・Ⅲ、論理・表現Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ | 必須 | 150点 | - |
2次試験
| 教科 | 科目 | 選択 | 配点 | 時間 |
|---|---|---|---|---|
| 面接 | - | 必須 | - | - |
| 小論文 | - | 必須 | - | - |
慶應義塾大学 医師国家試験 合格率
| 回数(実施年) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第120回(2026年) | 115人 | 109人 | 94.8% |
| 第119回(2025年) | 115人 | 110人 | 95.7% |
| 第118回(2024年) | 113人 | 108人 | 95.6% |
| 第117回(2023年) | 117人 | 113人 | 96.6% |
| 第116回(2022年) | 114人 | 110人 | 96.5% |
| 第115回(2021年) | 115人 | 110人 | 95.7% |
| 第114回(2020年) | 115人 | 110人 | 95.7% |
| 第113回(2019年) | 115人 | 109人 | 94.8% |
| 第112回(2018年) | 116人 | 112人 | 96.6% |
| 第111回(2017年) | 114人 | 109人 | 95.6% |
慶應義塾大学 医学部入試 傾向と対策
2024年度入試
| 科目 | 英語 | 解答時間 | 90分 |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★★ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 長文読解 | 飲料水汚染と水不足の危機 南米ウルグアイの干ばつによる水不足、塩分や発がん性物質が含まれる水の利用が引き起こす健康被害と、世界的な水資源問題についての論説(約1200語)。和訳・英訳・内容説明を含む。 |
選択・記述 | 標準〜やや難 |
| 2 | 長文読解 | 食べ物と精神的健康・脳腸相関 食生活が精神的健康(心や脳)に与える影響や、腸内細菌叢と脳が相互に影響を及ぼす「脳腸相関」のメカニズムに関する医療・科学系の論説。 |
選択・記述 | 標準 |
| 3 | 自由英作文 | 自由英作文 与えられたテーマについて、自分の意見を100語程度で論理的に述べる自由英作文。 |
記述 | 標準 |
| 大問3題構成で解答時間は90分。慶應医学部の英語は、1題あたり800〜1200語に及ぶ超長文を2題読みこなし、さらに自由英作文を書き上げる必要があるため、極めて高い速読力と情報処理能力(スピード★★★★★)が要求される。また、選択問題だけでなく、下線部和訳、和文英訳、指定字数(40字など)での内容説明といった記述問題の分量も多いため、時間的猶予は全くない。医療・生物・環境問題といったテーマが頻出であるため、高度な学術的語彙を蓄え、文脈から未知語を推測しつつ要旨を正確に掴む訓練が必須である。 |
2023年度入試
| 科目 | 英語 | 解答時間 | 90分 |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★★ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 長文読解 | 海洋生態系とサウンドスケープ 人間の干渉によって失われた健全な海洋生息地の「音(サウンドスケープ)」が、不健全な生態系を回復させるための有効な手段となり得ることを論じた科学記事(約900語)。下線部和訳・英訳・字数指定の内容説明を含む。 |
選択・記述 | 標準 |
| 2 | 長文読解 | 日本の結婚・皆婚社会の歴史的変遷 かつての日本では結婚が普遍的なものではなかったことや、大都市への人口集中による男女比の偏りなど、日本の結婚に関する社会構造の変遷を紐解く論説文。 |
選択・記述 | 標準 |
| 3 | 自由英作文 | 自由英作文(日本の留学生減少) 日本人の海外留学生の数が減少している背景や、政府の調査結果に対する自身の見解を、100語程度で論理的に述べる自由英作文。 |
記述 | 標準 |
| 大問3題構成で解答時間は90分。本年度は医療系の長文ではなく、「海洋生態系」と「日本の社会・歴史」というテーマが出題された。慶應医学部の英語は他学部に比べても超長文であり、記述問題(下線部英訳・和訳、40字〜80字の内容説明など)の比率が非常に高いのが特徴である。文章レベル自体は極端な難解ではないため、圧倒的な速読力で筆者の主張を的確に拾い上げ、素早く正確な日本語・英語でアウトプットする高度な情報処理能力(スピード★★★★★)が合否を直結する。 |
2022年度入試
| 科目 | 英語 | 解答時間 | 90分 |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★★ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 長文読解 | 犯罪対策と社会的規範 スーパーマーケットでの暴力事件を題材に、犯罪行為に対する規制と傍観(傍観者効果)、社会的規範のあり方を論じた新聞記事(約940語)。 |
選択・記述 | 標準 |
| 2 | 長文読解 | アフリカの貧困とテクノロジー コンゴ民主共和国における貧困の中でのネット環境と、情報格差・インターネットアクセスへの取り組みに関する論文(約850語)。 |
選択・記述 | 標準 |
| 3 | 自由英作文 | 自由英作文 与えられたテーマについて、自分の意見を100語程度で論理的に述べる自由英作文。 |
記述 | 標準 |
| 大問が前年度までの4題(長文3題+英作文1題)から、本年度は「長文2題+英作文1題」の3題構成に減少した。その分、長文1題あたりの英文量が増加しており、高い速読力が求められることには変わりない。本年度は医療系のテーマではなく、「社会学(犯罪と規範)」と「貧困問題・テクノロジー」というテーマが出題された。和訳・英訳・内容説明(字数指定)など国立型の記述問題の比率が非常に高いため、文脈から未知語の推測を行い、素早く的確な日本語・英語を書き上げる記述力と時間配分が合否を大きく分ける。 |
2021年度入試
| 科目 | 英語 | 解答時間 | 90分 |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★★ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 長文読解 | 移民医療サービスにおける問題点 米国の医療制度において、移民が直面する言語の壁や、文化・移民歴に対する医療従事者の無理解と課題を指摘する論説。 |
選択・記述 | 標準 |
| 2 | 長文読解 | 社会的孤立がもたらす弊害 新型コロナウイルス対策による長期的な隔離や社会的孤立が、大人の社会能力(対人スキル)や精神・生理機能に与える悪影響についての心理学的考察。 |
選択・記述 | 標準 |
| 3 | 自由英作文 | 新たな腸チフスワクチンの登場 抗生物質耐性を持つ腸チフス菌の発生と途上国における公衆衛生の危機、およびそれに対抗する新ワクチンの有効性に関する医療系の記事。 |
選択・記述 | 標準 |
| 4 | 自由英作文 | 在宅勤務の長所と短所 パンデミック下で普及した在宅勤務(テレワーク)のメリットとデメリットについて、自身の意見を100語程度で述べる自由英作文。 |
記述 | 標準 |
| 大問4題構成で解答時間は90分。慶應医学部特有の「超長文3題+自由英作文1題」という非常にハードなセットである。テーマは「医療社会学(移民医療)」「心理学(社会的孤立)」「感染症(ワクチン)」と、医学部志望者にとって時事的かつ重要なトピックが並んだ。空所補充や内容真偽に加え、英文和訳や「40〜60字での日本語説明」といった記述問題が多数出題される。90分という制限時間内で処理するには、パラグラフごとの要旨を素早く的確に把握する極めて高い速読力(スピード★★★★★)と、100語の英作文を短時間で書き上げる訓練が不可欠である。 |
2020年度入試
| 科目 | 英語 | 解答時間 | 90分 |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★★ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 長文読解 | 食品ロスと環境問題 京都の食品ロス削減への取り組みを題材に、食品廃棄がもたらす問題と法的規制の必要性を論じた英文。和訳・英訳・内容説明(75字以内)を含む。 |
選択・記述 | 標準 |
| 2 | 長文読解 | 自動運転車と倫理的ジレンマ 「トロッコ問題」を前提として、AIによる自動運転車が事故に直面した際の道徳的判断や倫理的ジレンマを論じた英文(約800語)。 |
選択・記述 | 標準〜やや難 |
| 3 | 長文読解 | 睡眠不足と健康・生産性 「睡眠負債」という概念を背景に、睡眠不足が個人の健康や社会の生産性に及ぼす悪影響についての論説(約700語)。英問英答形式が中心。 |
選択・記述 | 標準 |
| 4 | 自由英作文 | 自由英作文 与えられたテーマについて、自分の意見を100語程度で論理的に述べる自由英作文。 |
記述 | 標準 |
| 大問4題構成で解答時間は90分。長文3題(各700〜800語程度)と自由英作文1題の非常にタフなセットである。本年度は「食品ロス」「自動運転と倫理(トロッコ問題)」「睡眠負債」と、医学部のみならず大学入試で頻出の時事的・科学的テーマが揃ったため、内容自体は比較的読みやすい構成であった。しかし、下線部和訳・和文英訳に加え、75字以内での日本語説明が複数出題されるなど記述量が非常に多い。高度な語彙力をもとに英文を素早く読みこなし、さらに100語程度の自由英作文を15〜20分で書き上げる圧倒的な情報処理能力(スピード★★★★★)が求められる。 |
2019年度入試
| 科目 | 英語 | 解答時間 | 90分 |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★★ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 長文読解 | 孤独化が進行する日本の社会 英国が「孤独担当大臣」を新設したことを引き合いに、日本社会における孤独や社会的孤立がもたらす健康被害や経済的損失(生産性の低下)について論じた英文 。 |
選択・記述 | 標準 |
| 2 | 長文読解 | 健康的に老いを迎えること(Healthy aging) 寿命が延びる現代において「健康的な老い」をどう定義し達成するかについての論説 。遺伝や医療の質以上に、社会・行動面の要因(肯定的な考え方など)が寿命に大きく影響することや、世界的な高齢化に伴う僻地の高齢者の孤立問題について論じている 。「高齢者=弱者」という固定観念や「90歳でマラソン」といった極端なイメージの誤りを指摘し、健康的な老いとは人生を精一杯生きることだと結論づけている 。 |
選択・記述 | 標準〜やや難 |
| 3 | 長文読解 | 公共の場における「よいマナー」の基準 公共の場でのマナーや許容される行動の境界線が、個人や場所によって異なることを論じた文章 。マナーは本来他者への思いやりを促進する共有ルールだが、一方で他者の行動を規制し影響力を行使する手段にもなり得ることを指摘している 。劇場における観賞ルールの歴史的変遷や、疾患を持つ人への配慮(リラックス・パフォーマンス)、公共の場での授乳への批判などを例に挙げ、他者に対して早急な判断(批判)を下さないことの重要性を説いている 。 |
選択・記述 | 標準〜やや難 |
| 4 | 自由英作文 | 公共の場における悪いマナー 自分が「悪いマナー」だと考える行動の例を1つか2つ挙げ、人々が公共の場でそのような行動をとっているのを見たときにどのように感じるかについて、100語程度の英語で論理的に記述する 。 |
記述 | 標準 |
| 大問4題構成で解答時間は90分。慶應医学部の典型である「超長文3題+自由英作文1題」の非常にタフな構成である。第1問の「孤独化する日本社会」、第2問の「高齢化と健康」、第3問の「公共の場でのマナー」と、医学・生物学だけでなく、社会学や心理学に関するテーマが幅広く出題されている。選択問題に加え、下線部和訳、和文英訳、および指定字数(25字〜100字など)での内容説明問題が多数配置されており、精読力と正確な記述力が求められる。 試験時間に対して英文量・記述量が圧倒的に多いため、長文1題あたり15〜20分で処理し、最後の自由英作文(100語)に15分程度の時間を確実に残す、極めてシビアなタイムマネジメント(スピード★★★★★)が不可欠である。 |
2018年度入試
| 科目 | 英語 | 解答時間 | 90分 |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★★ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 長文読解・自由英作文 | 他者と関わることの重要性(幸福と社会的関係) 良好な社会的関係が幸福な人生の最も確実な指標である一方、現代人は他人と実際に関わる時間を減らしていると指摘する論説 。大問の最後に「自分は他人と十分な時間を過ごしていると思うか」について自身の意見を100語程度で述べる自由英作文が含まれる 。 |
選択・記述 | 標準 |
| 2 | 長文読解 | 日本人のユーモア 西洋と日本のユーモアの共通性と相違点を論じたエッセイ 。「上の空」の人へのからかい方や、失敗した際に過度に丁寧な表現を用いてごまかす笑い、自慢に対する皮肉を込めた過度な謙遜(「よく言われます」)など、日本の笑いの構造を解説している 。 |
選択・記述 | 標準〜やや難 |
| 3 | 長文読解 | 学習時の紙の使用の有効性 環境保護の観点からペーパーレス化が推進される中、学習や深い思考においてはデジタル画面よりも「紙」を使用する方が有効であると主張する論説 。紙の持つ空間的・物理的特性が記憶や理解を助けるという実験結果をもとに、紙の恩恵を論じている。 |
選択・記述 | 標準 |
| 大問3題構成で解答時間は90分。2018年度の長文は「幸福論」「日本人のユーモア」「紙の学習効果」と、医学・生物学以外のテーマから幅広く出題された。 本年度の最大の特徴は、大問1の末尾に100語の自由英作文が組み込まれていることに加え、大問2でも「欠落している導入段落(第1段落)を40〜50語の英語で自ら作成する」という新形式のパラグラフ・ライティングが出題された点である。さらに、大問2では日常的な会話表現の和文英訳(「起きていますか」「よく言われます」など)が5問出題されている。 長文自体の難解さは標準的だが、記述(英文和訳、字数制限付きの内容説明、自由英作文、段落作成、和文英訳)の分量が非常に多い。90分という制限時間内で全てを処理するには、英文を素早く読みこなす極めてシビアなタイムマネジメント(スピード★★★★★)と、的確な英語を即座に書き上げるアウトプット能力が要求される。 |
2024年度入試
| 科目 | 数学 | 解答時間 | 100分 |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 小問集合 | 図形と方程式、式と曲線、微積分 (1)3頂点の座標から三角形の外心・内心を求める。(2)楕円の接線と両軸が作る三角形の面積の最小値(相加・相乗平均の利用)。(3)三角関数の最大値と面積。 |
空所補充 | 標準 |
| 2 | 確率 | 状態の遷移と確率漸化式 単純な操作による状態遷移の確率。漸化式を立式し、一般項を求める。複雑な条件分岐は少なく、確実な計算力が問われる。 |
空所補充 | 標準 |
| 3 | 微分積分 | 分数関数と極限・微積分総合 分数関数の微分、グラフの概形、面積計算。最後は面積の極限を、自然対数の底 $e$ の定義の形に帰着させて求める問題。 |
空所補充 | 標準〜やや難 |
| 4 | 空間ベクトル | 四面体・六面体の切り口と体積 空間内の四面体を平面で切断したときの切り口の面積や体積の計算。後半は六面体の面構成など、高度な空間把握能力と計算力が要求される。 |
記述 | 難 |
傾向と対策
| 大問4題構成で100分。第1問〜第3問は慶應医学部としては比較的オーソドックスな問題が並んでおり、ここでいかに失点せずスピーディーに計算を合わせるかが勝負となる。一方で、第4問の空間ベクトルは状況把握が難しく、数式処理も非常に重いため、試験時間内に完答するのは極めて困難である。全問完答を狙うのではなく、解ける問題を確実に見極め、計算ミスなく部分点を積み重ねる戦略が重要である。 |
2023年度入試
| 科目 | 数学 | 解答時間 | 100分 |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 小問集合 | 図形、複素数平面、微積分 (1)図形の計量(スチュワートの定理等の利用)。(2)複素数の2次方程式に関する図形問題。(3)曲線の接線が絡む面積の計算。 |
空所補充 | 易〜標準 |
| 2 | 確率 | 確率(漸化式なし)と対称性 複雑なルールや確率漸化式は登場せず、確率の対称性などを上手く利用して手際よく計算していく問題。 |
空所補充 | 標準 |
| 3 | 微積分・図形 | 曲線の接線と面積・鈍角条件 曲線の接線と図形に関する融合問題。鈍角三角形となる角度の条件を、ベクトルの内積等を用いていかに計算を重くせずに立式できるかがポイントとなる。 |
空所補充 | 標準 |
| 4 | 微積分総合 | 関数の極値条件・面積・解の極限 微分法を用いた極値の考察から始まり、面積、さらに解の極限までを論じる。事務作業量(計算量)が地獄級に膨大な超重量級問題。 |
記述 | 難 |
傾向と対策
| 大問4題構成で100分。第1問〜第3問までは例年の慶應医学部に比べて解きやすい問題が並んでおり、ここで細かな計算ミスをせずに確実に得点を積み重ねることが必須である。一方で、第4問の微積分総合は非常に計算が重く、試験時間内に完答するのは極めて厳しい。解ける小問(前半部分)だけをつまみ食いし、残りの時間を第1問〜第3問の見直しに充てるという、本番での「捨てる勇気」と時間配分の戦略が求められた。 |
2022年度入試
| 科目 | 数学 | 解答時間 | 100分 |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 小問集合 | 方程式、複素数と方程式、対数 (1)絶対値が2重についた方程式。(2)整数係数の5次式の因数分解。(3)真数条件や底の条件に注意して解く対数不等式。 |
空所補充 | 標準 |
| 2 | 確率 | 文字を用いた抽象的な確率 玉の個数などが $n, k, i$ といった文字で与えられており、漸化式を用いずに場合の数から確率を直接求める抽象度の高い問題。 |
空所補充 | 標準 |
| 3 | 複素数平面・2次曲線 | 回転と内トロコイド・極方程式 原点以外を中心とした回転の考え方や、内トロコイドのパラメータ表示、極方程式。文字のまま計算させられるため非常に煩雑。 |
空所補充 | やや難 |
| 4 | 微積分総合 | 関数の極値条件と曲線の長さ 放物線上の点との距離の関数の極値条件や、曲線の長さの積分計算など。計算量が極めて重い数学IIIの総合問題。 |
記述 | やや難 |
傾向と対策
| 大問4題構成で100分。第1問の小問集合は慶應医学部としては比較的易しめで、確実に完答したい。第2問は慶應頻出の「確率漸化式」ではなく直接計算する確率であったが、文字が多く抽象的である。第3問・第4問は数学III(微積分・極限・曲線)のオンパレードであり、計算の重さは凄まじい。いかに第1問・第2問をスピーディーかつ正確に処理し、後半の重厚な計算問題に時間を残せるかが勝負となる。 |
2021年度入試
| 科目 | 数学 | 解答時間 | 100分 |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 小問集合 | ベクトル、極限、方程式と集合 (1)三角形の面積とベクトル。(2)回転体の体積と極限。(3)2次方程式の解の条件(実部・虚部が整数等)と集合の要素の個数。 |
空所補充 | 標準 |
| 2 | データの分析 | 平均・分散と共分散・相関係数 n人のテストの順位を題材に、平均値・分散・共分散・相関係数を文字式で表し、その最大値・最小値や性質を論理的に証明する。 |
空所補充・記述 | やや難 |
| 3 | 2次曲線・軌跡 | 見上げる角が等しくなる点の軌跡 高さの異なる2つの塔を同じ角度で見上げる点の軌跡を求め、それが楕円・双曲線・直角双曲線となる条件や焦点を求める問題。 |
空所補充 | 標準〜やや難 |
| 4 | 微分積分 | 懸垂線と円の共通接線 曲線 $y=\frac{e^x+e^{-x}}{2}$ (懸垂線)に接する円の中心の軌跡と、関数の最小値、および曲線の長さに関連する数式処理。 |
空所補充 | 難 |
傾向と対策
| 大問4題構成で100分。本年度の最大の特徴は、医学部入試では極めて珍しい「データの分析(第2問)」が真正面から出題された点である。分散や共分散、相関係数の定義を正確に理解し、文字式で論理的に証明を展開する力が求められた。また、第3問の2次曲線の軌跡や、第4問の数学IIIの微分積分など、後半になるにつれて計算量が膨れ上がる。第1問の小問集合や第3問の前半など、取れる部分を確実に取りこぼさない計算力と、見慣れない設定に動じない数学的な基礎体力が合否を分ける。 |
2024年度入試
| 科目 | 物理 | 解答時間 | 120分(理科2科目) |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 小問集合 | 波動、力学、原子 人が聞くことができる音の振動数(可聴域)の知識問題、物体が面を押す力と重力の関係式、半減期に関する基本的な計算問題。 |
記述・空所補充 | 易〜標準 |
| 2 | 電磁気 | 電気振動回路 コイルとコンデンサーを1つずつ用いた基本回路から始まり、後半はコイル3つとコンデンサー2つを用いた複雑な電気振動回路におけるキルヒホッフの法則の立式と解析。 |
記述 | やや難 |
| 3 | 力学 | ニュートンビーズ(チェインファウンテン) ビーズ紐がコップから重力に逆らって飛び出し、弧を描いて落下する現象(チェインファウンテン)を物理的にモデル化し、遠心力や張力のつり合いから運動を考察する。 |
記述 | 難 |
傾向と対策
| 大問3題構成(理科2科目で120分)。第1問の小問集合は基礎的な知識や計算であり、絶対に落とせない。慶應医学部の物理の最大の特徴は、第2問以降で「高校物理の範囲を超えたような目新しい現象(本年度はチェインファウンテン)」が扱われる点である。しかし、必要な概念は問題文中で丁寧に誘導されるため、複雑な設定に怯まず、文章を正確に読み解いて「力のつり合い」や「運動方程式」といった高校物理の基本法則へと帰着させる「現場での論理的思考力(モデリング能力)」が強く試される。 |
2023年度入試
| 科目 | 物理 | 解答時間 | 120分(理科2科目) |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 小問集合 | 力学・熱力学など 地表の空気について、大気圧と重力のつりあいから「地上に存在する空気分子のモル数」を文字式で表現させるなど、身近な物理現象のモデリング。 |
記述・空所補充 | 標準 |
| 2 | 波動・光学 | フェルマーの原理と眼球のモデル 「光は最短時間で到達する経路を選ぶ」というフェルマーの原理を題材に、光の屈折や眼球(水晶体)を通る光の経路に関する定量的な解析と記述。 |
記述 | やや難 |
| 3 | 電磁気 | 導体球の電気容量と荷電粒子の運動 導体球の電気容量に関する考察と、電磁場中を運動する荷電粒子の軌道やエネルギーに関する総合問題。電荷の符号に注意した立式が求められる。 |
記述 | 標準〜やや難 |
傾向と対策
| 大問3題構成(理科2科目で120分)。例年出題されていた細かな知識問題が姿を消し、純粋な思考力と計算力を問うセットとなった。第1問の「空気のモル数計算」や第2問の「眼球モデル」など、身近な現象を高校物理の枠組みで定式化する(モデリングする)力が試されている。問題文の誘導を正確に読み取り、与えられた見慣れない文字式をどのように扱って答えを表現するか、高い定性的思考力と定量的な処理能力が必要である。 |
2022年度入試
| 科目 | 物理 | 解答時間 | 120分(理科2科目) |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 小問集合 | 波動・力学・電磁気・原子 可視光線の波長や可聴域の数値などの細かい知識、浮力の式の導出、高圧送電の理由(変圧器)、ラザフォードの原子模型モデルとボーア半径の導出。 |
記述・空所補充 | 標準 |
| 2 | 電磁気 | コンデンサーとコイルの直流回路 コンデンサー、抵抗、コイルを含む直流回路において、スイッチの開閉に伴う電荷や電圧の変化、静電エネルギーや電池の仕事を問う問題。 |
記述 | 易〜標準 |
| 3 | 力学 | 有引力と惑星の運動 万有引力を受けて運動する天体の軌道やエネルギーについての問題。高い思考力と数学的な処理能力が要求される。 |
記述 | やや難〜難 |
傾向と対策
| 大問3題構成(理科2科目で120分)。本年度の物理の特徴として、第1問の小問集合で「可視光線の波長」「人の可聴範囲の周波数」といった具体的な数値の暗記を問う、医学部特有の細かな知識問題が出題された。また、第2問の電磁気(直流回路)は基本的な解法パターンで解き進められるため、ここを素早く正確に完答することが絶対条件である。その上で、思考力と計算力が強く試される第3問(万有引力)にじっくりと腰を据えて取り組む時間配分が求められた。 |
2021年度入試
| 科目 | 物理 | 解答時間 | 120分(理科2科目) |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 小問集合 | 光学、力のモーメント、熱と摩擦 水中での光の見え方と波長の関係、弦の張力を力のモーメントや力のつり合いから近似を用いて求める問題、円筒の動摩擦熱による鉄の温度上昇と融解。 |
空所補充 | 標準 |
| 2 | 力学・波動 | 粒子ビームの衝突と波の伝搬モデル 管楽器の発音メカニズム(笛の音)をモデル化し、直角二等辺三角形の台に粒子ビームが弾性衝突する際の力積や、ばねの運動方程式を立てる。 |
記述・空所補充 | やや難 |
| 3 | 電磁気・原子 | 電磁場中の荷電粒子の軌道と不確定性原理 磁場中を運動する粒子の軌道計算。最後は「粒子の位置と運動量を同時に正確に決めることは原理的に不可能」というミクロの世界の法則(ハイゼンベルクの不確定性原理)を記述させる。 |
記述・空所補充 | 難 |
傾向と対策
| 大問3題構成(理科2科目で120分)。慶應医学部の物理の真骨頂とも言える「見慣れない現象のモデリング」が随所に見られる。第2問は、粒子ビームの衝突を用いて「管楽器(笛)から音が出る仕組み」を物理的に考察させる非常にユニークな設定である。さらに第3問の最後では、量子力学の導入である「不確定性原理」の概念を言葉で説明させる問題が出題され、多くの受験生を驚かせた。高校物理の公式を暗記するだけではなく、大学物理に繋がるような深い自然科学への探究心と、誘導文を正確に読み解く卓越した国語力が要求される。 |
2020年度入試
| 科目 | 物理 | 解答時間 | 120分(理科2科目) |
| 難易度 | ★★★☆☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 小問集合 | 波動以外の全分野からの小問集合 力学、熱力学、電磁気学などから広く出題。教科書の計算問題だけでなく、日常の中に見られる物理現象の観察眼や、完全な知識問題も含まれる。 |
記述・空所補充 | 標準 |
| 2 | 熱力学・原子 | 気体分子運動論と物質波 前半は気体分子運動論の定石問題。後半は物質波(電子のド・ブロイ波)の定常波に関する問題だが、考え方が誘導されているため文章を丁寧に読めば解ける。 |
記述 | 標準 |
| 3 | 電磁気 | コンデンサーと電位測定 コンデンサー回路における電荷の移動や電位の解析。後半には論述問題が含まれており、現象を言葉で的確に説明する力が問われる。 |
記述 | やや難 |
傾向と対策
| 大問3題構成(理科2科目で120分)。慶應医学部の物理としては比較的易しく、標準的な問題が多く並んだ年度である。そのため、いかにミスなく高得点を確保するかの勝負となった。第1問の小問集合では、計算だけでなく物理現象の知識問題が出題されている。第2問の物質波や第3問のコンデンサーなど、一見複雑に見える設定でも、問題文の丁寧なヒント・誘導に乗り、焦らずに立式していくことが重要である。また、第3問のように「論述問題」が含まれることもあるため、数式だけでなく物理現象を自分の言葉で論理的に説明する記述力を鍛えておく必要がある。 |
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