東京慈恵会医科大学医学部の受験情報│入試問題の傾向と対策

東京慈恵会医科大学概略
東京慈恵会医科大学は、1881(明治14)年に高木兼寛によって創設された「成医会講習所」を前身とする、日本最古の私立医科大学です。慶應義塾大学、日本医科大学とともに「私立医学部御三家」と称され、日本の医学教育と臨床の発展に多大なる貢献を続けてきました。
建学の精神として掲げられる「病気を診ずして病人を診よ」という言葉は、医学を学ぶ者にとっての不朽の指針となっています。これは、単に疾患という現象を科学的に捉えるだけでなく、病に苦しむ一人の人間としての患者に寄り添い、その背景や心までを察する全人的医療の重要性を説いたものです。
キャンパスは東京都港区西新橋という、政治・経済・医療の中枢に位置しています。併設される「東京慈恵会医科大学附属病院」は、特定機能病院として国内最高水準の医療を提供しており、その洗練されたホスピタリティと高度な診療能力は、社会から絶大な信頼を寄せられています。
伝統を重んじながらも、最先端の医学研究や国際標準の教育プログラムをいち早く取り入れる柔軟性を持ち、「慈恵」の名にふさわしい、知性と慈愛を兼ね備えたリーダーを数多く輩出しています。
東京慈恵会医科大学医学部の特徴
創立者の精神を現代に受け継ぎ、高い倫理観と豊かな人間性を備えた医師の育成を徹底しています。患者の尊厳を重んじ、全人的に向き合う姿勢を、低学年からの体験学習や充実した臨床倫理教育を通じて、6年間かけてじっくりと育みます。
西新橋の附属病院を中心に、葛飾医療センター、第三病院(狛江市)、柏病院という4つの附属病院を有しています。これらが緊密に連携し、都心から地域医療までをカバーする広範な臨床フィールドを提供しており、多様な症例を通じた質の高い診療参加型実習が可能です。
臨床の強さに加え、医学の発展に寄与する研究能力の養成にも注力しています。学生時代から第一線の研究に触れる機会が多く、科学的根拠に基づいた医療(EBM)を実践できる、探究心豊かなフィジシャン・サイエンティストを育成しています。
「慈恵」という看板を背負う学生たちの連帯感は非常に強く、教員と学生、先輩と後輩が互いに高め合う伝統があります。この強固なネットワークと手厚い学修支援体制により、例年、全国トップクラスの医師国家試験合格率を維持しています。
教育理念と3つのポリシー
東京慈恵会医科大学医学部では、建学の精神を具現化し、世界水準の医学教育を通じて社会に貢献するため、以下の3つのポリシーを定めています。
医学を学ぶために必要な極めて高い学力と論理的思考力を持ち、「病気を診ずして病人を診よ」という精神に深く共鳴する人物を求めています。豊かな人間性と高い倫理観、他者への深い思いやりを備え、自ら学び続ける意欲と、国際社会においてリーダーシップを発揮できる素養を重視します。
6年間の一貫した医学教育を通じ、基礎・臨床を統合したスパイラル型カリキュラムを編成しています。早期からの患者接触やシミュレーション教育、そして附属4病院での質の高い診療参加型臨床実習を通じて、国際水準の診療技能と科学的探究心、プロフェッショナリズムを体系的に育成します。
医師として必要な卓越した専門知識・技能・態度を修得し、患者中心の安全で誠実な医療を提供できる能力を備えていることが条件です。高い品格と倫理観を持ち、多職種と協働してチーム医療を推進できる能力、そして絶えず進歩する医学・医療に生涯貢献し続ける姿勢を身につけた者に学位を授与します。
東京慈恵会医科大学ホームページ紹介
基本情報
| 住所 | 東京都港区西新橋3丁目25-8 |
|---|---|
| 初年度納入金額 | 3,500,000円 |
| 学納金6年間総額 | 22,863,000円 |
| 募集人数 | 105名 |
| 偏差値 | 71.4 |
| 男女比 | 62:38 |
入試情報
| 出願期間 | 2026/1/5(月)~2026/1/26(月) |
|---|---|
| 1次試験日 | 2026/2/11(水) |
| 1次合格発表日 | 2026/2/18(水) 10時 |
| 2次試験日 | 2026/2/21(土)、22(日)、23(月)から1日 |
| 合格発表日 | 2026/3/2(月) |
| 1次試験会場 | 東京流通センターイベントホール |
| 2次試験会場 | 本学 西新橋キャンパス |
1次試験
| 教科 | 科目 | 選択 | 配点 | 時間 |
|---|---|---|---|---|
| 理科 | 『物理基礎・物理』『化学基礎・化学』『生物基礎・生物』 | 2科目選択 | 200点 | 120分 |
| 数学 | 『数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』『数学A・B(数列)・C(ベクトル、平面上の曲線と複素数平面)』 | 必須 | 100点 | 90分 |
| 英語 | 『英語コミュニケーションⅠ・Ⅱ・Ⅲ』『論理・表現Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』 | 必須 | 100点 | 60分 |
2次試験
| 教科 | 科目 | 選択 | 配点 | 時間 |
|---|---|---|---|---|
| 面接 | - | 必須 | 30点 | 60分 |
| 小論文 | - | 必須 | 25点 | 90分 |
| 調査書等評価 | - | 必須 | 25点 | - |
東京慈恵会医科大学 医師国家試験 合格率
| 回数(実施年) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第120回(2026年) | 106人 | 102人 | 96.2% |
| 第119回(2025年) | 113人 | 109人 | 96.5% |
| 第118回(2024年) | 109人 | 100人 | 91.7% |
| 第117回(2023年) | 112人 | 108人 | 96.4% |
| 第116回(2022年) | 114人 | 111人 | 97.4% |
| 第115回(2021年) | 124人 | 118人 | 95.2% |
| 第114回(2020年) | 112人 | 106人 | 94.6% |
| 第113回(2019年) | 117人 | 114人 | 97.4% |
| 第112回(2018年) | 122人 | 117人 | 95.9% |
| 第111回(2017年) | 99人 | 92人 | 92.9% |
東京慈恵会医科大学 医学部入試 傾向と対策
2024年度入試
| 科目 | 英語 | 解答時間 | 60分 |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★★ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| I | 長文読解 | 血液型の多様性とマラリア耐性の進化学的関連 | マーク式 | 標準 |
| Ⅱ | 長文読解 | 自然発生説の否定にいたるレディやパスツールの科学史 | マーク式 | 標準 |
| Ⅲ | 長文読解 | 医療における患者の自己決定権と回復への主体性 | 記述/マーク | 標準 |
| Writing | 意見論述 | 患者が治療へのより多くの情報を求めるべきかについての英作文 | 記述式 | やや難 |
| 傾向と対策 制限時間60分に対して長大な長文が3題と、120〜150語程度の自由英作文が課されており、速読能力と論理構成力が極めて高いレベルで要求される。内容面では、本年度の「血液型とマラリア」や「細菌理論」のように医学・科学史をテーマとした抽象度の高い英文が頻出である。対策としては、パラグラフごとの論理展開を素早く追う練習に加え、自身の意見を具体例(心臓手術や投薬の例など)を交えて英語で即座にアウトプットする訓練を積むべきである。 |
2023年度入試
| 科目 | 英語 | 解答時間 | 60分 |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★★ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| I | 長文読解 | 知的負荷と脳内物質(グルタミン酸)の蓄積による疲労メカニズム | マーク式 | 標準 |
| Ⅱ | 長文読解 | 集合知に関する新アルゴリズム「surprisingly popular」の有効性 | マーク式 | やや難 |
| Ⅲ | 長文読解 | 医療ミスに対する医師の心理的抵抗とえん曲表現、情報公開の重要性 | マーク式 | 標準 |
| Writing | 自由英作文 | 医療ミスに対する医師の望ましい姿勢とその理由・具体例(約120語) | 記述式 | やや難 |
| 傾向と対策 慈恵医大の英語は、制限時間60分に対して長文3題と自由英作文1題という、私立医学部の中でも極めて速い処理能力が求められる構成である。テーマは「知的負荷の科学」「意思決定のアルゴリズム」「医療倫理」と、最新の科学的知見や医学に関連した抽象度の高い内容が並ぶ。対策としては、パラグラフごとの要点を瞬時に掴む速読訓練に加え、120〜150語程度の自由英作文を15分以内で論理的に書き上げる練習が不可欠である。 |
2022年度入試
| 科目 | 英語 | 解答時間 | 60分 |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★★ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| I | 長文読解 | 疫学の父ジョン・スノーとコレラ、高木兼寛の功績 | マーク式 | 標準 |
| Ⅱ | 長文読解 | ビジネスにおける「途絶えた関係(dormant ties)」の再開 | マーク式 | 標準 |
| Ⅲ | 長文+英作文 | 埋没費用の誤謬(sunk cost fallacy)/**【英作文】**埋没費用の追求が有益な場合についての意見 | 記述/マーク | やや難 |
| 傾向と対策 制限時間60分で長文3題を読み切り、さらに大問3の最後に控える自由英作文(約60〜80語目安)を書き上げる必要がある。時間配分が非常にタイトであり、1題あたり15〜18分程度で処理する「超速読能力」が必須だ。 大問1は慈恵の創設者に関連する医学史、大問3は心理・経済学的なテーマであり、背景知識の有無が読解速度を左右する。対策としては、大問3の読解を素早く終えて英作文に最低15分は残せるよう、過去問演習を通じてタイムマネジメントを徹底すべきである。 |
2021年度入試
| 科目 | 英語 | 解答時間 | 60分 |
| 難易度 | ★★★☆☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| I | 読解・英作文 | 天然痘とワクチンの発明史 天然痘ウイルスの歴史とジェンナーによる種痘の開発について論じた英文。語句の意味や内容一致に加え、ジェンナーの実験の倫理性について意見を述べる自由英作文が出題された。 |
マーク・記述 | |
| Ⅱ | 読解 | 自然光がもつ治癒力 病院における光の役割や、日光療法(ヘリオセラピー)の歴史と進歩について述べた英文。文脈に即した適切な語句を補う空所補充形式の設問が中心。 |
マーク | |
| Ⅲ | 読解 | 自然光がもつ治癒力 「惜しい間違い」が正しい情報の記憶を助けるという研究結果を紹介した英文。語句の空所補充、下線部解釈、および内容一致問題で構成されている。 |
マーク |
| 傾向と対策 60分間で長文3題を処理し、さらに自由英作文をこなす必要があるため、高い速読能力と時間管理が求められる。医療系・科学系の語彙(contagious, pus, asymptomatic など)が頻出するため、専門的な文章への慣れが不可欠だ。英作文は本文のテーマを深く掘り下げる内容となっており、日頃から医学的なトピックに対する自分の意見を整理しておく必要がある。 |
2020年度入試
| 科目 | 英語 | 解答時間 | 60分 |
| 難易度 | ★★★☆☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| I | 読解・英作文 | がん細胞の浸潤メカニズム 線虫を用いた研究により、がん細胞の「浸潤」と「増殖」が相互排他的であることを論じた英文。語句選択や内容一致に加え、将来の治療法について自身の言葉で述べる英作文が出題された。 |
マーク・記述 | |
| Ⅱ | 読解 | 末期がん患者に対する緩和ケア 緩和ケア専門家との会話が患者のQOL向上や生存期間延長に寄与することを論じた英文。文脈に即した空所補充が中心であり、標準的な語彙力が試される。 |
マーク | |
| Ⅲ | 読解・記述 | ギャンブラーの誤謬と脳神経 脳がランダムな統計を自然に取り入れてしまうことが「ギャンブラーの誤謬」を引き起こすという研究を紹介。最後に与えられた語句を用いて英文を完成させる記述問題がある。 |
マーク・記述 |
| 傾向と対策 2020年度は長文3題の構成となり、大問としての英作文はなくなったが、読解問題の中で英作文の力が試される形式となった。60分という短い時間で専門的な語彙を含む英文を正確に処理する速読力が不可欠である。医学・科学系のトピックが頻出するため、日頃から背景知識を蓄え、英語で意見をまとめる練習が有効である。 |
2019年度入試
| 科目 | 英語 | 解答時間 | 60分 |
| 難易度 | ★★★☆☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| I | 読解・文法 | 女性外科医のジレンマと心臓へのストレス 外科医の性別格差やストレスによる心臓への影響を論じた英文である。適切な動詞を正しい形に直す語形変化や、文挿入による論理展開の把握能力が求められる。 |
記述・選択 | |
| Ⅱ | 読解 | 体の組織構造の順応性と進化 骨や筋肉の順応性をヤギの症例を通じて解説する英文である。指示語(They/it)が指す内容を本文中の英語1語で答える記述問題は、正確な構文把握が必要であり、得点差がつくポイントとなる。 |
記述・選択 | |
| Ⅲ | 読解・記述 | リスク認知と客観的な危険性の乖離 統計的確率と人間の直感的な恐怖のズレを論じた英文である。下線部和訳のほか、語法誤りを含む文を特定し「it」を挿入して修正するという慈恵特有の特殊な設問が含まれる。 |
記述・選択 | |
| Ⅳ | 英作文 | 和文英訳 「同時通訳」を題材とした日本語を英訳する問題である。関係代名詞の所有格(whose)や、find/realizeといった動詞を正確かつ迅速に使いこなす構成力が試される。 |
記述 |
| 傾向と対策 2019年度は、長文読解3題と和文英訳1題という慈恵医大の標準的な構成であった。60分という極めて短い制限時間の中で、医療や科学に関する専門性の高い英文を正確に読み解く速読能力が合格の絶対条件となる。特に指示語の特定やパラグラフの論理展開を予測する力が重視されており、単なる語彙知識以上の深い思考力が試される。また、文中の誤りを特定して特定の語を挿入するといった特殊な設問や、関係代名詞を駆使した高度な英作文への対応が必要となるため、過去問演習を通じて慈恵特有の出題形式に習熟しておくことが不可欠だ。 |
2019年度入試
| 科目 | 英語 | 解答時間 | 60分 |
| 難易度 | ★★★☆☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| I | 読解・文法 | なぜアメリカは裕福であるか アメリカの経済的繁栄の背景を、移民の歴史や「社会的流動性」の高さから論じた英文。代名詞(it, they)の指示内容を英語で答える記述問題や、文挿入問題が出題された。 |
記述・選択 | |
| Ⅱ | 読解 | 夜の明かりと野生動物 夜間の人工照明が野生動物(特に鹿)との交通事故を引き起こす問題と、「月共鳴街灯」などの解決策について論じた英文。語句選択や同意語選択のほか、パリが「月明かりの街」であった理由を日本語で記述する問題がある。 |
記述・選択 | |
| Ⅲ | 読解・記述 | ネグレクト(半側空間無視)の症状 右脳の脳梗塞などによって左半身や左側の空間を認識できなくなる「ネグレクト」の症状と、脳が情報を補完して作り出す「空想」について論じた英文。空所補充や、語法誤りを含む文に「of」を挿入して修正する特殊な設問がある。 |
記述・選択 | |
| Ⅳ | 英作文 | 和文英訳 「網羅的な答えをしても意味がない」「一般的な話しかできなくなってしまう」といった、直訳しにくい日本語のニュアンスを汲み取って英訳する問題である。 |
記述 |
| 傾向と対策 2018年度から出題形式が変更され、独立した文法・語彙問題がなくなり、長文読解3題と和文英訳1題の構成となった。テーマは医学・生物(ネグレクト、野生動物の生態)から社会経済(アメリカの繁栄)まで幅広い。 読解問題では、代名詞の指示内容を特定する問題や、パラグラフの論理展開を問う文挿入問題など、文脈を正確に追う力が重視されている。また、「文中の誤りを特定し前置詞を挿入する」といった慈恵医大特有の特殊な文法・語法問題は、読解の枠内で継続して出題されている。 英作文は、与えられた日本語の直訳が難しいものが多く、文意を正しく把握した上で、自分の知っている英語構文(It is no use -ing など)を用いて柔軟に言い換える(和文和訳の)テクニックが不可欠である。全体を通して、高い語彙力と正確な構文把握力、そして60分で処理しきるスピードが要求される。 |
2024年度入試
| 科目 | 数学 | 解答時間 | 90分 |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 確率 | 異なる色の玉の取り出しと条件付き確率の計算 | 空所補充 | 標準 |
| 2 | 数III微積 | 絶対値を含む対数関数の定積分と最小値の導出 | 記述式 | 標準 |
| 3 | 整数・式 | 2次多項式の整数値条件と因数定理を用いた証明 | 記述式 | やや難 |
| 4 | 空間・体積 | 空間内の円板をz軸周りに1回転させてできる立体の体積 | 記述式 | 標準 |
傾向と対策
| 例年通り、小問形式の確率と重厚な記述問題3題の構成である 。第3問の整数問題のように、類題の経験や文字式の高度な処理能力を要する設問が含まれるため、思考停止せずに条件を数式化する粘り強さが求められる 。また、第4問の回転体の体積では、断面の状態を正確に把握するための図示能力が鍵となる 。過去問演習を通じて、計算を効率化する工夫(対数積分の不定積分を先に求めるなど)を身につけ、記述の質を高める必要がある。 |
2023年度入試
| 科目 | 数学 | 解答時間 | 90分 |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 確率・整数 | (ア)和の条件を持つ確率、(イ)不定方程式を満たす確率 | 空所補充 | 標準 |
| 2 | 数III微積 | 積分方程式、2曲線の直交、回転体の面積と極限計算 | 記述式 | 標準 |
| 3 | 整数・証明 | 第1象限の点Pにおける線分OPの長さが無理数であることの証明 | 記述式 | やや難 |
| 4 | 空間ベクトル | 2直線の交点条件、軌跡(球面)、内積の最大値 | 記述式 | 標準 |
傾向と対策
| 2023年度は例年と比較して計算の煩雑さが抑えられ、典型的な手法を組み合わせる力が試された 。第3問の証明問題では「無限降下法」という高度な論理展開を自力で構築する必要があり、難関大志望者としての真の実力が問われた 。対策としては、数III微積の正確な処理能力の維持はもちろん、第4問で見られたような「2直線が交わる=共有点の実数解が存在する」といった基本原理から立式する思考力を養い、記述の質を高めておくべきである。 |
2022年度入試
| 科目 | 数学 | 解答時間 | 90分 |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 確率 | 2つの袋間での玉の移動と条件付き確率 | 空所補充 | 標準 |
| 2 | 数III微積 | 絶対値を含む関数の微分可能性、最大値、回転体の体積 | 記述式 | 標準 |
| 3 | 整数 | 奇数の約数に関する性質の証明と二項定理の活用 | 記述式 | やや難 |
| 4 | 複素数平面 | 複素数平面上の軌跡(楕円)と距離の最大値 | 記述式 | 標準 |
傾向と対策
| 全体として2021年度よりは解きやすくなったものの、記述の質と計算の正確さが合否を分ける。第2問の「微分可能性」を定義に基づいて論じる問題や、第3問の整数の論理展開など、慈恵らしい「ごまかしの効かない数学力」が問われている。 第4問は複素数のまま処理するより、途中で$x, y$の座標平面(楕円)に落とし込む判断が求められた。典型問題を「ただ解ける」状態から一歩進め、「最短ルートで記述し切る」練習を積むことが肝要だ。 |
2021年度入試
| 科目 | 数学 | 解答時間 | 90分 |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 確率 | さいころと玉の並列 さいころの目に応じて白玉・赤玉を並べる操作に関する確率。排反事象を正確に数え上げる丁寧な処理能力が試される。 |
結果記入 | |
| 2 | 微積分 | 回転体の体積と極限 $y=e^{x^2}$ のグラフに関する回転体の体積および面積比の極限。直接積分できない関数を不等式で評価し、はさみうちの原理を適用する高い思考力が要求される。 |
記述 | |
| 3 | 整数・三角関数 | 互いに素な自然数と単位円 三角不等式を満たす区間の長さと、複素数平面上の分点に関する論証問題。整数問題の性質(余り)を用いた論証が必要となる難問だ。 |
記述 | |
| 4 | 平面図形・数列 | 正方形の帰納的分割と無限級数 正方形を内分点によって次々と分割し、その面積の和を求める問題。図形の相似比を正確に把握し、無限等比級数の和へと結びつける計算力が求められる。 |
記述 |
傾向と対策
| 例年、数学IIIの微積分を背景とした難度の高い問題が出題される傾向にある。特に積分計算が困難な関数を不等式で評価させる問題は同校の「型」とも言えるため、過去問を通じた訓練が必須だ。また、整数と他の単元(三角関数や複素数平面)を融合させた論証問題も頻出であり、深い論理的思考力が合否を分ける。 |
2024年度入試
| 科目 | 物理 | 解答時間 | 60分(2科目120分) |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 力学・原子 | 角運動量保存則の証明と、光子放出に伴う角運動量変化 | 記述式 | 標準 |
| 2 | 電磁気 | 直交する電磁場内での荷電粒子の運動(サイクロイド) | 記述式 | 標準 |
傾向と対策
| 2023年度より大問数が2題に減少したが、その分、物理現象の仕組みを言葉で説明させる論述問題や、導出過程の詳述を求める記述問題が増加している 。本年度は角運動量の保存条件を中心力に関連づけて説明する問題や、誘導電場の発生を論じる問題が出題された 。教科書の公式を単に適用するだけでなく、ニュートンの運動方程式やガウスの法則といった基本原理から、現象を論理的に再構築する練習を積むことが不可欠である |
2023年度入試
| 科目 | 物理 | 解答時間 | 60分(2科目120分) |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1-I | 力学 | 斜面を下る台車の運動、制動力による仕事、v-t図の利用 | 記述式 | 標準 |
| 1-II | 熱力学 | シリンダー内の気体の熱膨張、定積・定圧変化と熱効率、水素とヘリウムの比較 | 記述式 | やや難 |
| 2-I | 電磁気学 | 運動する帯電体による電場と磁場、クーロン力とローレンツ力の合力 | 記述式 | 標準 |
| 2-II | 原子・相対論 | 光子のドップラー効果、質量とエネルギーの等価性 $E=mc^2$ の導出 | 記述式 | 難 |
傾向と対策
| 大問数が2題に集約されたが、その内部で力学・熱・電磁気・原子の主要分野が融合しており、実質的な問題数は多い 。特に第2問の $E=mc^2$ の導出過程は状況把握が難しく、初見での対応には深い物理的洞察が必要であった。慈恵物理の特徴であった生体モデルの出題は見られなかったが、現象の理由を論述させる設問は健在である。教科書の基本原理(ガウスの法則や保存則)から思考を積み上げ、複雑な文字式を正確に処理する練習を徹底すべきである |
2022年度入試
| 科目 | 物理 | 解答時間 | 60分(2科目120分) |
| 難易度 | ★★★★★ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 力学 | 骨の圧縮、ヤング率、弾性力による位置エネルギー | 記述式 | やや難 |
| 2 | 電磁気・熱 | ミトコンドリアのATP合成酵素(生体分子モーター) | 記述式 | 難 |
| 3 | 熱力学 | 連結された円筒容器内の理想気体の状態変化 | 記述式 | 標準 |
傾向と対策
| 慈恵物理の真骨頂である「医学・生物学的題材」が色濃く反映されたセットである。特に第2問のATP合成酵素の問題は、高校物理の枠組みを使いつつも、未知のモデルをその場で読み解く高度な思考力が求められる超難問であった。 第1問のヤング率も、定義をその場で理解して数式化する力が試されている。合格ラインに届くには、第3問のような標準的な熱力学を確実に満点近く得点し、難問揃いの第1・2問でいかに原理(エネルギー保存など)に立ち返って部分点を稼ぐかが勝負となる。 |
2021年度入試
| 科目 | 物理 | 解答時間 | 60分(2科目120分) |
| 難易度 | ★★★★☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 力学 | 尻もちをついた際の脊椎骨折モデル 人体を3つの質点とばねでモデル化し、落下の衝撃を解析する問題。後半の連成振動に関する計算は非常に煩雑であり、高い計算処理能力が問われる。 |
記述 | |
| 2 | 電磁気 | 落雷と細胞膜の静電エネルギー 雷雲と地面を平行板コンデンサーに見立てたエネルギー計算と、動物細胞膜のモデル化。基本公式を正確に適用できれば比較的解きやすい設問となっている。 |
記述 | |
| 3 | 原子・光 | 落雷と細胞膜の静電エネルギー 角膜・水晶体などの屈折率を通じた水中での視覚の変化と、光子のエネルギー保存則。水中での景色の見え方の変化など、物理的考察を言語化させる記述力が試される。 |
記述 |
傾向と対策
| 医学部を意識した生体モデルや医療機器に関する出題が最大の特徴である。人体をばねやコンデンサーに置き換えるといった初見のモデルに対しても、物理の基本法則を柔軟に適用する力が求められる。力学での煩雑な計算や、現象を物理的に説明させる論述対策を重点的に行うことが重要だ。スピード重視のため、解きやすい第2問などから着手するなどの戦略も必要となる。 |
2020年度入試
| 科目 | 物理 | 解答時間 | 2科目120分 |
| 難易度 | ★★★☆☆ | スピード | ★★★★☆ |
設問別分析表
| 大問 | 区分 | 内容 | 解答方式 | 難易度 |
| 1 | 力学 | 中性子の減速(粒子線治療) ホウ素中性子捕捉療法を題材とした、2物体の弾性衝突に関する問題。運動量・エネルギー保存則の立式から、効果的な減速材の条件を考察・記述させる。 |
記述 | |
| 2 | 電磁気 | 循環器系の等価回路 血管の抵抗、弾力性、血液の慣性をそれぞれR, C, Lに対応させた交流回路モデル。インピーダンスの計算を通じ、動脈硬化と血圧の関係を物理的に説明する力が問われる。 |
記述 | |
| 3 | 熱力学 | 左心室の収縮・拡張ループ 心臓の拍動を圧力・容積グラフ(P-Vループ)として捉え、熱機関のサイクルに見立てて解析する問題。心筋がする仕事や仕事率、流動抵抗をモデルから算出する。 |
記述 |
傾向と対策
| 物理学の基本法則を医学的・生物学的なモデルに適用させる、同校特有の出題が際立っている。特に大問2や3のように、循環器系の機能を電気回路や熱機関に置き換えて考える能力が試される。初見のモデルに動じず、問題文の定義を素早く物理量へと変換する訓練が必要である。2019年度に比べると解きやすい設問が増えたが、依然として高い思考力が要求される。 |
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アクセス
株式会社アクト代表。PMD医学部専門予備校をはじめ、医師・歯科医師・薬剤師・看護師・心理師・獣医師向けの各専門予備校を運営。長年にわたり、医学部受験、医療系学部受験、医療系国家試験対策に携わってきました。
PMD医学部専門予備校では、従来型の大教室授業ではなく、マンツーマン指導、生成AIの実践的活用、最新のITによる学習管理を組み合わせた指導体制を重視。受験生一人ひとりの状況に応じた学習設計と、答案作成まで見据えたアウトプット中心の支援を行っています。
医学部受験においては、単に知識を教えるだけでなく、「わかる」から「解ける」へと変える指導こそが重要であるという立場から、受験情報、学習法、小論文・面接対策、推薦入試、通信制高校からの進学、海外医学部進学など幅広いテーマで発信を続けています。

