2026年度 私立医学部(医学科)志願者数が増加した理由と全大学・前年比一覧——国公立と真逆の動きを徹底分析
国公立と真逆の動きが示す2026年度入試の構造
- 2026年度 私立医学部 志願者数の全体動向(国公立と逆の動き)
- 「2/1以降ルール」が志願者数を大きく動かした仕組み
- 私立医学部 全大学 対前年比較表(地域別)
- 増加・減少の背景と受験生への戦略的示唆
2026年度(令和8年度)の私立医学部一般選抜は、国公立医学部が前年比94.9%と減少した一方で、私立は前年比101.1%と増加という対照的な結果となりました。全体の志願倍率も14.9倍から16.8倍へ上昇しており、私立医学部入試はむしろ競争が激化しています。
・大学別2026年度:各大学公式発表(2026年2月時点の速報値)
・大学別2025年度:各大学公式発表に基づく集計(2025年5月時点確定値)
※私立医学部は試験日程の重複状況により志願者数が大きく変動します。大学別の数値は集計基準・時点により差異が生じる場合があります。
一見すると「国公立が減り私立が増えた」と捉えられがちですが、その内実はもう少し複雑です。主な要因を整理します。
文部科学省の通達により2026年度から私立医学部の一般前期一次試験が2月1日以降に集中。これにより試験日程の重複が増加し、大学ごとの志願者数の増減が日程変更で大きく動いた。全体数より個別大学の増減幅の方が問題の本質。
国公立医学部志望者が「念のため」の私立を1〜2校増やした結果、私立全体の志願者数を押し上げた。日本医科大学・大阪医科薬科大学などの難関私立上位校での5%以上の伸びは、この層の動きが影響している。
藤田医科大学が大幅な学費引き下げを実施した結果、志願者が約2割増加。学費水準が志願行動に直結することを示す好例で、今後他大学が追随する可能性もある。
慶應義塾大学が日程重複がなくなったにもかかわらず200人以上減少。医師という職業への逆風(医師批判・都市部の開業規制等)を受けた情報感度の高い上位層が他学部へ転向した可能性が指摘されている。
対前年比較表(一般選抜前期)
私立医学部の志願者数は一次試験の日程重複に大きく左右されます。「志願者増=難化」「志願者減=易化」とは必ずしも一致しません。日程重複の変化(増減)を必ず合わせて確認してください。
・2026年度:各大学公式発表に基づく速報値(2026年2月確定時点)/代々木ゼミナール集計(2026年4月)
・2025年度:各大学公式発表に基づく確定値(2025年5月時点)
・「—」は非公表または取得中
| 地域 | 大学名 | 2025年度 志願者数 |
2026年度 志願者数 |
対前年 増減 |
対前年 指数 |
日程変化の主因 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 東北 | ||||||
| 岩手 | 岩手医科大学 | 2,271人 | 増加 | + | 確認中 | 国際医療との重複継続 |
| 宮城 | 東北医科薬科大学 | 1,728人 | 増加? | + | 確認中 | 関西医科との重複解消 |
| 北関東 | ||||||
| 栃木 | 自治医科大学 | 1,903人 | — | — | — | 非公表(獨協との重複解消) |
| 栃木 | 獨協医科大学 ★日程 | 3,415人 | 5,333人 | +1,918人 | 156.2 | 自治医との重複解消→単独で大幅増 |
| 埼玉 | 埼玉医科大学 ★日程 | 2,495人 | 3,000人以上 | +500人超 | 120以上 | 東邦・藤田との重複解消→単独で増加 |
| 東京(難易度上位) | ||||||
| 東京 | 慶應義塾大学 | 1,410人 | 1,182人 | −228人 | 83.8 | 重複解消にもかかわらず減少。上位層の医師離れ? |
| 千葉 | 国際医療福祉大学 | 2,972人 | 2,802人 | −170人 | 94.3 | 岩手医科との重複継続 |
| 東京 | 順天堂大学 | 2,211人 | — | — | — | 非公表(東海・北里・金沢医科と重複) |
| 東京 | 東京慈恵会医科大学 | 1,895人 | — | — | — | 非公表(獨協と重複) |
| 東京 | 昭和医科大学(旧昭和大)★日程 | 2,734人 | 2,266人 | −468人 | 82.9 | 前年単独→今年単独も減少(校名変更影響?) |
| 東京 | 東京医科大学 | 2,686人 | 2,495人 | −191人 | 92.9 | 前年単独→藤田・金沢医科と重複 |
| 東京 | 日本医科大学 | 1,743人 | — | — | — | 非公表(杏林・東海・福岡と重複) |
| 東京 | 東邦大学 | 2,178人 | — | — | — | 非公表(前年の埼玉・藤田との重複解消) |
| 東京 | 日本大学 ★日程 | 2,176人 | 2,450人 | +274人 | 112.6 | 日本医科との重複解消→全国会場設置で増加 |
| 東京(中堅) | ||||||
| 東京 | 杏林大学 ★日程 | 2,337人 | 1,990人 | −347人 | 85.2 | 日本医科・東海・福岡と3校重複 |
| 東京 | 帝京大学 | 7,967人 | 増加? | + | 確認中 | 1月入試を維持(東北医科薬科と3日目重複のみ) |
| 東京 | 東京女子医科大学 | 1,068人 | 微増? | + | 確認中 | 日大・川崎医科・久留米と重複(前年と一部変動) |
| 神奈川 | ||||||
| 神奈川 | 北里大学 ★日程 | 1,891人 | 1,769人 | −122人 | 93.5 | 金沢医科+東海2日目と重複(同県同士で競合) |
| 神奈川 | 東海大学 ★日程 | 2,744人 | 約1,700人台 | 約−1,000人 | 約63 | 2日間で6校と重複。最大の日程被害校 |
| 神奈川 | 聖マリアンナ医科大学 | — | 減少 | − | 確認中 | 日程重複の影響 |
| 中部 | ||||||
| 愛知 | 藤田医科大学 ★学費 | 1,625人 | 約1,950人 | +約325人 | 約120 | 学費大幅値下げで約2割増。東邦・埼玉と重複も増加 |
| 愛知 | 愛知医科大学 | 2,179人 | 確認中 | — | — | — |
| 石川 | 金沢医科大学 | — | 確認中 | — | — | 北里・東海・順天堂と重複 |
| 関西 | ||||||
| 大阪 | 大阪医科薬科大学 | — | 増加 | +5%超 | 105以上 | 国公立併願者増の影響が顕著 |
| 大阪 | 関西医科大学 | — | 増加 | + | 確認中 | 東北医科薬科との重複解消 |
| 大阪 | 近畿大学 | 1,569人 | 確認中 | — | — | 川崎医科との重複(前年も) |
| 兵庫 | 兵庫医科大学 | — | 確認中 | — | — | — |
| 中国・九州 | ||||||
| 岡山 | 川崎医科大学 | — | 確認中 | — | — | 近畿・女子医科と重複 |
| 福岡 | 産業医科大学 | — | 微増 | + | 確認中 | 慶應との重複解消→埼玉と重複に変更 |
| 福岡 | 久留米大学 | — | 微減 | − | 確認中 | 日大・女子医科・川崎医科と重複 |
| 福岡 | 福岡大学 ★日程 | 2,593人 | 微減 | − | 確認中 | 東海+杏林+日本医科と重複増加 |
2026年度から文部科学省の通達により、私立医学部の一般前期一次試験は2月1日以降に集中することになりました。2025年度までは31校中14校が1月に一次試験を実施していましたが、2026年度は9校のみに減少。その結果2月1日から4日の4日間に15校程度の一次試験が集中するという、前例のない過密日程が生まれました。
この影響で「どの大学を受けて、どの大学を捨てるか」という戦略的判断が受験生に強制されることになり、大学ごとの志願者数の増減は実際の人気変動よりも日程の影響を強く受けています。
「A大学の志願者が増えた/減った」という情報だけで出願先を決定するのは危険です。その増減が日程変化によるものか、実際の人気変動によるものかを必ず区別してください。日程の重複状況は毎年変わるため、前年の実績をそのまま翌年に適用することはできません。
獨協医科大学が3,415人→5,333人(+56%)、埼玉医科大学が2,495人→3,000人超と、単独日程になった大学への集中が顕著。倍率は大幅に上昇しており「ねらい目」ではなくなっている点に注意が必要。
藤田医科大学の学費引き下げは約325人の志願者増に直結。他大学との日程重複があっても増加したことから、学費水準が志願行動に与える影響の大きさを示した。今後の業界全体への波及が注目される。
慶應義塾大学医学部は産業医科大学との重複がなくなったにも関わらず228人減少。医師という職業への上位層の関心低下、他分野(AI・情報系)への人材流出が起きていることを示す可能性がある。
大阪医科薬科大学・関西医科大学などの関西勢は増加。九州の久留米大学・福岡大学は日程重複増の影響を受けながらも「微減」にとどまり、西日本の私立医学部は東京圏の大学より底堅い傾向がある。
| 国公立医学部(前期) | 私立医学部(一般前期) | |
|---|---|---|
| 志願者数(2025年度) | 15,307人 | 105,833人 |
| 志願者数(2026年度) | 14,520人 | 約107,000人(推計) |
| 対前年指数 | 94.9(減少) | 101.1(増加) |
| 志願倍率 | 4.12倍(低下) | 16.8倍(上昇) |
| 主な変動要因 | 後期廃止・隔年現象 | 試験日程の重複変化 |
「国公立が減って私立に流れた」というシンプルな話ではなく、それぞれ独自の構造的要因で動いています。共通しているのは「全体の数字だけ見ると実態を誤解する」という点です。
PMD医学部専門予備校では最新データに基づいた個別の出願戦略サポートを行っています。
2026年度の私立医学部入試は、全体志願者数が前年比101.1%とわずかに増加した一方で、志願倍率は16.8倍と国公立をはるかに上回る水準で推移しています。重要なのは以下の3点です。
- 大学別の増減は「日程の重複変化」に大きく左右されており、倍率だけで難易度を判断するのは危険
- 学費値下げ(藤田医科大)は即座に志願者増につながり、私立医学部選びで学費は無視できない要素
- 慶應の重複解消後の減少は、首都圏上位層の動向変化を示す注目すべきシグナル
国公立志向・私立志向にかかわらず、出願戦略は毎年リセットして考える必要があります。今年の日程・今年の学費・今年の難易度水準を踏まえた、個別の戦略設計が合否を分けます。
PMD医学部専門予備校をはじめ、CES医師・歯科医師・薬剤師国試予備校、Meg看護師・獣医師・心理師国試予備校など7校を運営する株式会社アクトの代表。30年以上にわたる医学部受験指導。株式会社アクトでは「教育の提供を通じて地域医療に貢献する」を社是としている。

